「ここの後始末は考えなくていい。自分たちでやるだろう」と花城の言われて、王都に急ぐ。
ずーっととりあえず英語のthe Royal Capitalを王都ってしてるんだけど、ここってexactly どこなん?今、どこにいんの?元号とかあるの?私はこの世界の文化を何一つ知らんままずっと読んでいる…。
国師は引玉の体を骨魚の上に載せて、骨魚は骨龍の頭蓋骨とともに引玉と権一真を連れていきます。他の骨魚は骨龍の砕けた体を回収。死んだわけじゃなかったんだ、よかった。
神官たちは「逃げようよ〜」と言うけど、謝憐は一蹴する。世界の危機やっちゅうねん。とにかく時間を無駄にできない、早く、君吾が向かったどこか人口の多いところに追いかけねばならない。
「哥哥、準備はいい?」と花城。謝憐が頷き、花城はサイコロを投げて縮地千里を使う。雲を抜けるとそこには真っ赤に燃える巨人がいて、王都の上にやってきたことがわかる。
結界にいた人々はいきなり空に現れた怪物を見てかたまったのち叫び始める。逃げ出さんばかりに怯えますが、そりゃそうだ。
師青玄も同じだったけれど、彼は鋭く呼吸をすると、すぐに彼らに向かって「大丈夫!慌てないで。ここには降りてこない。誰かがその前に停める!神々の戦いってだけだ!ははは!」と言います。
「そりゃ本当かい、老風?あのでけえ怪物が俺たちをバチンとやるんじゃ面白くないぜ」「本当だよ!私がここにいるんだぞ。誰かが死ぬなら、私が一番最初だね!ははははは…」
師青玄もパニックになってるのだった!
謝憐は神像を飛ばして巨人が吐き出す炎の壁をかわしながら、地面から引きずり戻そうと必死になって巨人をつかむ。「みんな、降りるんだ。早く!」神官たちはすでに謝憐の操縦に恐怖していたのでさっさと地面に降りる。そこで神官たちは「風師?どうしてここに?」と師青玄を見つける。
師青玄は大喜びで「そんなにたくさんの質問をしないで!さあ、来て来て来て、ここに入って、早く。結界に入って助けてくれ!怨霊を逃がせないよ」
ほとんどの神官がためらう中、郎千秋が一番最初に結界に入って「手を貸そう!」と言います。さすが太子。そうすると神官たちも次々と参加する。ファーストペンギンがいないと動けないのか?お前らは?
いっぱいの神官が参加したのでより強固になる結界。やれやれ。
謝憐も安心していると、今度は巨人が分裂する。変形ロボなのでそれができるんだよな〜。
切り離された足が落ちていく。これが激突したら結界を壊すだけではなく膨大な数の人が死ぬ。しかし、落ちる前に空中で爆発して四散します。
「どうして勝手に爆発したんだ?」と不思議がっていると、そこからは裴茗が出てきた!
裴茗!君ってやつはなんて面白いんだ!!
謝憐は裴茗が死んだと思ってたので葬式の準備も考えてたんだけど、その必要はなくなった…て書いてあって、裴茗の愛されぶりがうかがえますね。
あの、灰色になってたときとは違い、髪の毛も整えられて少しも魅力が落ちていない裴茗(という描写)。「まったく大丈夫というわけではないが、ほぼ大丈夫だな」
「半月と裴宿は?」「彼らも無事だよ。哥哥、あそこを見て」
花城の言葉に目を向けると、半月が裴宿を導いて屋根の上に降りるところでした。どうも、明光殿の結界はとても協力で、沸騰した海に落ちても浸水せず、みんな無事だったようです。
「宣姫や他のものは…」と探す謝憐に勝ち誇ったような声が返す。「もちろん倒したに決まってるだろ!」それは裴茗の手の中から聞こえた。裴茗の手の中には明光がありました。
「裴将軍、その剣を振るうことにしたんですね」「説明するには少々複雑でね」と裴茗は苦笑しながら返します。「何が複雑なんだよ?お前が俺に膝をついて謝ったんだろ、お前が間違っていたって。それで俺に許しを請うたよな?ははははは!すげえ、最高に気持ちいいぜ!」と容広。
三人の鬼はそれぞれが裴茗たちを殺そうとしましたが、そうこうするうちに仙京が変形して戦いどころではなくなり、容広は裴茗に共闘を申し出たってことらしい。
足がひとつなくなったところで巨人はまだ健在。他の部分が足を修復していく。すごいな。これだけの力があって、どうして世の中のいいことに使わないんだ。建築の神になれるのに。すでに絶望してるから?
