自分は日本神話が好きだが、そもそもなぜ古事記を読もうと思ったのかを書いてみる。
それは、「読まなければ分からない問題」に出会ったからだ。
小学生の時、とある本には「日本は神が産んだ」と書かれていた。しかし、別の本には「海に矛を入れてかき回したらできた」と書かれていた。 どちらが正しいのか、自分には分からなかった。結局、それを確かめるには古事記を読むしかなかった。
正解は、「神が産んだ」が正しい。 矛で作られたのは基本的に「おのころ島」という島だけで、それ以外の島はイザナギ・イザナミの夫妻が産んだものだ。これは「国産み神話」と呼ばれる。
では、なぜこうした誤解が書かれていたのか? 理由は単純で、日本神話に詳しくない人が適当に本から孫引きし、伝言ゲームのように変節してしまったからだ。そして、その過程で関わった人も皆、日本神話に詳しくなかったため、そのまま世に出てしまったのだろう。
ちょうど最近、「火の鳥展」 に行った際、解説にかなり適当な言説が書かれていて、「これは良くないな」と感じたところだった。
もっとも、解説を書いた人は歴史の専門家ではないようなので、厳しく批判するのも野暮だと思っている。それは仕方がないとしても、「門外漢が専門外のことを書くと、めちゃくちゃな内容になってしまう」 ことや、「日本神話の基礎的な部分を理解している人が非常に少ない」 ことをよく示す事例だと感じた。
そもそも、最初に紹介した疑問は、小学生の時の自分が抱いたものだった。 自分は中学生の時に古事記を読んで真実を知ったが、そもそも疑問を持つ人自体が少なく、さらに疑問を持って実際に原典を確認する人はもっと少ないのだろう。