昨日、「恐ろしい考え」は一つしかないやろ!と思いながら76章を読んで寝て、さっき起きて「なんでこんなことになるん?」とため息をついてしまいましたね。
3巻と4巻を読む前に5巻を読んでいた時(いつも読み返すたびに新鮮に驚いているが実は1度通読しているのである)、みんなちゃんと話してくれ、要点を…と願ったものですが、再読しても変わらんな。それはそうなんだけど。
何もかもがどうしようもないまま生きてきて…登場人物は神と鬼なので人間の「生きる」とは異なるものの、あるがままで生きてきてるひとたちばっかなんですよね。原因があって今の境遇なんだけど、重要なのはそこではなく…いや、うまく言語化できないな、これ。もう少し考えをまとめたらこの物語の「何か」がわかるような気がするんだけど。
まあともかく、今の状況に直面しているひとたちが「なんとかしよう」って感じで動いてないので、こうなるんかな〜と思いますね。
例えば蘭菖、彼女は「精算」は求めてないわけです。彼女は錯錯の父親が誰か知っているわけだし、鬼となって八百年地上にいたけれど、宣姫のように悪さはなしてない(たぶん、今の読んでる時点では)。想像するに、自分から切り離された生まれる前の我が子を探していたんだろうと思いますが、「錯錯の霊と一緒にいたい」だけのように見える。だから、「なんとかしよう」ではなく、求めるのは「安寧」で、結果的にそれをつくってくれるかもしれなくても他者の助けは不要なのでしょう。だって、原因と思えるひとたちが集まってんだから、そこで一切合切ぶちまけたら好転するような気がしません?しない?私はするよ。でも、それをしないってことは、彼女は求めていないんでしょう。諦めてるのかもしれない。風信との過去がどうあれ、関係ないと言い切っているので。
しかし、関係ないとつながりを断ち切ってしまうのは、あまりにかなしいことです。
他のひと(神)たちもそう!やりたいことだけやる!やめろ〜それだと進歩も発展もねえんだよ!!て人間の私は思うけど、完全に部外者でサイトシーイングで物語を読んでいるので何もできない!つらい!!
これが最終章まで続くのか〜と思うと生暖かい微笑みを浮かべてしまうな。
さて、私の考えはともかく、物語の続きはどうなっているのでしょうか!?
「もしかして…」という風信に「違う」と言い切る蘭菖。「違う、あなたじゃない、違う」と何度も言う。謝憐は上天庭で他の神官たちに父親の嫌疑をかけたとき、彼女は彼にだけは指をささなかったことを思い出す。
戚容がいらんこと言うて蘭菖に頭を踏まれると谷子が「お父さんを踏まないで」とかばい戚容が逃げ出し錯錯は風信の腕を噛んだまま風信は蘭菖の腕を掴んではなさない風信は顔を錯錯に引っ掻かれて傷ついて血を流す……
えらいこっちゃです。
「もう放っておいて」と蘭菖と錯錯は姿を消し、扶揺は追おうとするがそれもかなわず、謝憐が状況を聞こうと風信に尋ねますが「何も聞くな」と一蹴されて風信も消えちゃう!
ああ…また何も解決していない…
それで結局みなさんバラバラになってですね、二人になった謝憐と花城はほんとの宿屋についてそこで休みます。
天眼開とか、どうなったのかな!?!?(下敷きになったままという表現があったように思うが…ミンチになってしまったのだろうか…)一応確認してみたら、死んでなかったっぽいから大丈夫だろうと判断してそこを去るのだった。
部屋に入って、謝憐は花城に最初に地上に落とされた時のことを話します。このときついてきてくれたのは風信だけでした。信徒がみな見放したときも、彼を花冠武神、太子殿下として敬ってくれたのは風信だけでした。
苦労をかけたこと、お金も全然なくて稼ぐ手段もなく、そして、風信は幼い頃から彼の身の回りの世話や護衛をしてくれたのに、何も褒美がなかったこと…謝憐は風信が誰かに思いを寄せたことがあるのかと考えもしなかったこと…。
妊婦に化けたとき錯錯の見せた幻の中で、謝憐はかつて彼が作ったお守りを見ました。おそらくそれは風信が剣蘭に贈ったもので、黄金のベルト(金腰帯という)もまた、あのとき彼が渡せるものだったのだろうと想像します。
風信が剣蘭のことを大切に想っているのは明らかだけれど、なぜ二人は離れてしまったんだろう?と疑問に思う太子殿下。
それは…あなたが天界に呼んだからでは…?違うの??
もし風信が錯錯の父親であるなら、引き裂いたのは自分だと考えていたので、あ、一応人の心があった…と安心する私。いえ、私も謝憐のことは好きですが、人としてどうかなということは度々あり、ほっとしたという次第です。
で、ここからの花城とのやりとりがまたかわいくてですね!
「もし彼が彼女のことを好きだったとしても、最後には別れてしまったのなら、それは彼らの間にあったのが単なる「好き」だっただけということじゃないかな」と花城は答えるのですが、謝憐は「物事は常にそのように絶対的なものじゃない。道が歩きやすいかどうかは、自分次第ではないこともあるよ」と言い、それに対して花城は「その道が簡単かどうかを決めることはできないかもしれない、でも、歩くかどうかはすべて自分次第でしょ」と静かに言う。
この言葉で"彼は心の結び目がほどけたような気がして、言葉もなく花城を見つめた。"という地の文があってですね…。いい!!!!!