裴茗は明光を振り回して神武殿に突撃します。うーん、かっこいいな!
明光を使う裴茗はクソ強い。容広の人格がいかにひどくても、彼とのタッグは最強なのです。権一真は神武殿に近づけませんでしたが、彼は突入します。「見ただろ?言ったよな、俺たちが一緒になれば無敵だって。誰も立ち塞がれない。俺の言うことを聞いてりゃ、お前は数百年、明光将軍でいられたのになあ」「喋るな」息ぴったり。
戚容は神武殿の近くに隠れていました。明光は彼を打ち払います。「なんなんだこの緑のは。道を塞ぐな」戚容は回転しながら飛ばされる。しかし裴茗に正面から戦う力はない。谷子は彼の足につかまって「お父さん、大丈夫?」と尋ねます。「また卑劣な手を使ったな!」と怒る戚容。しかし、それに谷子は反応しない。見ると、彼は意識を失い熱を持っていました。
神像の上からその様子が見えて、謝憐は戚容に言います。「どうしてまだ逃げていないんだ!そこはまだ燃えている。ずっと高いところを飛んでいたし、深い海の中にも潜った。その子は小さすぎて体が耐えられないんだ、死んでしまうぞ!」
戚容は「俺に説教するな!」と返す。「こいつが簡単に死ぬもんか。ここからのかせようとして、それで俺を殺すつもりだろう!」
たとえ謝憐が自分から動かなかったとしても、郎千秋はまだ下で待っているのです。
神武殿の中では裴茗と君吾が戦いを始めていました。戦いの炎は戚容を何度も何度も焼き、戚容は叫び声を上げて走り回る。炎が宮殿の中をほとばしり、戚容にあたります。彼は転げ回って、背中はほとんど焼け焦げてしまう。もはや文句を言えないくらいでしどろもどろに君吾を罵倒する。謝憐は彼が「君吾、老いぼれ、この俺を焼いたな!?」と言おうとしたのだとわかる。
戚容は鬼なので焼け死ぬことはありませんが、痛みは感じる。
その直後、谷子は腕の下から、まるで火で焼かれたような悲鳴を上げます。戚容は彼を持ち上げて確認すると、案の定、彼の額は血まみれで、服の大きな焼け焦げの穴から小さく焼けただれた肩が見えました。谷子は「痛いよ!こわい!」と戚容に抱きつきます。
戚容はこんな場面に出くわしたことがなかったので、冷や汗を流し、何を言っていいかわからずかたまってしまう。
谷子は自分の傷を手で覆って「お父さん、僕たち、焼け死ぬの?」と尋ねます。「ここがお父さんのすてきな場所だったとしても、そんなにすごくないよ。ここの人たちは僕たちのことを好きじゃない。どうして、他のところを探してそこに住まないの?」
戚容は広間に突撃するものの、君吾につかみかかりたいのに近づく勇気はなく、遠くから叫ぶ。「お前が放火したっていいさ、ここはあんたの場所だからな。好きに焼けばいい。でもな…」
謝憐は「死のうとするな!そこから出るんだ。私は君に触れないと約束する!」と言いますが、それは聞こえない。谷子は泣き叫び、君吾は彼を無視しました。息子の前で面目を潰されたことに腹を立てて「燃やすのをやめろって言ってるんだ、聞こえないのか!」と君吾に向かって叫び、近づこうとする。
君吾は片手を振って火球をぶつけます。
たとえ戚容がこのような巨大な炎で燃え尽きなかったとしても、彼は重傷を負う。しかし、谷子は一瞬で灰になってしまう。裴茗は戚容が子どもを腕の中におさめて助けようとするのを見、しかし君吾が優位に立っていたので戚容は逃げることができない。裴茗は素早く計算して助からないだろうと考える。
「陛下、子どもが一緒にいる。そんな残酷なことをする必要はない!」と言いますが、君吾の目には敵以外の何も映っていないことがわかり、君吾の手の一振りでもう一つの大きな火の玉が生まれ、裴茗にぶつけられます。
裴茗が炎に包まれますが、そこへ空から雨が降ってくる。
「雨師!」と叫ぶ謝憐。
黒い牛に乗った雨師篁が雨を降らせたのです!
