還暦不行届 読後感想

caetla
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公開:2023/11/27

安野モヨコ著『還暦不行届』を読みました。前作の『監督不行届』から約15年ほど経っているそうです。前作が結婚後しばらく経ったぐらいのお話のコミックエッセイ本で、今作は結婚20年が経った時点の文章中心のエッセイ本になっています。通販のレビューを見ていると「コミックエッセイじゃなかった」というご意見がありましたがその通りです。まあ漫画家さんのエッセイだし前作がほぼ漫画だったのでそういうレビューになるのはわからなくもない……ただ作者の安野先生がしばらく漫画が描けない状態だったというのを本文中で触れられているので、冒頭や巻末にまとまった漫画が載っているだけ良いんじゃないかなあ、ご調子が回復されているといいんだけどなあと思ってしまいました。

安野先生の旦那さまは言わずと知れた庵野秀明監督です。最近だと『シン・ゴジラ』や『シン仮面ライダー』を見ているし、NHKのドキュメンタリーも見ていたので「あの監督くんが還暦かぁ……」と感慨深いです。ぱっと見渋い中年でも中身は子供〜みたいな描写の監督くんが還暦……前作から今作の間にWアンノご夫婦にも様々なことがあったんだなと本文からもうかがい知れました。前作も今作も、とにかく“カントク君”という人物(自分の夫)を徹底的に客観的に観察した結果の本です。後書きで監督ご本人も書かれていたけれど、「客観的で知的な面白さがある」んですね。あとストーリー漫画を描く人は総じて文章が上手いと思っています。淡々とした文章で改行も多いですが、内容がスルッと頭に入ってくるしテンポが良くて面白い。監督の面白さが淡々と書き連ねてあるという感じです。そりゃコミックエッセイのほうが視覚から入って内容もわかりやすいだろうけれど、文章でも十分スムーズに内容が入ってきます。もし読む機会があるのなら、コミックエッセイじゃなかったというご意見はあんまり気にせず読んでほしいなと。

内容には直接触れませんが、どこから読んでも監督の奇行観察エッセイなので楽しく読めます。繰り返し読む本はすぐ手に取れるように“繰り返し読む本棚”に置いているのですが、前作同様この本もそこを定位置にしたいです。還暦が過ぎ若い頃と同じようにはいかないでしょうが、庵野監督の特撮映画は好きなのでこれからもご活躍を願っています。奥様もどうぞご健勝でありますように……

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@caetla
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