「僕は間違ってるかな?」と言う花城に笑って「ううん、三郎、君は正しいよ!」と花城を抱き上げるのだった…。
太子殿下は若い頃の自分に後悔が多くて、それを飲み込んだりうまく飲み込めなかったりして八百年過ごしてきたんか…と思うと、しんどいな。人間なら泣いても笑っても終わりが来るけど。
「単刀直入に言おう。三郎のその生意気な言い方は、若い頃の自分によく似ている」と告げます。
花城はこうして謝憐に抱きしめられたり、放り投げられたりすることに慣れてしまったようで、諦め切ってるようで、しばらく二人はこうして過ごして最終的にベッドに花城を放り投げた時、何かがおかしいことに気づきます。
なんと、部屋の中に君吾がいた!!!!!!
神さまってノックとかしないんですか?なんで勝手に入ってくんの?こわいよ!!!!
どうして地上に、と尋ねれば、天界がしっちゃかめっちゃかだし謝憐は帰ってこないしな…と言われる。君吾と花城の間には緊張が走りますが、君吾は特に争うつもりはないらしく、座って茶を飲もうと準備してくれます。
いや、完全に招かれざる客、押しかけてきた客なんだが…。
花城を外して二人だけで話したいとも言われますが、隠すことは何もないし天界が混乱していることもすでに知られているからここでいいでしょうと、三人でテーブルを囲んでお茶をすることに。なんなんだ一体…。
君吾は当初、武神たちを銅炉山につながる道に配置し、そこに集まる鬼たちを蹴散らす計画だったのではないかと花城。そして、慕情が天界の牢を破壊し鬼たちを逃し、彼自身もいなくなったので南方の守護ができなくなった、と。
風信は戻ってきたけど傷ついていたし、しかも彼は蘭菖と彼女の息子には手を出すなと神官たちに言い付けてるらしい。君吾はとりあえず傷を治せと天界に残してきたそうな。
裴宿は追放中だし、奇英殿下もどこにいるかわからんし、霊文もいないときた。組織としては終わりですね。天界に「組織」という概念はなさそうだし。
謝憐は君吾が以前、鬼が集まるのを止めることはできなくても、別の解決策があると言っていたことを尋ねます。それに対して花城は「解決策?おそらく自殺願望だな」と一蹴。
その解決策とは「武神を派遣して銅炉山に集まる鬼の中に潜入させること」。銅炉山では神であることを明かせないしその力も使えないし見つかれば助けを呼ぶこともできません。危険な任務です。……危険な任務らしい。
花城が宿の外の植木や花を使って銅炉山を説明してくれます。
銅炉山の中心には巨大な炉があります。銅炉山を囲むようにして銅炉山脈があり、その面積は7つの都市に値するそうです。山脈の外縁から、殺し合いは始まります。最終地点は心臓部の炉で、そこで生き残った鬼が鬼王になる、らしい。
つまり、鬼は中心に近づけば近づくほど強くなり、中心に入れる鬼は手で数えられるほど。そして、入ってから49日の間に他の鬼を殺して出てこないとダメらしい。すごいバトルロイヤルだ〜。
この様子を花城は庭の土や草や花をつかって表現してくれるので、ぜひアニメで観たいですね!!
最後に残った花が地面に落ちる前に謝憐は手のひらですくって、この花が新しい世代の鬼王になるのか尋ねます。鬼王になるには殺し合いは避けられず、また、炉の中に入って49日の間に出てこなければその中で灰になるのみ。何も残らないそうな。
君吾のプランというのは、鬼王になる可能性のある強い鬼を殺し、炉の中に入って生き残れない鬼を入れる…ってことらしい。そんな単純なことなのだろうかって思っちゃうけど。
謝憐も「できなくはなさそうだけど、前例はあるんだろうか」と半信半疑。君吾は、前例はないし、これまで鬼が集まる前に阻止してきたと答えます。花城は「それは不可能だと思う。この状況下で戦うことは、名ばかりの自殺行為だ。そんな素晴らしいアイデアを思いついた人は、自分でやってみることを勧めるね」と言い、君吾は簡単に「私がやる」と答えます。
なぜ君吾が地上にやってきたかって、それはその役目を自分がやるから。そして、謝憐に、天界で自分の代わりを務めてほしいと頼みます。
「できるわけないでしょう!誰も私の言うことに耳を傾けません」と辞退しますがそれにも「彼らを説得するいいチャンスだ」と言う。
あのね、言うは易しなんですけど、組織の上に立って反発しかないところで相手の顔をこっちに向けるってめちゃくちゃめちゃくちゃ大変ですからね。クビにして新しい人間入れた方が早いから。
「天はあなたが支えているから落ちてこないのです」と、天界から離れることを止めようとする謝憐に「この世界の誰にとっても天は崩壊しない」と告げ、新たな鬼王が血雨探花や黒水沈舟であれば問題ないが、白無相であれば誕生そのものを阻止しなければならないと説得します。
この任務は君吾だけができることなのだろうと謝憐は葛藤します。
「誰が他に方法がないって言ったのかな」と花城。
わー!次章に続く。