7巻もいよいよ最後の章です。7巻…苦しかったな…。白無相との対決に始まり、銅炉山からの脱出、怨念を閉じ込める結界を作るのに奔走して、その後天界に幽閉されて、何もかもがしっちゃかめっちゃか…。たぶん、2日も経ってないんじゃないかしら…。タイムラインをいつか引いて再読したいものです。
しかし、開いてみたら' Exquisite Dice, Apprehension from Rolling a One(Part One)'てタイトルにあるんですが…。パートワン!?パートツーがあるってこと!?
8巻に続くってことで、そんな…そんな…私は全巻そろった状態で読んでるから冷静でいられるけど、発売当時の人たちの苦しみやいかに、だな。
風信は剣蘭と胎児の霊を探しに出たことがわかってますが、慕情の行方はわかりません。君吾が何かしたのではと恐れます。
君吾は銅炉山に向かったのだろうと推察し、そこへ行くことに。師青玄は「恐ろしい場所だろう!」と心配しますが、みんなすでに行ったことがあるので問題ないのだった。
国師は「護りを緩めないように。此度は同じものと出くわさないはずだ。私はあなたたち二人についていくつもりだが、武神の力も借りたい。五体満足なものがいい。怪我をしていては、足手まといになるだけだろう」と言いますが、誰もいねえんだよな、それが。花城は「俺だけで十分だ」といい、裴茗は「全員役立たずなどと言わないでほしいな」と文句を言う。師青玄はそれを聞いて「裴将軍、なんの文句が?あなたは雨師ほどネズミを切り刻めなかったでしょう」と笑い飛ばす。
師青玄は相変わらず裴茗をやり込めるのが好きなのだった。すごすごと引き下がる裴茗。弱ってるねえ…。
そこで「待て。俺を連れて行け」との声。それを言ったのは慕情。
慕情、どこにいたの!?
どうも、慕情はずっといたらしいんですよね。あの混乱のさなかで…なんの気配も出さず…。花城も「ずっとここにいたのに、一言もしゃべらず、手も貸さなかったのか、ハ」と言う。「俺は言ったぞ。ずっとここにいたと。喋らないで、そしてお前たちが私を見なかっただけだ」と言うんですけど、それなら謝憐が名前呼んだ時に答えんかーい!
風信も同じように姿を現すのではと期待しますが、彼はいない。そこで、謝憐は「わかった。一緒に来てくれるんだよね?素晴らしい」と言ったのでした。
しかし、このメンバーはギスギスしている。花城は、幼い頃、慕情が彼を手ひどく扱ったこと、兵士になってからも軍隊から追い出したことを恨んでいますし、国師とも相性が悪い。それに、謝憐は慕情のことを「小心で、視野が狭く、過敏で、被害妄想的で、性格が悪く、些細なことに執着しがちで、楽しいことは何も言わず、口うるさいのが好きで、いつも他人を怒らせていて、そのことで多くの嫌われ者になって…」と評しています。(一生好きなフレーズ)どうなることやら…。
慕情とのことってまだあんまり言及されてないし、これから一悶着ありそうです。
国師は師青玄に向かって言います。「殿下の神像はこの場所を守るでしょう。怨霊が完全に浄化されるまでは数日を要します。しかし、あなたはここで十分役目を果たした。よく休んでください」師青玄は頷きます。「もちろん!でも待って。長老、あなたは一体だれ?」しかし国師は答えないのだった。
とある屋敷の前に行って、サイコロを振る花城。その出た目を見て彼は顔色を変えます。
「どうしたんだ、三郎。縮地千里が働かない?」「ううん。この目を出すのは珍しくて」
花城が見せたのは一の目でした。いつも六の目を出す花城がこの目を出して、謝憐は震えます。
「どういう意味なんだ?何か間違いが?」「過去の経験からいうと、何かとても危険なものが待ち受けている」
しかし花城はあまり気にしていない様子で、「実際のところ、俺が何を出しても問題はないんだ。俺自身の参考のため。危険かどうかを決めるのは俺だ」と言う。
なんて頼もしいんだ。花城の考え方について思考を巡らせたいけど、とりあえず先に進もう。
