人の怒っている演技が好きだ。泣くのや笑うのよりも、怒っている演技がみたい。感情を爆発させているさまも、イラっときているさまも、ヒステリックに怒っているさまもぜんぶ見たい。スクリーン越しなので見ていても気楽なものだ。
怒りの演技がうまいひとが好きだ。いろんな映画に出ている人気俳優でも、いつも似たような怒り方をしているとがっかりする。上白石萌音の怒り方はめちゃくちゃよかった。映画自体はおだやかな、一瞬だけの晴れ間みたいな話で、始終誰かが怒っているような話ではないんだけれど、松村北斗のこわばった声や壁のつくりかた、光石研の善性、いろんな人の佇まいがよくて、帰り道に道行く人をたくさん眺めて歩いた。