失敗をみる

ブセさん
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「〇〇のファンです」という言い方が「推しは〇〇」という表現になって久しい。主体が自分から離れていった。そういうことは今日はどうでもよくて、私のいわゆる「推し」の話をする。

とは言っても世の人がいうような推しができているかわからない。年少の女子と話す機会が多いので、いろんな今どきの推しの話を聞くようになって、社交の一環として対象をテレビで見かけると「おっ」と注目するようになった。いろんな人にいろんな「推し」がある。できたら次の機会に、その女子と好きな推しの話で盛り上がりたい。だけどもうね、10人以上いるとつらい。全然判別がつかない。フォーメーションをいっぱい変えて踊るようなひとだとなおのことわからない。マイク前棒立ちで歌ってほしい。ゼッケンつけてくれませんか? 覚えるには3人くらいが理想だし、名前と顔が速く一致しそうだが、 大概のグループが大所帯だ。6~9人くらいいる。髪が青かったり赤かったりすると助かる。いつも同じ髪型の方も助かります。

そんな中で好きだなー、と思える人たちができた。まだ音楽番組に出ていたらなるべく見る程度だけれど、じわじわとより好きになってきている。

この間、その人たちがテレビに出ていて、テレビの生放送で歌詞を飛ばして固まっていた。人の失敗を生で目撃することは珍しい。軽いものなら間々ある。電車に乗ろうとして目の前でドアが閉じたとか、コンビニで持っていたものを落としちゃったとかよりは、おそらく深刻な失敗は、この閉じた生活では珍しく感じる。

2曲連続で歌をうたうはずだったが、1曲目で派手に飛ばした。あーこれは引きずるかもしれない。私なら一生岩戸の奥に引きこもる。ところが2曲目が始まる頃にはしっかりと切り替えてまともに歌っていた。タフネス。同時代に生きている人を応援して、そのひとの失敗やそこから切り替えて活躍するのをリアルタイムで見られるのはいいな、と思う。古典ばかり読んでいるけど、2024年に生きている感じがたまにする。