扉を開いて「哥哥、行こう」と促す花城。謝憐は本当は「行くな」と止めたかったけれど、それはできない。だから、「行こう。でも、私のそばを離れないで。何が起きても、私が君を守る」と言います。花城はそれを聞いてかたまったあと、にやりとして、それから大きく笑う。「わかった。哥哥、俺を守ることを忘れないで」
扉を開けると、そこは灰が舞い散る灼熱の地獄。銅炉山が噴火して様相はすっかり変わっている。炉の近くに出たようで、国師は「どこにいるかわかる。ついてきなさい」と先導します。道のりは険しく、滑って落ちていった方が早いと考えるくらい。謝憐は滑りませんでしたが、慕情が足を踏み外し、謝憐に助けられます。しかし彼は例も言わず、とても失礼。
謝憐はそれを許したけれども、雪山で風信と慕情が争って、花城が彼らの言ったことですごく怒っていたことを思い出します。花城に尋ねると「あなたのことでくだらないことを言っていたんだ。知る必要はないよ。耳が汚れる」と教えてくれない。
四人が下っていくと、溶岩の河が流れ、道を塞いでいる。渡るすべがなく、謝憐は花城の銀蝶に運んでもらえないか提案しますが、銀蝶はここでは半分も進まないうちに溶けてしまうそうな。「でも、あそこには作られた道があるよ」と言われて見てみると、溶岩の中から突き出た手が見える。よくよく見ると数百から数千の人々が溶岩の中に浮き沈みしている。烏庸国の空殼が流れてきたものらしい。
この、空殼の浮いた部分を飛び石にして進むことは武神にとってはわけもないこと。慕情が先に行き、無事に対岸にたどり着きます。謝憐は国師に「私があなたを連れて行きましょう」と告げます。国師はなんの武芸もたしなんでいないので絶対に通れないのだ。
花城は「俺がやるよ」と言い、任せる謝憐。花城はまるで老人介護のように国師の手を引いて「国師殿、足下に気をつけて」と支えてやる。国師は謝憐ではなく花城が自分を導いていると知って「なぜ君が?」と困惑する。「三郎はとても誠実に、あなたの力になりたいと言ってくれた。だから、私の代わりに彼にやってもらったんですよ」「なぜいきなりそんなに気配りする?」「俺でも哥哥でも問題ないでしょう」と花城。「俺はあなたを尊敬していますから、助けることなんてなんでもない。それだけですよ」「本当に尊敬しているなら、その作り笑いをやめなさい。あまりにもひどい」「ああ」
花城は笑顔を消すと、国師を担いですぐに対岸にたどり着く。「悪くないな」と国師。花城には厳しいのだった。
花城は謝憐が渡るのも手伝おうとしますが、「自分で行くよ」とホップステップジャンプしたところ、彼の不運が発動して足が嵌まってしまい、溶岩の河の上に取り残されてしまいます。空殼をうまくつかってバランスを取る彼は「三郎、大丈夫だよ。こっちに来なくても」と言う。ほんまかいな。
足が嵌まってしまった空殼を破壊してなんとか岸にたどりつく謝憐。「心配をかけてすまない」「俺のせいだ。俺が渡る前に待っていてって言っていたら…俺が戻るって言っていたら…」
後悔する花城に「いい、いい」と国師。「殿下はそんなに弱くない。君が手を引かなくともな。さあ、行くぞ」と出発する。
謝憐のことで失敗したと思って自分を責めるの美味しいからもうちょっと味わっていたかったな…。
さて、ようやく烏庸国の王宮に着いた一行。昔の噴火のせいか半分埋まってしまっています。中は空っぽのようで、手のひらに灯りをともして進む。かつて王国が健在であったころ、さぞ壮麗であっただろうことがわかる造り。
「殿下はここで育ったのだ」と説明する国師。慕情は「本当にここにいるのか」と尋ねる。「何を考えている?ここは彼の力が最も強いところだぞ」
謝憐は何かを感じ取ります。花城の腰にある厄命も目をせわしなく動かす。花城は厄命を完全に無視したように振る舞っていて、謝憐はなだめるように厄命を撫でてあげる。花城が笑って何か言うまえに、けたたましい笑い声が広間に響きます。
中年の男のずる賢く狡猾な笑い声。謝憐は聞き覚えのある声に戦慄します。これは胎児の霊の声なのです!
