池袋にいたのだがひどく寒かったので、麺を啜りました。なぜスープの温かいラーメンにしなかったのか……つけ麺だとシメのチーズリゾットがうまい!! と書いてあったのでつい。麺にレモンが断りもなく置いてあるタイプのおしゃれなつけ麺でつけ麺なのに麺を増やすのに料金がかかるタイプ。おかげでわけもなく増量せずに済んだが、このスープの量だと麺増やしたらリゾットにする分が完全に残らないんだよな。麺も増やしたらスープも増えると思いたいところである。
味? なんか肉が2種類あってうまい。つけスープにネギがたっぷり沈んでいるのとかも良い。お上品なつけ麺でおいしいです。
鳥山明が死んだ。Fより長生きしているとはいえ早い気がするし、特に思い入れがなかったと自覚しているはずなのにどこかこのニュースをきいて、確かに「心に穴が空いたような」気持ちになる。我々の世代、その親からしたらドラゴンボールは与えるべきでないコンテンツ、悪の象徴だったじゃないですか。でもみんなドラゴンボールとキン肉マンと聖闘士星矢が好きだった。俺は幼少期フランスにいたし、その時与えられた漫画コンテンツはドラえもん、ブラックジャック、少年少女まんが日本の歴史、学研のひみつシリーズだけだった。しかし日本人学校の友達の家に行けば必ずと言っていいほど聖闘士星矢かドラゴンボールかキン肉マンがあったのだ。友達の家に遊びにいくというのは海外の小学校低学年にとって気楽にできることではない。親が連れていく以外に方法がない。友達には興味のなかったおれはその家の漫画を読み漁り「ちはやくんはうちの子と遊んでくれない」と言われ次々と出禁になった。しょうがないのだ、小学校低学年のクソガキどもより漫画が面白いのが悪いのである。それが故に俺のそれぞれのジャンプ漫画の知識は飛び飛びであった。アニメもやってはいたがフランス語であるし声がおかしくドラゴンボールはいつ見てもレッドリボン軍とループして戦っていた。俺はそれらのアニメでフランス語を覚えることはなかった、いまだにフランス語でできることは鉄腕アトムの主題歌を歌えることぐらいである。音で覚えているので意味はわからん。やがて中学受験時期になり、おれはドラゴンボールがジャンプという週刊漫画雑誌に連載されていることを知った。しかし、ジャンプは小学校で俺をいじめていた奴らが読んでいたので頑なに忌避し、俺はヤングジャンプやヤングマガジンのちょっとスケベな漫画からスライドするようにドスケベ漫画雑誌ペンギンクラブを塾をサボってコンビニで読んでいたところ、クラスメイトの親御さんに告げ口され家族会議が勃発した話は何度かしていると思う。そうして俺はドラゴンボールがどうなったのかわからないまま、たま〜に飯時につけられるテレビでドラゴンボールを見ていた。テレビで見るドラゴンボールはいつもナメック星で、先週のあらすじに10分使い、あとは対峙した悟空とフリーザがシュワシュワしてるか、他の誰かがシュワシュワしながら飛んでるかどちらかであった。こんなんだっただっけドラゴンボールって。と思った。
中学に入ってから俺は駅のキオスクでジャンプを買って通学した。ジャンプを持っていくと他の週刊雑誌と交換ができるのである。ダイ大とアウターゾーンとヘルズウォリアー魔王が読めるので最高の雑誌だと思っていた。その頃のドラゴンボールは確かもうブウ編でどうにもイマイチピンとこないまま終わっていったはずだ。なにせ一年後に今度はアメリカにいくので分化が断絶しまくりなのである。やがて俺は第二外国語をフランス語にした挙句単位を落として退学してからも入り浸っていた文芸部の部室で先輩がスマブラやっとるのを横目にドラゴンボールとジョジョと兎を読破した。
ドラゴンボールのことは正直そこまで好きではないが、この好きではない感情は、例によって世の中の人が熱狂的に好きなので敬遠しているところが大きい。それくらいこのコンテンツは、嫌になる程俺のような世代の者のすぐ隣にいていつまでも、今でもそこにいる。ドラクエもクロノトリガーも当時は特に深く考えなかったが、パッケージの絵がユーザーに与える世界観の力がものすごかったように思う、それはきっとドラゴンボールもそうで、バトル三昧になる以前、あの独自の世界観なのに世界がどこまでもつづいていく質感、立体感、温度、そういったものを感じさせてくれていたように思う。
でも俺はあの小学生の頃、ジャンプを買ってもらっていながら「ドラゴンボールしか読んでねえ、他クソだもん」っていってたあいつのことがまだ嫌いなんだよ。同じ口で透明な下敷きにつの丸のマンガの模写して仲のいいクラスメイトにばら撒いたりしてたあいつのことが。
修学旅行の風呂で教師が全員知ってる歌うか〜! から全員でドラゴンボールZのOP歌い出した時の気色悪さを、俺は忘れずに生きていくよ、ドラゴンボールを嫌いなんじゃない、ドラゴンボールを無遠慮にみんな好きだろ!? っていうやつらが嫌いなんだ。そして、これらはどれもそれだけのエネルギーを持っていた。俺たちはファンタジーを思い浮かべる時、いまでもまだ、ドラクエ1〜3のイメージから逃れることはできないはずだ。