2004年製作。タカラ(現タカラトミー)より販売されたホビー「バトルビーダマン」を扱ったホビーアニメ。前番組「爆転シュート ベイブレード Gレボリューション」から継続して見始めた作品だが、気付けば凄まじい勢いで推しを拗らせていた。今のところ彼以上に拗らせた推しは居ない。続編に「B-伝説!バトルビーダマン 炎魂」があるが、こちらはどういう訳か作品の傾向がガラッと変わってしまっている。
本作はボウルいっぱいの西部劇に、一掴みのファンタジーを混ぜ込んだような、シビアな世界観が特徴的だ。特に貧困の描写は生々しい。主人公・大輪ヤマトも、ギャグ表現とはいえ金銭関係で振り回される台詞や話がいくつか存在する。貧困が遠因で歪んでしまったキャラクターも存在する辺り、なかなかに厳しい世界である。
好きな点はいくつかあるが、真っ先に思い付くのはやはり台詞回しだろうか。ギャグでもシリアスでもセンスを感じさせるものが多く、聞いていて飽きない。特に、ストーリー前半のボスである炎呪の台詞は秀逸だ。彼はアニメ化の際、大きな改変を加えられたキャラクターの一人だが、原作にあった台詞は見事に「アニメ炎呪の台詞」へと昇華されていた。その甲斐あって彼の口撃力は、作中で一二を争うキレの良さを発揮している。
そしてこの炎呪もまた、バトルビーダマンの魅力のひとつだ。お察しの通り、推しである。卑怯な真似を厭わない冷血漢で、何者をも寄せ付けない強さを誇る炎呪だが、アニメにおける彼のキャラクター造形はおそらく「もう一人の主人公」だ。過去回での彼の在り方や、ストーリー後半での行動は、まさに影の主人公そのものである。だからこそ丁寧な改変で諸々を盛って、物語が破綻しないように整えたのだろう。ちなみに彼の過去回だが、人によっては死者が出る話よりもダメージを負う可能性があることを添えておく。自分は多大なダメージを受けた。
ストーリーは王道も王道。大会、悪の組織との対決、旅、世界を巻き込んだ最終決戦と、よくある構成だ。だが、確かな面白さがある。それはやはりキャラクターたちが、彼らなりの信念を持って動いていたからだろう。
他にも西部劇を意識したBGM、夕方や夜の場面でもたらされる静けさと喧騒の対比、男女それぞれの強さと戦い方など、良いところは多分にあるが、ここら辺で幕とする。最後に一言。炎呪はいいぞ。