Show Your Work! を読んだ。
最近『yancan.fm』というポッドキャストをよく聴いていて、エピソードの中でパーソナリティの一人、りさきゃんさんのYouTubeチャンネルに言及されている回があり、検索して見にいってみたところ、この本を紹介されている動画を見つけたことがきっかけで知った本だ。(経緯が長い)
私はずっとアウトプットを全然してこなかったし苦手な自覚があって、カナダでWeb developerへのキャリアチェンジを目指している身としてアウトプットを増やしていきたいなと思っていて、あと単純にアウトプットしてると人生楽しくなりそうだなとも思っていて、そんな折に知ったので手に取らない理由がなかった。あと見た目がポップなのでこの本を読んでいる自分に気分が上がりそうなのも良かった、まあ電子で読んだのであんまり関係はなかったけれども。
日本語版もあるようだったけど、洋書を読破するという経験をしたくて、この本ならあんまり長そうじゃないしいけるかもと思って原書で読んでみた。普通に時間かかったかつ細かい内容は取りこぼしてそうだけど、とりあえず最後まで読めました、嬉しい。
ということで、以下、本書からの引用をベースに考えたことをメモ的に残していきます。
"In order for connection to happen, we have to allow ourselves to be seen —really seen." —Brené Brown
いきなり引用の引用になってしまったしこの話はこの本の主眼とはズレそう。この文章自体は有名なTEDTalkからの引用ですね。(を私がさらにここで引用している。)Chapter 2: Think Process, Not Product で言及されている。作品を作るプロセスを記録して公開してみよう、そうしたらオーディエンスも嬉しいしもっと興味を持ってくれるよ、という内容の章。
自分の作品を誰かに見せるとき、自分はその見てくれている誰かに何かしらを伝えようとしていて、それはコミュニケーションである。どんなコミュニケーションも大体は人と人が繋がろうとするためにあるはずで、その試みが成功しやすいのは自分を取り繕った時より曝け出した時だと思う。作品を見せるというコミュニケーションにおいても同じだろうなと想像に難くない。
この引用文がなぜこの記事で言及したいくらい私に響いたかというと、人間関係全般について最近私の中でたどり着いた結論と同じだったから。カナダに来て8ヶ月、新しく出会う人たちとの関係がなぜかずっと空虚なものに感じていてずっと悩んでいた。ぐるぐる考えているうちに私はそもそも人間関係を積み上げていくことが苦手だったということに気がつき、それは私が人前で自分を取り繕おうとしてしまうからだという結論に至った。できないって言えない、わからないって言えない、素の自分を出したら嫌われる、空気に合った発言をしないと愛想を尽かされる。まあここをもっと辿っていくと自己肯定感が低いとかいう話になると思う。
でもそうやって自分を隠してると、他者からしてみれば私の人格が全然見えないし、私は私で誰といても疲労困憊するので、人間どうしのコネクションが生まれようがない。ということにやっと気がついた。ということで最近は、できるだけ誰に合わせるでもなく、自分の素をオープンにすることを意識してみている。一次感情を大事にしてみているとも言える。
ちなみにこの引用元である TEDTalk、一時期シャドウイングで繰り返し使ってたのに、内容が自分の中で落としこめたのはこの本で上の引用文に出会ったときだった。シャドウイングしながら本当の意味で内容を分かってなかったんだなあと反省した。
The day is the only unit of time that I can really get my head around. Seasons change, weeks are completely human-made, but the day has a rhythm. The sun goes up; the sun goes down. I can handle that.
Chapter 3: Share Something Small Every Day より。章の内容としては、プロセスを公開する上で、小さなプログレスを毎日シェアしてみるのが吉、というもの。
この文章は、一日単位で考えてみるということに完全同意したのでメモしておいた。特に私は長い期間について考えるのが苦手である。長期にわたる積み重ねが必要な何かを考えると気が遠くなってやる気がしないし、長期の計画を立てるのも上手くない。でも一日単位ならまだ考えられる。そして長期に見えるものもその実、一日単位が合わさったものである。そう考えると I can handle that な気がしてくる。
アジャイル開発のデイリータスクにも重なる。タスクをスプリント単位で考えるとちょうどいいサイズ感を見誤るが、さらにデイリー用に分割すれば一日で処理するのに十分なサイズ感に近づけやすい気がする。
あとこれは本筋とは全然関係ないけれど、生活リズムが乱れやすい私としては、日の出と日の入りに素直に合わせて生きてみたいなあとも思った。まあこの文章は夜中に書いているんですがね。
ちなみに、プロセスを公開するにあたって当然ながら何でもかんでも公開したらいいというわけじゃない。多分私はこの判断がわからなくなりそうなので、とりあえず同じ章に紹介されていた以下の質問を自分に投げかけてみることにする。
Is it userful or interesting?
-> YES -> Share it!
-> No -> Toss it
-> I don't know -> Save it for later
There's not as big difference between collecting and creating as you might think.
