ベルクソンの名前は、世界史を勉強するために買った一問一答テキストで初めてみた。どういう人かよくわからないままに「創造的進化」や「フランス」というキーワードと結び付けて覚えた。私はこういう「キーワードと結び付けて脳内ストックに保管されているが、とくに日常生活にしゃしゃり出ないことば」というのが異様にある。有象無象と名付けた箱に入っている。
ところで先月共通テストがあった。予備校のサイトに今年の問題が掲示されている。できそうなものだけ毎年解く。英語リーディングにベルクソンの名前を見つけた。2回目だ。
よく耳にするな、と思っていたら、おとつい読んだ北村薫の小説『朝霧』にベルクソンの名前が出てきた。登場人物の祖父の日記に《ベルグソンの説は、日頃、僕の考えてゐたこと故に「而り」と同感した》とあった。
いくら怠惰で無精でクラフト系ゲームを少し前のセーブデータからやり直すという無為を愛する私とて、3回会ったら腹をくくるしかない。河出書房新社から出ている『世界思想教養全集 23』を図書館で取り寄せたので、しばらく勉強する。読み終える頃にはベル「グ」ソンなのかベル「ク」ソンなのか、さすがにそれくらいは心が決まっていることだろう。