しずかなインターネットではAIによる文章作成アシスト機能みたいなものを搭載する予定はない。技術的には面白そうなんだけどね。
他人に情報を伝えることや、心をつかむことを目的とした文章は、今後人間の手だけで書くべきじゃなくなる。5年後、仕事でAIをまったく使わずに長文を書いていたら、よほど思想が強いか、仕事ができない人だと捉えられてしまうだろう。誤字脱字があれば「なぜAIにチェックさせないのか」と注意されるかもしれない。
今後世界で生まれる文章のほとんどはAIが書いたものか、AIのレビューを経たものになる。数少ない例外のひとつは、生産性を求めない自分向けの文章、つまり日記だ。
日記はAIに書かせず、自分の手で打ち込んで残しておきたい。AIの力を借りて書くのは楽だが、それゆえに自分の思考の根っこにたどり着く前にAIが示したバイアスに頼ってしまう。
日記はAIにレビューしてもらう必要はない。誤字脱字があっても良い。思考が偏っていても良い。人気のAIモデルはできる限り世間一般における正解らしきものを提示するものになるだろうから、むしろ偏っている部分にこそ価値があるかもしれない。
世の中の99%の文章をAIが作成する時代、残り1%のうちの、ほんの一部がしずかなインターネットに書きなぐられていったら嬉しい。