大学生のとき、自分に何ができるのか分からなかった。高校生のときは国立大学に入ることを目標にしてしまっていたので、大学受験が終わった途端に、すべての糸が切れてしまった。恐ろしいほどに自分が想定した結果を得られたのに、突然目標を失い、どこに向かったらいいのか分からなくなっていた。
そんな状況でWebプログラミングをしたとき、自分にとっては難しくない変更で感謝された。それで、Webプログラミングは一般的には難しく、ほとんどの人にはできないことなのだと知った。そして、それが自分には簡単だったこと、自分は楽しくパズルを解いているだけで社会に貢献できることに気付いた。
しかし、やっていくうちに、自分の知識のなさのせいで、貢献したくても貢献できることが少ないと気付いた。Webプログラミングで覚えることは多かったが、本当に良いWebサービスを作れるようになって社会に貢献したいと、無邪気に思って努力することにした。
そのために、大学卒業前に高い技術力を持ったWebエンジニアになると決め、そこからはそのためにできることを逆算して動き続けるようにした。
しかし、現実は思うようにはいかなかった。技術力を上げればできることが増えるのは楽しかったし、実際に色々できるようにもなっていた。けれど、ある日突然、自分の仕事が何も進まなくなる経験をした。
本当に良いWebサービスを作りたければ、技術だけでは足りない。技術はもちろん重要だが、技術を活用できる組織がなければ無駄になることに気付いた。
結局、大学生のときに想像していたよりも、ずっと大変な状況になった。自分は技術をやっているときが一番楽しいので、楽しさという観点だけでいえば、技術だけをやっていたほうが、はるかに楽で楽しい。けれど、それでできることは自分の目の前にあることだけだった。もっと大きな、本当に良いWebサービスを作って社会に貢献するという目的は、それだけでは達成できないのだと気付いてしまった。
そのことに気付かなければ、どれほど楽だったかと思うこともある。しかし、自分の人生では色んなことが起こってきた。これは自分の運命なのだと半ば諦めて、目的達成のために自分という人間を操縦している。目の前で起こっていることは、どんな映画よりもおもしろい物語である。そう思うことで精神を保っている。
人間はいずれ死ぬ。そのことを、先日入院してから意識するようになった。手術が成功していれば命に関わる病気ではなかったが、それでも考えるようになった。自分が生きている間に、社会を自分の手で豊かにすることができるのか。ずっと、その社会実験をしている。
自分が生きている間にどこまでできるのか、まだ分からない。けれど、いつ死んでも悔いのないように生きていきたいと思う。