黄色の花

緑のコート
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葉の茂みから黄色の慎ましい花が覗きみる。

その山道は、いつもこの時期になると良い香りが漂う。

「秋だねぇ… 」と、ヨルは頭に乗っている

ふわふわの白い毛玉に話しかける。

ふわふわの白い毛玉は、ふんふんと辺りを見回しているようだ。

しばらく歩いていると、ヨルはお目当ての木を見つけ

突進する。

「これを食べなくては、秋ではなーい!」

ドンっと木の幹にぶつかったが動じない。

腕を使ってゆする。 

とてんとその木から1、2こ何が落ちた。

慌てて白い毛玉は、頭から離れる。

「あ、こら毛玉!逃げるな!」

掴もうとしたが逃げ足が早かった白い毛玉は、

その木からちょっと離れたところにふわふわ浮かんでいた。

「頭の守りが...」と、呟くヨル。

「意外と揺れないんだよね、栗の木ってさ〜」

腕やら脚でガシガシ蹴ったり殴ってみたり忙しい。

疲れたのか、その木から離れて

「ヒトは、長い柄のハサミを使うけど。」

(そんなもの持ち合わせていない)

ヨルは、植物に話しかけた。

すると、木の根がにょきにょき地面から生えてきた。

「毛玉、どこが美味しそう?どこらへんが密集してる?」

ヨルは、ふわふわの白い毛玉に話しかけ

白い毛玉は、ぶんぶん黒い耳を振っている。

「りょーかい」と、ヨルは答え 

木の根を使って栗の木を叩いた。

ぼとぼとと木から茶色のトゲボールが落ちてくる。

ヨルは、落ちてきた栗を見て入れる袋を持ってくるのを忘れたと思った。

手ぶらで来たのだ。

腕を組みながらヨルは、考え閃いた。

「毛玉、この中身だけ運べないかい?」

呼ばれたふわふわの白い毛玉は、目をぱちぱちキョトンとして

栗を見つめている。

くるくる一回転。

すると、中身だけ無くなったトゲボールが辺り一面に出来上がった。

「じゃあ、帰ろう!」と、ヨルはふわふわの白い毛玉を頭に乗せて

元来た道を上機嫌で帰った。