これは Chapter 4: Open Up Your Cabinet of Curiosities より。自分自身の作品に関するものだけでなく、私たちが何に影響を受けているのか、どういうものが好きなのかをシェアするのでも十分な”Show Your Work"になる、という内容。
上の引用は、ビジュアルデザインを作る作業もこんな感じだったなと思ったのでメモしてある。ゼロから考えるのでなく、既存のデザインをいかに組み合わせるかという作業だと学んだ。私は「巨人の肩に乗る」ことがあまり得意でなく、ゼロから自分でやろうとしてしまうので、意識してないとなあと思っている。あとたぶんプログラミングにも似たようなことが言えそう。いいコードをたくさん見て、私のコードになるように消化していく。
We all love things that other people think are garbage. You have to have the courage to keep loving your garbage, because what makes us unique is the diversity and breadth of our influences, the unique ways in which we mix up the parts of culture others have deemed "high" and the "low."
これも Chapter 4 より。他人の反応をずっと気にしてしまう私にまさに必要な勇気だと思う。他人にApproveされなければ私のしたこと(やりたくてやったこと)に価値がないんじゃないかと思ってしまいがちだし、他人から良いねと言ってもらえなければ私が欲しくて手に入れたものは無駄なんじゃないかと思ってしまう。もっと言うと、他人の反応をベースにして自分の好きを決めていると自分で気がつく瞬間も時々ある。
もっと自分の中に芯を持ちたいので、一次感情で「良い」と思うものをたくさんCollectしていきたい。そのためにはCuriosityを持って新しいことに自分をどんどん晒していかなきゃなあと思う。
Once upon a time, there was ___. Every day, ___. One day, ___. Because of that, ___. Until finally, ___.
Chapter 5: Tell Good Stories より。WorkをShowするときには説明が必ず必要、そのときのストーリーテリングを上手くなろうという内容の章。この昔話のフォーマットが意外にもどんなストーリーにも結構広くフィットするということで紹介されていた。
アウトプットが苦手なのでほぼ必然的に人に伝わりやすく簡潔に話をすることも上手くないのだが、このフォーマットはかなり使いやすそう、ということでメモ。
A character wants something, goes after it despite opposition (perhaps including his own doubts), and so arries at a win, lose, or draw.
これも同じ目的で紹介されていた違うフォーマット。同じく使いやすそう。
この辺、就職面接でのエピソードトークにも使えると思いながら読んでいたら、実際にCover letterもPitchでありStoryだと言及されていた。
They're stories with the endings chopped off. A good pitch is set up in three acts: The first act is the past, the second act is the present, and the third act is the future.
フォーマットがあると要素を見つけて当てはめるだけで伝わりやすいストーリーが語れそうなので、使えるように練習したいと思った。
あと、これは引用はしないけれど、自分のことを名乗るときにフィクションの名乗りをするなというのもメモしておきたい。当たり前ではあるけど盛ってしまったりしがちだと思う。でも情報を付け加えることはOKで、例えば「学生であり文章も書くよ」とか「今は無職だけどこの分野で仕事を探してるよ」とか言える。これ、一言だけの名乗りと比べたらよりたくさん自己開示もしているし、良いと思った。
it is actually true that life is all about "who you know." But who you know is largely dependent on who you are and what you do
これは Chapter 7: Don't Turn Into Human Spam より。章の内容としては、自分の作品ばかりを見て見て見てとアピールし続けるのは違う、フィードバックを聞き入れるべし、という話だった。
上の引用は、私が持っている人間関係を想起しながら読んだ。私がどの人間関係でもまだうっすら緊張しているのは、Who I am と What I do に全然自信がないからというのもあるかもと思った。
Albini laments how many people waste time and energy trying to make connections instead of getting good at what they do, when "being good at things is the only thing that earns you clout or connections."
そう、良い繋がりを作るには私個人がやっていることをことを良くしていくのが不可欠。わかる。でも最初から良いものを目指していると何もできないということがわかっているので、何か私が面白いと思えて気が向くことをレベルを最初は気にせずやってみるところからかなあと個人的には思っている。
あと、単純にプログラミングにもっと取り組むのも私にとっての Being good のうちの一つ。これは単純に怠惰で勉強の進みが遅いのもあるし、プロジェクトを始めることにハードルを勝手に高く設定していて手がつけられないというのもある。でもやらなきゃいけないし、プログラミングにある程度自信(?)が付いたら私自身にももうちょっと自信がつくかもと考えると嬉しいので頑張るしかない。
"The trick is not caring what EVERYBODY thinks of you and just caring about what the RIGHT people think of you." —Brian Michael Bendis
Chapter 8: Learn To Take A Punch より。この章は批判をどう受け入れるかという話をしていて、個人的にはずっと自分の中で考えているテーマなのでわかりやすかった。Personalに受け取らないとか、改善に建設的に繋げていくとか。
上の引用をメモしたのは、私が全員に好かれようとしてしまいがちだから。しかもそもそも人に好かれるために言動を変えるのも変だと今書いていて思った。私が正しいと思うこと、こうしたいと思うこと、をやっていれば、それに共感してくれるRight peopleが自然とそばに残ってくれるんだと思う。
終わり。私にとっては人生一般のヒントも含まれているような良い本だった。