KPOP ベスト 2025

cementthing
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公開:2025/12/30

 あっという間に年の瀬ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私は普通に今年もKPOP聴いて、年末にラヴ上等とか観て、映画観て、ライブ行って、旅行して……と変わらない毎日を送っていました。

 もう20年代も半分終わるって信じられます?テン年代ようやく終わったぐらいの気分なのに……まあでもフランク・オーシャンが新しいアルバムを出すまではテン年代だと思ってるんで、とりあえず来年もがんばって生きていこうって感じです。わけのわからないインスタ裏アカとかなんだったんだよ……

  • POW (파우) 'Wall Flowers' 

毎年POWすげえわ~って言ってる気がしますが、今年もすごかった。メロディやコーラスの組み立て自体はKpopマナーだけど、そこにヒップホップとオルタナR&Bとアトランタベースが混じり合った低体温なトラックをかぶせるのがかっこよすぎる。センスがいいんだよな~~~~~あと50倍ぐらい売れてほしい。制作陣にLAのラッパー/ソングライターDuckwrthが入ってて、だからなのかちょっとテン年代インディのレイドバックしたムード(ジ・インターネットとか)の余波も感じたり。そのラインをアイドルポップスに落とし込めるんだなと。こういう意外なジャンルがアイドルポップスという枠のなかに落とし込まれた時に生まれる味わいはKpopらしいなと感じる。やっぱりアイドルという存在を通して「このジャンルにはこういう見せ方もあるのか」「この要素とこの要素をつなげるってアリなのか」「アイドルが歌うとこう響くのか」という記号操作的というか、演出の美学的な面白みを感じさせてくれるやつは楽しいな〜と。無責任な消費者的態度だと言われればそうですが……

  • Hearts2Hearts 하츠투하츠 'FOCUS' 

満を持して今年2月にデビューしたSMの新ガールズグループHearts2Hearts(ハーツトゥハーツ、ハトゥハ)。デビュー曲「The Chase」はFLOプロデュースのドリーミーなR&B、続くシングル「STYLE」もさすがのKenzieニムな安定の作詞力が光るニチアサ女児向けアニメ主題歌的友情ばんざいポップハウスっていう、完成度高めのカムバが続いているわけですが、明らかに大先輩の少女時代を意識したメンバー編成であるため、特大ヒットを常に期待されていてちょっとかわいそう……そんななか直近のカムバ「FOCUS」はラテンなフレーバーと跳ねるピアノリフが楽しいクールなハウスになっていて、かなり好きでした。MVもよくみると可愛らしいのに悪夢みたいな内容で面白いし……THOM BROWNEでまとめたコーデもよすぎる。アイオウ・エディバリーと共演してほしい。来年も頑張ってほしい。近いうちにトンチキヒットを出してください。

  • HYO 효연 'YES' 

ダンサーでDJをやっているということもあるのか、フロア向けのダンスチューンでカムバすることの多い少女時代・ヒョヨンの最新曲。DV撮りのラフな映像とインパクト大なタイポグラフィ、あえての粗さを残した編集が往年のユーロダンスを彷彿とさせる、クールでスタイリッシュなスピード・ガラージ。映像に予算がかかってなくてもQueenは光り輝くの……とか書かれてて笑ったけど(こういうムードを出すための意図的な選択だと思います)、実際今年のKPOPのMVでは一番経済的に打ち出したい美学を表現できていたと思う。VFXなどは独特な雰囲気のファンエディットをアップしてきた映像作家「nohluhn」の仕事で、こういう「Aesthetic」的なノリを違和感なく持ち込めるものなんだと思った。

  • NMIXX(엔믹스) “Blue Valentine” 