この、息をするのも忘れるような展開に、もうダメだと思ったときの助け…。面白くて読むのを止められない。
裴茗は、牛を挟んで彼女の後ろにいた。猛火に焼かれ、降りしきる雨に溺れたネズミのように濡れ、髪はぐちゃぐちゃ。彼は自分を助けたのが雨師だと知り、彼女が背を向けて自分を見ていなくても、周りには自分のあまりかっこよくない姿を見られていることを恥じる。そして彼女を呼ぼうとして、口から煙の輪が出てくる。
ああ、裴茗、君ってやつは…なんてコメディリリーフに長けたキャラクターなんだ。
容広は怒り狂います。「信じられないぜ、女の助けが必要で守られるなんてな。しかも、雨師篁に!裴茗、お前はなんて恥知らずなんだ」裴茗は口から煙を吐きながら「黙れ」と言う。
雨師は裴茗を助け起こしながらなめらかに着地し、半月と裴宿に出迎えられます。
巨人からは千ものがれきが落ちて、炎に包まれた岩が隕石のように地面に降り注ごうとしている。雨はますます強く降りますが、消火できない。君吾が霊力を注いで燃料としているのです。神像は巨人を引き留めて行かせないようにしていましたが、王都に降り注ぐのを止められない。どれだけの武神がいるのかわからないけれど、彼らが一つ残らず岩を拾うのは無理です。
謝憐は花城に「三郎、私たちはどうしたら…」と話しかけ、花城はすぐそばで彼の手を包んで言います。「哥哥が心配する必要はないよ。目の前のことだけに集中して。下でのことは考えなくていい」
花城が言うから私も信じますけど…花城がいなかったらこの物語終わってますけど…ということは、天官賜福は花城なしでは成り立たない…?(それはそう)
彼の声は謝憐の耳に入り、吐息は暖かく優しい。謝憐に下を見るように花城は顎を動かす。なんとそこには花城が。自分のすぐ後ろに花城がいるのに、結界のそばにも花城がいるのです。「警戒しないで、哥哥。あなたの本当の三郎はここにいるよ。嘘じゃない」
花城の分身はずっと人界の結界のそばにいたのです。君吾が気づかないのも当然。そういえば、対処してきたって言ってたな。花城のやることに抜かりはないのだ。
「花城」がやってきて、師青玄は彼に「戻ってきたんだね。長い間どこに行ってたんだい。殿下と通霊する方法を考えてたの?だめだめだめ、そんなことよりここでの対処を考えなきゃ!あの恐ろしい岩が空から降り注いでくるのを見てるだろ?早く考えなきゃ!息で吹き飛ばすとか、君の小さなたくさんの銀蝶で追い払うとか、そういうことを…」とまくし立てる。
花城は何も言わず、冷たく見るだけ。そして、ずっと師青玄のおしゃべりを聞いていましたが、もう聞き飽きたとばかりに突然「自分でやれ」と言う。
「自分で!?こんなときに冗談を言わないでくれ。私は殿下じゃないんだぞ、君の冗談は全然面白くないよ。どうやって私があの岩をなんとかできるっていうんだ」と言い終わらないうちに「花城」は彼の襟をつかんで結界から引きずり出した。結界は彼が離れても崩れず、そして「花城」は彼を突き飛ばす。宙に飛んでいく師青玄。
「老風!?」と物乞いたちが驚く。
飛ばされたとはいえ、師青玄は数回転がっただけだった。すぐに地面に倒れこんだ状態から這い出し、再び足場を確保。「大丈夫大丈夫。死んでない!彼は私を本当に突き飛ばしたわけじゃないんだ。霊力を貸してくれたんだよ!」
師青玄は自分の手を調べて、霊力が満ち満ちているのを感じる。
ああああああ、これってこれって、この「花城」って黒水じゃないの!?
「花城主、君が殿下に会えないからってこんな風にすることはないだろう。私に霊力を貸したいならもっとやさしく!私はあのまっずい飴を食べたって構わないし、人を殴ってはいけない。わかった?その代わり、もう少し空に集中して。まだまだたくさん岩があるんだから」
「花城」は何も反応せず、ただ師青玄に何かを投げて寄越します。それは風師の扇。謝憐は「三郎、あの風師扇は…あれは…」とわななく。「心配しないで。土壇場で彼を呼んで、手を貸したんだ」
いったい二人はどういう関係なのー!!!気になる。
師青玄は慣れ親しんだ扇を手にしてゆっくりと「花城」に向き直ります。「自分でやれ」と冷たく繰り返す「花城」。
燃える隕石は地面に直撃する寸前。いったいどういう物理法則なのかわかんないけど、わりとゆっくり?手を繋いで結界を作っている人たちはみんな暑さと寒気を感じる。「老風、あんたが言ったことは本当だよな?全部大丈夫なんだよな?」「殿下、早く何か策を考えてください!」
師青玄は腕を振り回す。すると風が巻き起こり、地面から空へと吹いてゆく。近づいてきた隕石は全て押し返される!
