ぴたりと時が立ち止まってしまい、
それはたしかに人の気配だったのです。
また、静かで低音の声はどこから聞こえてくるのかは
わかりませんでした。
まるで空気がふるえているような感じでした。
そして、またもや足音がきこえてきます。
その足音が、しだいに大きくなってきました。
しかも今度は、はっきりとわたしたちの方へ近づいてくるのがわかりました
藍色の鱗から覗く蒼い瞳が、くつくつと笑っている表情で。
この生き物は、この世から離れた澄んだ空気を纏っていた。
昔話の中に出てくる竜を思い出させるそんな目だった。
それは一瞬のこと。
次にその目に映ったのは、鋭く氷のような眼差しだ。
体が痺れた
さっきまでの雰囲気が嘘のように変わり、こちらの心の内を凍らせるような鋭い視線に身体が強張る。
そして、まるで自分のことを品定めするかのように頭の先から足のつま先までじろりと見てきたのだ。