デビュー曲「O.O」の斬新すぎる内容(複数の曲が正面衝突してキメラ化したみたいなトラック)でKPOP界に衝撃を与えたJYPのガールズグループ、NMIXX。大衆の支持を切り捨てるかのような尖りまくったコンセプト「MIXX POP」を掲げ、デビュー直後ぐらいはこれ、どうなるんや……と思ったものですが、今年に入ってからぐんぐん人気を上げ、この曲で韓国のヒットチャートを軒並み席巻する大成功を収めました。楽曲自体も複数ジャンルをミックスするという基本線からは外れていないものの、そのうえでのまとまりやキャッチーさが向上しているというか、クオリティが上がってきていて、コアなオタク人気の高い楽曲派ドルがブレずに我が道を行き結果としてハネまくったような逆転状態に。これって、3776とかMaison Book Girlがオリコン1位になるみたいなことじゃないのか?と思いました。私はDisclosureみたいなディープハウス曲「Roller Coaster」がけっこう好きでよく聴いてたんですけど、あれはあくまで例外で、今年はこの人たちの「真価」にようやく気付かされたような気持ちになりました。

  • SHINee 샤이니 'Poet | Artist'  

私はシャヲルなので、SHINeeがカムバックしたら無条件にベストに入れんわけにはいかんでしょう、というのと、まさかのジョンヒョンが残していた曲だったという。当時に感じたいろんなことをまだ生々しく覚えているので、本当に聞くたび感慨深いというか。今回これをお蔵出ししてもらったことに感謝しつつ、この曲とも長く付き合っていきたいなと……なによりSHINeeのカムバとしてちゃんといい曲なのが嬉しいんですよね。今年は各メンバーのソロ活動も充実していたし(ミンホの「Tempo」が一番好きでした)、なんならシーグリも4人でやってくれて、もうそろそろデビュー20年も見えてきたのにいまだ弛まず活動を続けてくれるSHINeeのみんなに感謝。

  • YENA「STAR! (feat. Hatsune Miku)」

昨年はっきりJPOP(というかボカロ曲)をレファレンスしした仕上がりの「NEMONEMO(네모네모)」をヒットさせた元IZ*ONE・イェナの最新シングル。日本の若者がKPOPを聞くように、最近は韓国の若者が普通にJPOPを聞いているJPOP特化フェスもある)というのは知っていたけれど、それでもやっぱり韓国語で知名度のあるアイドルがこのめまぐるしい曲調で歌うんやっていう、両国の文化的境界線がどんどん曖昧になってきているんだな~という、時代は変わったもんだなあと。プロデュースしているのも韓国のプロデューサーグループ、PRISMFILTERだし……明らかにこの手の曲のツボを理解(わか)っている……そして今年はまさかの本家本元・初音ミクとコラボ。この勢いでイェナさんがジャンプアニメのOPを歌う世界に早くなってほしい。

  • DAYOUNG (다영) "body" 

STARSHIPのガールズグループ・宇宙少女(WJSN)のメンバー、そしてKPOP史に残る唯一無二の神曲슈퍼 그럼요(Super Yuppers!)」を出した宇宙少女 Chocome (우주소녀 쪼꼬미)のメンバーでもある、ダヨンのソロ曲。大胆な一手を打ち続けてきた彼女の最新MVは、まさかのアトランタベース風味の爽やかな夏向けR&B。それまでのイメージを一新、初期ティナーシェのような新たなスタイルで、ソロデビュー曲ながら大ヒット。本当にこのMV観たとき、えっ!?これダヨンさんなの??と度肝を抜かれました(タンニングしたうえに12kg落として身体を絞ったそうな)。デビュー9年目なのに次なにを出してくるか全く予想がつかないダヨンさん……おもしれー……ちなみにこの曲がヒットしたのでクリスマスシーズンにもこれを踊っていましたが、Back To Basic期のアギレラのようなバーレスク風の寸劇、冬にも関わらず真夏みたいな格好という、ツッコミどころを「迫力」「気合い」でねじ伏せるパフォーマンスに感動したのでした。地味にハンドマイクで生歌にこだわってるし……もはやKPOP職人と言っても過言ではないダヨンさん、これからも活躍してほしい……

  • TEN 텐 'BAMBOLA' 