物乞いたちはその光景を見て「…神様?」とつぶやく。
師青玄は扇を振り、激しく喘いでいました。そして彼らに向かって「前に、言っただろう?どうだ?でたらめじゃないって言ったはずだ!」と答える。
一連の出来事を見て、「花城」は静かに去ります。師青玄が何かを問いかけたくても、彼の姿はもうないのでした。
ううう、気が狂いそう。いくら花城に頼まれてお金で解決するとはいえ、師青玄に力を貸すなんて…。動悸息切れですよこんなの。
隕石はなんとか師青玄が押し返してくれたけど、こんどは屍喰いのネズミの大群が現れる。そして空殼の人々がやってくる。もはや君吾はこの結界を壊すのになりふり構わなくなったらしい。
……どうしても人面疫じゃないとダメなんですかね?この間に、別の街を襲うとか、そういうことはしない?謝憐と対決しないとダメなんかな???
最終目的が謝憐を従わせることなら、彼と対決せずに他の人間の街を破壊し虐殺しても、謝憐はぜったいに従わないだろうから、これであってるのか…。目的が私怨でもあるから…。人面疫であることに意味があるんだろうな。私にはちっとも理解できないけど。
「裴将軍を見守っていてください。私が結界を守りましょう」と半月に言う雨師。かっこよすぎる。裴茗はまだ煙を吐いて横たわっているのだった。彼はすぐに立ち上がって「大丈夫だ。結界を守りに行ける」
立ち上がろうとするけど、やはり倒れてしまう。裴宿は見ていられなくなり、「大丈夫です、将軍。傷に気をつけて。雨師に任せましょう」と彼を止めるのだった。
裴茗は女性の前でこれほどの屈辱を味わったのはおそらく初めてであり、女性に救われたのも初めてだったようです。怒っているのか、単にプライドがそうさせたのかはわからなかったが、彼の顔はなぜか真っ赤になる。
私にその力があったのなら雨師篁×裴茗のウスイホン作ってしまうな…。
雨師は彼の態度は無視して微笑む。「将軍が無理をする必要はありません」そして黒い牛に乗って去る。
「雨師!」と呼ぶ裴茗に忍び寄るのは別の影、宣姫が現れます。まだいたの!?裴茗も「まだいたのか」と言う。いや、宣姫はずーっとそこにいたらしいんすよ。半月が、容広が彼女と刻磨を傷つけた後に捕まえていたらしい。裴茗の優しさのかけらもない声を聞いてすぐに悪意を見せる宣姫。
「まだいる、ですって?わたしはずっとここにいたわよ。あなたは何をしていたの、雨師を見つめて?恋にでも落ちたの?彼女を追いかけたい?彼女のどこがいいのよ、許さないわよ!」
裴茗は初めて彼女に手を上げます。信じられないんだけど、ずーっと受け止めてたらしい。だから灰色になってたんか。
「愛する裴、私はあなたを愛しているの。何が悪いの?あなたはそんなに意地悪じゃなかった。そんなにわたしが憎いの?」
剣を支えにして立ち上がった裴茗は「話が通じない」と告げます。
「言ってよ。本当に私から離れるつもり?たくさんのことをしてあげたでしょう。わたしが何に成り果てたか見てみなさい、あなたは罪の意識もないっていうの?」
「私は数百年前に答えたはずだ!」と裴茗。
まあ、聞きたいことしか聞かなかったら何も聞かないよね。
「愛する裴、愛する裴…お願い、待って、もう少し話しましょう…」
半月は宣姫の姿を見てちょっと同情する。裴茗が宣姫を捨てて、彼女が数え切れないほど多くの人を殺してきたことを知っていても。
裴茗は宣姫に言います。「目を覚ますときだ」「目を覚ます?」「私は君がこうなってしまった原因の一つではあるのだろう。しかし、全て君自身が決めたことがほとんどの原因だ。君だけが自分のやったことを動かせるんだ。私は鉄の心を持つ男だ。私を愛するな。自分自身を愛せ」
そう言って、自分の服を掴む宣姫を振り払うのだった。
一方、師青玄は扇を振って霊力がなくなりつつありました。雨師と武神何人かが前線に立ってくれている。そこへ、思いがけない援軍が登場します。それは、鬼市の鬼たち!
