7巻読み始めたら止まらなくなって、8巻の本編も読んでしまいました。
めっちゃ面白かった。最高の物語だった。
また、章ごとにメモは書こうと思ってるので、とりあえず思いのままに感想を書き綴ろうと思います。
黒幕は「絶対お前やろ!!!」て思ってた通りだったんですけど、わかったところで「何がしたいの!?」って困惑しながら読んでいました。途中まで「私はこいつが黒幕だと思っているが本当にそうなのだろうか…」と疑心暗鬼でしたので、墨香銅臭先生はお話を書くのがうまいです。
ただ、6巻の過去編を読むと、5巻までの「なんて!?!?」がさすがに減ってくるし、7巻8巻は真相解明編そして大団円へ…という筋書きなので、混乱が少なかったですね。これから読む方は6巻さえ乗り越えたらあとはジェットコースターで降りるだけです!
ネタバレ大丈夫な方はスクロールして私のいたずらに長い感想を読んでいただければと思います。一気に読んだのでところどころ曖昧です。
「白無相、お前はなんなんだ…」てずっとイライラしながら読んでて、白無相は君吾だったと知っても「だから何がしたいねん」と最後までイライラしながら読んでた。
体は無間にあれど、心は桃源に、っていうフレーズ聞いて謝憐につきまとうって、「おいおいどうしたどうした」って思っちゃったよ。やっぱ長生きするとアップデートが難しくなるのかな。
なんか、あれですね、人間だったころは神様になることがゴールみたいに感じるけど、神様になって自分を保つのが本当の意味での戦いというか…。「神」という存在をどうとらえるかで解釈も変わってくるとは思いますが。
誤読してる可能性大なのですが、君吾は二千年も生きてしまったために、そして他のひとびとよりも耐えがたい経験をしているために、複数人格持っていて、それが同期せず完全に分かれず、シームレスにファジィに混ざり合った内面を持っていたのかな〜とか考えてしまいました。
ふと、『置かれた場所で咲きなさい』の渡辺和子さんを思い出してしまいます。渡辺さんは「置かれたところこそが、今のあなたの居場所なのです。時間の使い方は、そのままいのちの使い方です。自らが咲く努力を忘れてはなりません。雨の日、風の日、どうしても咲けないときは根を下へ下へと伸ばしましょう。次に咲く花がより大きく、美しいものとなるように。」と著作の中で書かれていますが、彼女は二・二六事件で自分の父を殺した将校たちを「赦しの対象外」とインタビューの中で語っておられました。慈悲の心と己の怒りは同時に存在する。
人間の複雑さが天官賜福の中ではこれでもかと描かれていて、読みながら「もっとシンプルにしてくれ」と思いつつ、その悲喜こもごもがとても魅力的で、何回でも読みたくなる。
師青玄が再び登場したときは嬉しかった!彼は本当にタフです。明るさに救われます。あんな目に遭ったのに、彼は彼のままなんですよね。
それに比べると(比べるもんでもないのですが)、君吾の複雑さがより一層異様に見えて、でも憐憫の情もわいてくるから不思議です。力がある存在なのになあ。
君吾のまま、謝憐に一切合切話したら、謝憐は君吾の後継者になったんじゃないかなって思わないでもないんですけど、どうでしょう。
話の作りも、徹底的に謝憐の在り方に主眼が置かれていて、最後に私は胸が熱くなったよ。現在の彼の姿は、歩いてきた道から続いており、これからも続いていく。人間に絶望しない。生きていくことを受け止める優しさと強さが好きだ!
それからそれから、花城もかっこよかったです。
結局、花城は生きていたとき、謝憐に本当の意味では認識されていないんですよね。いつも舞台の袖に控えているサブキャラクター。物語の仕掛け。彼が死んだとき、謝憐は地上にはおらず、人知れず戦場で命を散らした。
そんな彼が小さな鬼火になって謝憐と会えたとき、どれほど嬉しかったか想像すると、それだけで笑顔になってしまう。それに、謝憐がどんなにひどい状態になっても、ずっと寄り添って見守っていた。怒りのあまり鬼になって、彼の身代わりに怨霊に取り込まれて逆に鬼王に至るまでになったけれど、花城の気持ちはずっと変わらず「寄り添う」ことなんですよね。
さすがに一万体の神像を彫ったのを知ったときはこわかったです。仏像関係のお仕事をしている友人は「一年に二十体でも厳しい。鬼王の業務もあるのに」と言っていました。百年過ぎたら彫る速度上がってくんのかな。ミケランジェロぽいよな…て思いながら読んでました。その上絵も描けるから、ミケランジェロかも…。建築もできるから、やっぱミケランジェロだな。ダ・ヴィンチとはちょっと違う気がします。
八百年経たないと謝憐が花城を認識しないというのも私にはたまらないポイントです。昔、お互い好きだったとか特別な絆があったとかじゃなくて、昔は完全に花城の片思いで、死んでからがスタートっていうのが、わけわかんないんですけど自分の性癖にめちゃくちゃ刺さってしまって、口の中によだれがたまってくる…。しかも、花城の本体はでかいけど、ちっちゃくなれるし年下だからおねショタじゃん!て思うと、泣きながら感謝します。墨香銅臭先生、ありがとうございます。二人は最高です。
これからも謝憐は道に転がってる髑髏は拾うし、毒に冒されてけろっとしてるし、笑われたりすることがあると思うんですよ。でも、花城が傍にいて彼に注意したり慰めたりして、これから二人で時間を共有するんだなあと思うと、嬉しくてこちらも幸せになる。ずっとずっと一緒にいてくれ〜!喧嘩しても「もう一年は顔を合わせないから!」って謝憐が出て行ってこけてすぐ仲直りしてくれ〜!!(どういう妄想?)
ところで、よくわかってないんですけど、引玉って死んだんですか!?私の認識では死んでないんだけど!!!引玉にひどいことをしただけで君吾は四つ裂きだよ。権一真の年下攻、引玉の苦労人年上受じゃないんですか!?ここもおねショタなのに〜!!!
あと、beefleafも好きで…。師青玄は風師に戻ったと思ってるんだけど、黒水とどうにか…なってくれないですか!?兄を殺した男とだけど…どう?
裴茗はずっと裴茗で、全然変わらないし、君吾が敵だったと知っても裴茗のままだったので、見直したよ。雨師篁のことずっと苦手でいてほしい〜!雨師篁は男前だから、裴茗が居心地悪そうにしてるの見てるだけで満足する私なのであった。
裴宿と半月も一緒にいたからにっこりした。別に恋仲にならなくてもいいからずっと一緒にいてほしい。できたら裴宿の片思いがいい。それで恋仲にならない…くっつかない萌え…
風信と慕情と謝憐の仲が八百年後、少し違った形で復活するのもよかったですね。二人は結局謝憐が大事だし、謝憐が飾らずにいられるのも二人の前だけですもんね。三人が過ごした時間は花城が知らないものなんだと思うと、彼が二人を殺したくなる気持ちもわかる。
霊文にはびっくりし通しでした。君吾側だったのかってのもあるし、彼女もまた、変わらない在り方の人となりだったので。ところで、錦衣仙ってどうなったの?燃えた?
全部読んだ今となってはもっかい最初から読んで「あっ、ここってこういうこと!?」ってわかりたいです。わからんかもしれんけど。
私がお墓に入るときは天官賜福も一緒に入れてほしいので、友人各位はよろしくお願いします!
(追記)
戚容のこと言うの忘れてた!いろいろあるけど、すごくいい悪役としての終わり方だった。マジでゴクリに通ずるものがある。