SMのアイドルグループ、NCT/WayV(威神V)/SuperM所属、タイ出身のアイドル"チッタポン・リチャイヤポンクル"こと"テン"さんのソロ曲。これタイトル曲(アイドルが活動するときにメインとなる曲)ではなく、2ndミニアルバム「STUNNER」の収録曲、つまりアルバム曲なんですが、先行シングルのような位置づけでMVが作られました。アルバムの内容を小出しにして期待を高めるため、短めの尺でティーザー的に収録曲紹介映像を作るというのはけっこうKPOPあるあるなんですが、これはガッツリ一曲丸々PVを作ってます。ただそこまでやる気持ちもわかるというか、ファンキ+deconstructed club界隈を強引にポップに引き寄せたみたいな……?曲としての構成がポップソングにしては変すぎて、これを消化できるだけのスキルがあるんですよ~というのを見せつけたいのかなと思いました。よくこれでキープして踊れるよな……一昔前のSMはこういう変な曲を毎月のように出していたな~と思うし、久しぶりにそういうバイブスの曲がリリースされて嬉しかった。SM、これぐらい毎月攻めてくれ……

  • ARTMS 'Icarus' 

なんだかんだで無視できないチョン・ビョンギ(MODHAUSのプロデューサー)の仕事。はっきり意識するようになったのは海外のクィアなKPOPファンに大人気の「今月の少女/LOONA」プロジェクトからですが、JYPにも在籍していたので知らないうちに合計15年以上彼の仕事に触れているということに気付き、刷り込み……と思いました。同じ事務所のtripleS(トエス)も好きなんですが、一昨年と去年の「Rising」「Girls Never Die」級のインパクトがあったのはARTMSのこれかなあと。いや曲自体は普通にいい曲なんですけど、MVがこれ15分もあるんですね。気鋭の映像制作集団DigipediによるそのMVの振り切り具合といったら……もはや怖い……再生したらまず手を失った半人半鳥のキャラがでてくるし……とはいえ、波長が合う人にはたまらないものがあると思いますし、こんな世界観を全力でやってるのもすごいし、あとこう言ったらなんだけど90年代や2000年代のオタク文化と親和性の高い暗いイメージがたくさん出てくるので、抗えないんだよな……ビョンギのセンスに……ビョンギのあの独特すぎる檄文みたいなブログも正直好き(唐突に倉木麻衣について熱弁するエントリまだ面白い)だし……来年もMODHAUSは追いかけようと思います。

  • Yves 'Soap (feat.PinkPantheress)' 

トリを飾るのは同じく今月の少女/今月の少女yyxy出身、イヴ(Yves)。韓国のプロデューサーMILLICが設立した(今月10月に辞任)レーベル、PAIX PER MILに所属してソロ歌手として活躍している……という背景を考えると、KPOPというかK-indieなんじゃないのとは思いつつもやっぱ好きだったので入れました。ジュークとかアトランタベースとか、ガラージの要素もあるR&B。KPOPのいいところはどんなにいじっても基本はR&Bなところで、そこが好みに合うんだよな……去年の再デビューEP『LOOP』から一貫していろんなエレクトロニック・ミュージックの要素を取り入れたポップスをリリースしているイヴですが、まさかの今年はイギリスのピンクパンサレスとコラボ。しかもそのコラボのきっかけのひとつがイヴのファンがピンクパンサレスのファンミで「コラボしてください」と直談判したからという嘘みたいな話で。

というか、このエピソードひとつとってみても分かる通り、イヴってめちゃくちゃクィアなKPOPファンからの支持が厚いんですね。もはや最近はその層を超えてKPOPをそこまで聴かない英語圏のリスナーからも「韓国のエレクトロニック・ミュージックのアーティスト」と認識されつつあるというか……いつの間にかクィア・アイコンになっている感があって。Oklou、Kelela、FKA Twigs、Charli XCX、Pinkpantheressというようなラインに本格的に東アジアから加わりつつあるんじゃないかなと。ちなみにこの”Soap”はRebecca Blackの”Sugar Water Cyanide”をサンプリングしているんですが、普通にGeniusのチャンネルで共演動画が上がってビビりました。

(「DIVA」と書かれた服をよく着ているイヴさん)

ここまで紹介してきたKPOPベストのまとめ画像

……というわけで2025好きだったKPOP曲を10曲あげていったわけですが、どう考えても枠が足りない!というわけで、選に漏れたけど紹介したい12曲をまた後日アップしようと思います。どうせ私が勝手に書いているだけの記事だし……そちらについてもお付き合いいただければ嬉しいです~

(2025.12.30)