異形の鬼たちを見て、結界の中にいた天眼開は「出て行け!」とわめきますが、鬼たちは屍喰いのネズミを蹴散らして「うるさい道士たちめ」「こんなところに誰が来たいものか、城主の頼みじゃなけりゃな!」「跪いて感謝しろ!」と言いたい放題。そればかりか、「ネズミがたくさんいるぞ!」「おいでおいでおいで!ヒッヒッヒッ、二千年も生きた前菜なんてお目にかかれないな。栄養たっぷりに違いない!」と喜んでネズミを食べる。「全部喰っちまっていいんだろう?」「城主は全部喰えなかったら売っていいってさ」
花城…なんてコミュ力の持ち主なんだ。君は「怖がらせて支配している」って言ったけどさ、恐怖政治ではなーんにも生まれないんだよ。これは、花城が八百年かけて培ってきた関係性が成し遂げたことなんだ。私はそれが嬉しくてたまらないよ…(誰?私はなんなんでしょうね?)
「ありがとう、三郎」と安心して言う謝憐。花城は笑います。「来たくて来てるだけさ。俺がやったことじゃない。感謝するより、哥哥、気をつけて」そして、急に真剣になって警告する。見ると、巨人がまた新しい動きをしていた…なんと、剣を抜いているではありませんか。
すでに強力なのに、剣まで持ったら虎に翼ではないかと謝憐は深刻になります。
「気をつけて!」と地上にいるみんなに言うもののどうやって気をつければいいのやら。謝憐は武神が変化した剣を使いたいと願いますが、権一真はまだ骨龍のかけらの上で横たわって黒水鬼蜮でクルージングしているし、郎千秋は結界の中にいて怨霊を押しとどめているし、風信と慕情は仙京を離れてから姿を見せていない。風信!慕情!どこにおるんや!裴茗だけがそこにいたけど、彼はおそらく使い物にならなかった。まだ煙を吐いているし。
「少し待つんだ!殿下!もうすぐ君の剣が来る!」と国師。「どこに私の剣が?」と困惑する謝憐。国師は口の周りで手を広げて大声を出します。「血雨探花、縮地千里を使ってくれ!銅炉山に繋げて!剣が来る!」
花城はすぐにサイコロを振る。すると、漆黒の雲とともに剣が現れた!神像は跳んでその長剣を掴みます。そして、仙京に向けて振るう。謝憐の剣は巨人の剣を断ち切った!
大地がとどろいて、金属が引き裂く音がし、巨人は動きを止めます。一撃で打ちのめすその剣の力を想像もしていなくて、謝憐は剣を見つめます。そして、これが何でできているかに気づいて固まります。剣は、山の精霊の体で鍛えられたものだったのです!
うわー、もう熱すぎる。この展開。
剣を振るって周囲を破壊しないように、謝憐は神像を動かします。巨大な神像は剣を腰に佩いて、片手はその柄に、片手は花を持つようにして立つ。穏やかな笑みを浮かべるその姿はまさに花冠武神そのもの。
一つの岩も落ちてはきませんでしたが、人々はまだ安心していません。謝憐と花城は神像から降りてみんなと再会。師青玄は「殿下、終わったの?全て大丈夫なのかな」と尋ねます。「どこに天…君吾はいるんだ?殿下、あなたは彼を倒したのか?死んだのか?」と神官も質問する。
国師が脇から「そんな簡単にいくものか。殿下…彼は、簡単に倒されたりしない」と口をはさむ。後方彼氏面ってやつか?