胎児の霊なのにおっさんの声がすんの!?いままで「ギャッギャッ」みたいなクリーチャー的な声なんだと思ってた。おっさんの声?この声が子守歌うたってたの?違うよね!?
慕情が「あそこだ」と叫び、見てみると天井の隅に胎児の霊がいる。長くて赤い舌で、かゆいのか自分の背中をぺちゃぺちゃなめている。胎児の霊は慕情に何か攻撃をし、慕情はそれをかわす。
国師は「本当に風信の子どもなのか?」と気持ち悪そうに言います。
「待って、錯錯。君は錯錯と名付けられた、そうだよね?」と話しかける謝憐。名前を聞いて、胎児の霊は動きを止め、少しの間謝憐を見つめます。「君のお父さんを探しに来たんだよ」と言いますが、「君のお父さん」と聞いて鼻で笑ってどこかへ消えてしまいます。灯りを掲げて探しますが、どこに行ったかわからない。慕情が「あっちか?」と行って、壁の向こうを指さします。狭い廊下で、どこに続いているかもわからない。
「本当に見たのか?」疑う花城に、慕情は「嘘を言ってもしかたがないだろう」と返します。「二人とも争っている場合ではない。調べてみよう」と国師が言って、慕情の指し示す方へ進む四人。
もしかして…慕情は慕情じゃなくて君吾じゃない!?だとしたらこわすぎるんですけど。変装うますぎでしょ。
慕情が先頭に立ち、花城は自然に謝憐の前を歩いて進みます。謝憐は厄命の目がまだぐるぐるしているのを見て、花城を引っ張って自分の後ろにやります。「どうしたの?」「私は君を守るって言わなかった?私の後ろにいるように」花城は柔らかく笑います。
謝憐のさ…その素朴な優しさが嬉しいよね。神経質な方ではないから、うっかりもしてるし、気遣い上手では絶対にないんですけど(7巻分の行いから私はそう読み取ってるんだけど)、思い立ったら即行動!が謝憐らしいし、そうされて嬉しくないはずがないのだ。
「師匠、この道が何処に続いているかわかりますか?なぜこんなに歩くんでしょう。歩く度に、重苦しい…」謝憐は殺気を感じていました。しかし国師は答えず、振り返ると誰もいない。すぐに気づかなかったのは、花城と国師のともした灯りがそこに残っていたから。慕情も振り返って「血雨探花はどこに?」と尋ねます。
謝憐は来た道を戻ろうとし、慕情に捕まえられます。「私たちはそこにいたんですよ。本当に血雨探花がそこにいると思うんですか」
花城が何も言わずにどこかに行くことは絶対にないため、おそろしくなる謝憐。中指にある赤い糸は繋がっているので、花城が無事ということはわかる。しかし一の目を出したことを思い出して顔を暗くします。
「戻ったって何も見つからないと思いますよ。前へ進みましょう。戻ったって何も見つけられず、ここにやってくるだけです。時間の無駄だ」
答えようとする前に、人の呼吸する音が聞こえて警戒する二人。武器を手にして狭い廊下を進み、小部屋に入ります。謝憐は指先に灯りをともして部屋の中を照らす。すると、そこには風信が。
風信は火傷と切り傷に覆われていましたが、命に別状はありませんでした。すぐに風信は目を覚まし、謝憐がいることに気づきます。
「殿下?なぜここに?」「私たちがどこにいるのか聞かないのかい?」「私たちはどこにいるんです?」
予想通り風信もわかってない。「起きて。君を見つけたから、次は三郎だ」「血雨探花のことを話しているんですか?彼もあなたと一緒に?」「そう。私たちは一緒で…」
話し終わる前に風信は手を上げます。「待って。あなたの後ろにいるのは誰です?」謝憐は振り返り、動かない影を見て言います。「慕情だ。違うか?」風信は瞳孔を小さくして叫びます。「刺すんだ、早く!」
どうなるの〜パートツーに続く!