新宿で冬が終わる前に行きたくなる店

そう。新宿で近所の散歩のついでに来ましたみたいな顔したおじいさんに、新宿でいい感じのお店あります? と聞いたら100人中30人くらいはこの店を答えてくれる気がする。なぜならもう古い店はそんなに残っていないので。そう、ロールキャベツといえばでお馴染み、新宿の老舗「アカシヤ」のロールキャベツです。年に一度は食べたいが、年に二回食べたいかと言われるとそうでもない。でも寒い時期にこう、酒を飲めと言わんばかりの味の濃さのホワイトソースにひたひたに浸かりのぼせたくたくたのロールキャベツをかみしめた時にだけ得られる幸福感というものがこの世には存在する。腎臓に悪そうな味するし、この世で一番美味いロールキャベツは絶対他にもあるんだけれど、もし、人生の最後にロールキャベツを選ばねばならない日が来たならば、アカシヤのロールキャベツを選ぶくらいには味がするのである。まあ何がいいって店構えに味があるんだよね。昭和の洋食屋の味がよ。

これはアカシヤのホタテのクリームコロッケ。クリームコロッケを食べるのは実は初めて。前々から確かめたいと思ってたんですよ、なにせクリームコロッケの中身はホワイトソースだから、このロールキャベツが浸ったクッソしょっぺえシチューと同類のものが入っていて腎臓に上から下からダブルパンチって寸法かと思いきや、さっぱりしている。サクサクの衣、スッと消えていくソース、スッと消えていくホワイトソース。ホタテの面影だけがサクサクの食感に象られて心象に焼きつき消えていくのである。優しい。まあ大抵誰しもが頼むロールキャベツと一緒にしょっぺえの出てきたらみんな高血圧で死んでしまうからな。

サイドメニューのベーコンとソーセージのハーフ&ハーフを切り刻んだものです。添えられたマスタードの瓶が可愛かったんだけど写真撮ってねえわ。粒マスタードかけ放題だヒャッホウ! こんなのなんぼかけてもいいですからね! って興奮する以外は特に喜ばしい点はない。普通に美味しい。なんだよ普通に美味しいって。ソーセージとベーコン食べたいならまあ、他の店でいいかな的な……。

以前はまだ会計した時に店名を書いたマッチがあったと思うんだが、同じサイズのリーフレットになっていた。あのブックマッチ? 確か去年くらいに最後の生産者が廃業したみたいなニュースを聞いた気がする。あのブックマッチというの子供心に様々な店のおしゃれなお土産で、父や父の会社の人のポケットから出てくるその大人の怪しげな雰囲気を纏ったアイテムの全般的な存在に憧れのようなものを抱いていたのかもしれないな、とそれがあった場所からなくなったのを認識した時に思ったりした。

これは食前酒。

新宿高野は地下道から行けるパフェリオというカウンターだけのコーナーがあるんです。ちゃんとしたパフェは高いしちゃんとしすぎてるので、手軽にフルーツパフェをいただきたいな〜! って時に選びたい。これは久々に食べたマンゴーパフェ。食べどきの美味しいマンゴーを家で食べる自信は俺にはないからな。うーんうますぎ謙信!

各席にいるこいつ、可愛すぎ謙信!