花城は手を差し出して「哥哥、行って探そう」と促します。謝憐は頷いて彼の手を取る。
鬼たちは仙京に行きたがりましたが、君吾に会えば殺されるのはわかっているので止める花城。
神武殿には君吾のいた痕跡はありません。探し回ったけど、どこにも誰もいない。
郎千秋は結界の中から裴茗に「裴将軍!私はやることがある。少しの間変わってくれませんか」と頼み、ネズミを殺す数でも雨師に届かなくてくさっていた裴茗は何も言わずに代わってくれる。
郎千秋は瓦礫の間を探し回って、「彼を見つけた!」と叫びます。謝憐は君吾だと思って「気をつけて」と言いますが、見つけたのは落ちた屋根の下にいた谷子。谷子は黒い玉に覆われていました。彼の体は真っ赤になって咳をしている。もはや命が危ない状態です。
谷子が出てきたあと、緑の炎が宙を漂います。郎千秋はそれを掴みます。郎千秋は炎に向かって「天は見ている。戚容、お前は完璧に死んでいない。それでも最後には私の手に渡った」と言い放ちます。
今や、戚容は本当に青灯夜遊になった。君吾が炎を放ったとき、彼は谷子を助けたのです。謝憐は驚きました。いつもの彼なら、谷子を盾に使ってもおかしくないからです。日頃の行いが最後までこのような評価に…。
「盾にしようとしまいと奴に違いはないよ」と謝憐の心中を代弁する花城ですが、彼にとって同じだったとしても守る方を選んだのは確かなのです。
郎千秋に掴まれた炎はキーキー叫びます。谷子は郎千秋の足に抱きついて「僕のお父さんを殺さないで、お兄ちゃん」と頼みます。「離せ!懇願しても無駄だ。情けはかけない」と怒って叫ぶ郎千秋。
谷子を傷つけないかハラハラ見守っていた謝憐に、谷子は抱き好いて頼みます。「がらくたのお兄ちゃん、お父さんを守って」「谷子、彼は君のお父さんじゃないんだよ。どんな風に君を扱ったか言える?」「お父さんだよ!お父さんは僕によくしてくれなかったけど、そのあと本当によくしてくれたんだ。たくさんお肉を食べさせてくれた。それに、大きなおうちに住まわせてくれるって行った。僕にはよくしてくれたんだよ、がらくたのおにいちゃん!助けてくれないの?」
そこで戚容が声を出しました。「バカな息子め、お願いするんじゃない!この心臓が真っ黒な白い蓮がこの俺を助けるわけないだろう」
花城が「郎千秋がお前を殺せないなら、俺が始末していいってことだな」と言うと震え出す炎。戚容は花城がこわくてしかたがないのだった。しかし、どうせ死ぬのならとわめき始める。
「お前なんか怖くないね。謝憐、お前は俺が知らないと思わないだろう。俺はお前が神だと扱った。お前は俺に何をしてくれた?何もしなかったじゃないか!お前は俺をバカで狂った精神疾患者みたいに扱ったよな。ずっと下に見やがって。どんな権利があって俺を下に見るんだ?永楽も滅ぼせず、役立たずのゴミクズめ!」
「下に見たからなんだっていうんだ。そんなに高い価値があるのか?」と花城が言うと、戚容は「下に見たからなんだっていうんだ?この俺には息子がいるんだぞ!」と狂ったように笑い出す。「どこから拾ってきた安物でも血を終わらせて不能になるよりマシだね。持とうなんて夢にも思わないことだ。八百年でもな!」
言葉を失って、謝憐と花城は彼を見つめました。戚容の声はどんどん小さくなり、炎も消えてしまいます。郎千秋は自分の手の中で戚容が消えて、呆然として立ちすくむしかできない。谷子は郎千秋の手を開かせますが、そこには何もない。「お父さんはどこに行ったの?」なんと答えていいかわからず郎千秋は謝憐を見るけれど、謝憐にもわからない。
ただ、ため息をついてそこから去るしかできず、謝憐は戚容の言葉を思い出します。幼い頃から、謝憐は年下のいとこを大切に扱ったことはありませんでした。いつも頭痛の種で、無視することが一番の方法でした。彼は軽蔑していました。それに、憎んでもいました。喜びも悲しみもありませんでした。
しばらく捜索するけれど何も成果を得られず、地上に戻る謝憐たち。
そこでは師青玄が待ち構えていました。「殿下、どうだった?」「見つけられなかった」「じゃあ、どうするの!?」
神官たちは君吾が死んだのか、死んでなかったらどうしようと益体もないことで議論していました。
師青玄は「ずっと聞きたかったことがあるんだけど、南陽将軍と玄真将軍はどこ?」と尋ね、謝憐もそういえばいなかった!と思い出します。それを聞いて神官たちもまた、彼らを何処で見たとかなんだとか、おしゃべりし始めるのだった。
124章に続く!