
Libroariaの香水は、本にちなんだシチュエーションや香りのコンセプトが素敵で、存在を知った時から気になっていた。通販はしているものの、いつ覗いても在庫切れ状態。実店舗は無いに等しく、常設のポップアップショップは気軽に行ける場所に無かった。
そんな時、たまたまGWの期間中に、行ける範囲の蔦屋書店でポップアップショップが展開されることを知り、これの為に赴いた。陳列棚のテスターの匂いをそれぞれ嗅いでみて、その中で一番好きな系統の香りだったのが「雨の図書室」だったので、隣に並べられていた本と共に購入した。本は元々購入予定になかったが、タイトルと帯が気になり衝動的に買ってしまった。
香水は今まで開けるのが勿体無くてしばらく置いていたが、ちょうど梅雨に入るし時期的にコンセプトとピッタリなので、これから使用していこうかな……といいつつ、実は既に2回ほど使用している。ほんのりと甘い、静けさを感じさせるような香り。外は雨が降っていて、室内は少し薄暗い、静かな図書室を連想させる。ただ、つける量を間違えると少々重い気もする。あと後日気がついたが、雑貨店で買った別ブランドの紫陽花の香りのルームフレッシュナーと香りが似ている。紫陽花に寄せて作ってるのかも。
本の方は少しずつゆっくり読み、つい先日、ようやく最後まで読み切った。私はメンタル面でマイナス方向に引っ張られるとそのまま落ちていくことが多いのでその辺りを強化したく、背中を押してくれそうな言葉を見つけたい時、こういった類のものを摂取したくなるのである。
著名人の本の一部から、小説のフレーズの一節から、X(旧Twitter)の呟きから、インタビューの一部から…著者が感銘を受けた文章を、馴染みのある言葉に言い直したりして、それについてのエピソードが綴られた本だった。
読んでみて、いくつかなるほどな〜と思う項目があった。人間にも冬眠という能力があったらいいのに、という話は共感しかなかった。私は寒さに弱いので、冬になる度強く思う……。あとこちらは趣味でやっている身だが、創作者として「悪意のある言葉に振り回されず、誰に向けて作品を書くのか、ブレてはいけない」という言葉は、常に忘れずにいたいと思った。岡本太郎の「絵がすごいのではなく、感動するこちらがすごいのだ」は考えたこともない斬新な視点だと思った。さすが歴史に名を残すようなことをした芸術家は感性が違う。それとこれはどちらかというと引用された文よりエピソードの方だが、傷つく出来事があって辛い、という話の中で出てきた「香木は傷つくからこそ香る」というフレーズが印象に残った。沈香などの香りはそういった工程で出来るんだなという発見と、それを人や人生に例えるというのが、なんとも素敵な考え方だなと。「人生には生を引き寄せるシーズンと沈滞のシーズンがある」は正に今実感している最中である。これまでが沈滞のシーズンだったが、今月末からドドドッと色んなものが押し寄せてきた。来月から忙しくなる。環境も変わるので体調に気をつけつつ、順応していきたい。
と、途中から話が逸れそうになったが、そんな感じで、要所要所に共感したり、何かを再発見したり、なるほどと思わせるような本だった。一つ一つの章を噛み締めるように少しずつ読んでいって余韻に浸りながら読むことをおすすめしたい一冊。
良い買い物をした。香水はまた出会えることが出来たら、他の香りも試してみたいかも。