母の絵本

catnose
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僕の母は絵本作家なのだが、その母が描いた絵本に娘が最近ハマっている。娘に「これはばぁばが描いたんだよ」と言ってもぴんと来ていないようだが、自分の描いたものが孫の心を掴むというのはこれ以上ない喜びに違いない。

うちの母は遅咲きの作家だ。息子たちが小学生の頃から、毎年どこかの絵のコンテストに応募していた。締め切り直前まで絵を描き込み、最後はコンビニまで猛ダッシュで向かう様子を見届けるのは我が家の恒例行事だった(17時までにコンビニで出せば間に合うから!みたいなことをいつも言っていた)。母が絵本作家として商業デビューしたのは僕が大学生を卒業する頃だったと思う。

息子の僕から見て、母は昔も今もなんだか頼りないし、キラキラもしてないし、エネルギッシュでもないし、とりわけ個性的なわけでもない。イケてるクリエイターっぽさや巨匠っぽさは皆無なわけだが、そんな母が作る作品を楽しんでる人たちを観測すると、平凡な自分も淡々と手を動かし続ければそのうち誰かの心を動かせるものが作れるんじゃないかと勇気がもらえるのである。

@catnose
しずかなインターネットの開発者です。大したことは書きません。Twitter: @catnose99