こう書くと俄かに「油」の字がゲシュタルト崩壊してきませんか？ みなみちはやです。
たまに食べたくなりますよね、油そば。ラーメンとはまた違った魅力がありますよね。なにより汁を飲まなくて済むのがいい。これを食べた店にも「油そばはヘルシー！ ラーメンよりもカロリーが2/3で済む！」などとまず比較対象のくくりが「人類」「麺類」「世界平和」くらい雑な上にラーメンよりカロリーが2/3だからってお前……ヘルシーとは言えんのとちゃうか？ と善なる市民としては騙されたような気分になる上にまずどれだけイメージをよくしようとジャンクフード屋なんだから罪悪感は拭い去れないことを知ってほしいし無駄な足掻きを卓上に載せて欲しくないとおもうわけであります。それならむしろ「パンチが足りないあなたに……」などというポップをつけた金属パイプが出てきて生ビールよろしくバルブを開くとマヨネーズがとても描写できない排泄を暗示する音をブリュバリュ立てながら丼に流し込まれるくらいの思い切りとパワーが必要なんじゃないのと思いつつ、半分くらい食べると「フゥン……」と某酒クズVのようなため息をついて腹一杯の自分の年と腹と人生を見つめ直す羽目になるのである。
一杯の丼には人生が詰まっている。と池波正太郎も言っているように(言ってねえ)。(言ってたらどうしよう)(言ってねえから安心しろ)。
何の話だっけ。ああそう、油そばって汁がないからいいよね。いやでもまずね、汁というかスープっていいですよね。ラーメンのは特に好き。それが魚介の旨みがガーン！ 化学調味料がドーン！ 海！ 人類は海から来てラーメンスープに帰る！ って感じで好きなんだけどそれでもスープってうざったくないですか？ 大量な具に浸かったスープというものに対して、具とスープを別々に食べたいという気持ちになりませんか？ 味噌汁をわかめのおひたしと冷奴とそれらが浸かっていた味噌スープで別々に食べたいと思ったことないですか？ あ、思わない、そう……まあ俺は毎日思っているんですけど……価値観はひとそれぞれですからね……いや、いいんですよ、これからもわたしたちいいお友達でいましょう？(小首をかしげて彼女は一歩下がった。夕焼けは遠い、風はまだやさしい、屋上の開放時間が終わる、金網越しの校庭に球児たちが飛び出していくのが見える。遠雷)
油そばを初めて食べたのは吉祥寺のぶぶかでしたねえという話をしようとしていましたが。だいたいこれくらい書くと巻いたネジが切れて飽きるなというのがわかってきたので今日はこの辺で。チョロQみてえな人生だな。やめなよ男子、ちはやくん泣いてるでしょ。