髪の毛を染めました。昨日の話。
インナーカラーにシルバーっぽい色を入れたくて予約をしたら、ブリーチが1回分しか時間を取れていなかったのが先月の話。そのときはベージュを入れてもらって、これはこれで気に入っていたけど色が抜けてくるとやはりオレンジじみた金髪になってしまい、よくない。
なので今回こそはシルバーを入れるために2回分のブリーチをしっかり予約して、意気揚々と美容院に行ったのだ。
髪の毛を伸ばそうね、と、わたしと美容師のあいだで約束していた。今、ようやく顎のあたりまでのストレートワンレンのボブだ。ここ数年ずっとショートヘアだったから、ここまで伸ばすのはかなり久しぶり。
しかし、一昨日くらいから急にウルフヘアにしたい欲望が天高く募った。わたしは悩んだ。美容師にお願いして髪の毛にレイヤーを入れてもらうか、否か。
実際、そういう相談をしてみたのだけど、美容師の口から出てきたのは思いもよらない言葉だった。
「でも、今の髪型、すごく似合ってる」
自分では、ヘアアレンジがうまくいかないからというのもあるし、あまり似合っていない気がする……と思っていたので、意外な言葉だった。
嘘ではないと思う。わたしと美容師は十年来の付き合いで、長く担当してもらっていて、できないことはできない、似合わないものは似合わない、とはっきり言ってもらえる間柄だから。
結局、とりあえずインナーのベージュ部分に再ブリーチしてネイビーブルーを入れることになり(シルバーは、協議の結果消滅しました)、ブリーチを洗い流しカラーを入れて洗い流しているとき、シャンプーをしながら美容師にくよくよと相談する。
「切るか切らないかまだ悩むなァ」
「俺は切っても切らなくても、いいよ。でもつまりさ、どうなりたいかじゃない?」
ウルフヘアを目指してレイヤーカットにすれば、かなり顔周りがカジュアルダウンする。
今のワンレンボブは、比較的キレイめな印象を持たせる。
わたしが体にフィットするニットを着ていたのもあって、美容師の意見としては「今日の服に合うのは、断然切らないほうだよね」と言う。
なるほど、どうなりたいか。
日常着も、仕事着も、すごくカジュアルな服を着ることがほとんどだ。わたしにはオフィスカジュアルとかキレイめファッションが分からぬ。けれどもスウェット選びには人一倍に敏感な、そんなわたしだ。
つまり、服もカジュアルで顔周りもカジュアルにすると、めっちゃカジュアルになって、こどもっぽくならないかな、とふと思った。
わたしは顔つきが幼いというか少年っぽいというか、とにかく明らかに大人然とした顔つきではない。だから大人っぽかったり女性らしい髪型とは対極の存在だと思っていたのだが、実はそうでもない。
ファッションは引き算が肝要だとよく皆さんおっしゃる。それは、正しいんです。料理と同じで、これも入れてあれも入れてでは美味しくない。でも待って、引き算とはなんですか?
ただシンプルにすればいいって話ではなさそうだし、シンプルな服が似合う人とそうでない人がいる時点で、どうやらファッションは引き算だけの話ではなさそうだ。
もしかしたらファッションは、算数なのではないか?
まあ、そんなことをね、シャンプーのあいだのほんの五分とかのあいだに考えまして、自分の属性を思い浮かべるわけです。166センチの中肉、骨格ストレートのPCブルベ冬、顔タイプはフレッシュ。そういう、自分の外見にまつわる属性を。
いろいろと要素を並べて、まあ、結果的に、髪の毛にレイヤーを入れることを日和りました。
ウルフ日和ってる奴いるゥ!?
います。ごめん、マイキー。
だって、まだ顎先の長さの髪の毛でできるウルフなんてたかが知れているので、もう少し先でもいいわけです。選択肢なんてなんぼあってもいいですからね。
というわけで、宿題ができました。
おしゃれって、自分というマネキンがある時点ですでに算数が始まっていて、つまりスタート地点が100の人もいれば0の人もいるわけです。自分のマネキンがまず何点なのかを考えて、そして自分が最終何点になりたいのかを考えて、そこから洋服、メイク、髪型などなど、足し引きをしていく必要がありますね。
そうですよね。ね。(圧)
自分がどこに到達したいかを考えて、算数をしていく。それがおしゃれ、それが人生。