天官賜福 英語版 8巻129章 メモ

前の章のメモにメッセージありがとうございました。黒水島、読んでるときはホラーで思い出してもホラーですが、随所に墨香銅臭先生のユーモアが冴えているのでつらいだけじゃなく面白かった…。私に言われるまでもないと思いますが、ぜひ楽しんでください!

さて、芳心を得て白無相ではなく君吾になった君吾。なんなんだよ。君吾になったらめっちゃ強くて、花城と謝憐が二人合わせてなんとか互角といったところ。そりゃ、ここは銅炉山で君吾の力の源、お膝元であるからして、いたしかたない。自分の有利な場所で戦うのは戦術でも基本的なことだから、それについて「ずるい」とは言わんよ私は。むしろ有利なところで負かすのが爽快なのであって、本の外から野次を飛ばす私であった。

君吾は白い鎧も身につけていて、これも自分で鍛えた特別な法器らしい。全然貫通しないので、頭を狙うしかない。人間の体で頭を狙うって、的が小さいから難しいんじゃないだろうか。散弾銃とか中に釘とか入れた爆弾とかを投げるとかそういうのじゃ…無理か。

話はそれるんですけど、謝憐は八百年も人界をさまよっていて、時には傭兵のようなことをし、おそらく行く先々で戦の頭角を現すので国師になったり将軍になったりしたんやと思う。なので、戦の王道をおさえているけど、ゲリラ戦とかも得意そうなイメージがあるんで、そういう殿下を見たいなあって思いつつ、この開けた橋の上じゃ無理そうだなと考え直した。

あばらを狙ってみたりするけど効果はない。焦れた慕情が「無駄だと言ってるだろう、風信、俺たちも戦うぞ!弓と矢を!」と呼びかけます。その頃風信は、逃げ回っている錯錯を追いかけていたのですが、その声を聞いて戻ってくる。風信、君ってやつは…。錯錯のことはもう諦めた方がよさそうじゃない?

謝憐は花城に「右を狙うんだ」と指示し、花城はまったく疑問を持たずに攻撃し続け、ついに亀裂が入り、体があらわになる。厄命の刃が君吾の肋あたりを切って血が流れます!やったれやったれ!

慕情は「どうやって!?」と驚き、謝憐は若邪を使って君吾の手を縛りながら「私と戦ったときのことを忘れたんですか」と話しかける。二度目の飛昇のとき、謝憐は君吾と戦った。彼は三千以上、剣を突き、そのうち四百以上が君吾を刺し、そのうちの百撃以上がまさに同じ場所を刺した。これ、どういう意味かよくわからんかったけど、三千突きしたってことのはず…。謝憐の執拗な剣の連撃は、白い鎧を突き破り、彼の腹部の右側、肋骨のすぐ下に突き刺さったそうな。

しかし国師は「無駄だ」と言い、確かに君吾は顔色一つ変えていない。しかも、音がして、若邪が裂けてしまう。

いーやーだー!この局面で今まで一緒に戦ってきた仲間(武器や馬など)が傷つく展開!!

半分に裂けてしまった若邪は力なく地面に落ちてしまいます。そして君吾に首を掴まれる。

「仙楽、私が何も対処しないと思っていたのか?」と君吾。そして国師が「百回刺されたとて彼にはなんの効果もない。もはや痛覚がないのだ」と教える。最初に言っといてくれる、そういうこと。どっちの味方なんだよアンタは!!

謝憐も剣で突き刺されても平気です。平気じゃないんだけど。死なないのは同じ。君吾も同じらしい。まあ、そういう風にするために、人面疫治るつって百回刺させたんじゃないの…?

「悪い知らせだ」と慕情も言う。「見たところ、俺たちが傷つけるより早く回復している」

……いや、そうでなくては。上に立って見下ろしてくるやつを引きずり下ろしてボコボコにして顔を真っ赤にさせて怒らせるのがスカッとするから、回復してくれて構わないんだけど、殿下がやってくれるって私は信じてるから早くボコボコにしてほしい頼む。

君吾は、この800年の間で自分を傷つけることができたのは謝憐と花城だけだったと言いつつ、花城を「仙楽の首をねじるところを見たくなければ動くな」と牽制します。

謝憐の首を掴む君吾。彼が手を放せば謝憐の体は溶岩に落ちます。花城は恐ろしい顔をしつつ、君吾が認めるまで通天橋の端まで後退する。落ち着いて見えるけれど、手の中の厄命は目をぐるぐるさせて興奮している。

「十分だ」と花城に言った後、なんの前触れもなく、君吾は謝憐の頭を岩壁に打ちつけます。何度も何度も。鼻からも口からも血を流し、回りの人々が叫んでいたけれど誰がかはわからない、ただ君吾がささやく声だけが聞こえる。「仙楽、頭を壁に打ち付けられると痛いか?」そして、謝憐が答えられないでいると、何度も何度も岩壁に打ちつけて「痛むか?痛むか?痛むか?」と尋ねる。えらいこっちゃ。

謝憐が叫ぶまで打ちつけるんですけど、謝憐は「三郎、こっちに来るな!大丈夫、大丈夫だから!絶対にこっちに来るな!」と叫ぶ。花城は駆けつけようとしていたけど、謝憐の言葉を聞いて動きを止めます。その間もずっと「痛むか?」と言いながら打ちつける君吾。えらいこっちゃ。

国師は「殿下!」と叫ぶが、それがどっちのことを指しているのかわからない。私としてはもうどっちでもいいから、タックルでもなんでもして愛弟子助けたれやという気持ちだ。

謝憐は血まみれの手で岩壁を押して歯を食いしばりながら咆哮する。「痛い!」

それを聞いてようやく満足したように微笑み、謝憐の頭から手を放し、地面に落ち着かせる。謝憐の頭からはどうしようもないくらい血が流れ、頭蓋骨もぐわんぐわん鳴っている。その謝憐の顔からやさしく血を拭き取り、君吾は彼をのぞきこみます。

その様子を見て身震いする風信と慕情。完全に狂ってるとしか思えないからな。

花城は厄命に手を置いたまま、拳を握りしめる。厄命の瞳孔は小さくなり、充血する。

君吾が顔を拭く間謝憐は言葉もなく、そんな彼に対して君吾は「愚かな子だ。痛むなら、何故逃げない?壁にぶつかり続け、自分をぶつけ続ければ、勝手に崩れていくとでも思っているのか?何故行く先を変えないのだ」と諭す。

え〜!!!!!そういうこと言えるんだ!?こいつはもう話が通じない。二千年前から話が通じなかったが…。もうおしまいだよ。天界も人界もとんだDV野郎をトップに据えちまったもんだぜ…。改心とか絶対無理。わかり合えなくていいから、どうか、早くこの世から退場してくれ〜。

謝憐は睨みます。「逃げません」

そこで、君吾は手を上げて平手打ちする。謝憐は地面に打ち据えられ、彼に引っ張り上げられた後も目眩がする。

「このように私を怒らせなければならないのか?もう一度聞こう。変わるか?」

しかし、何度聞かれても謝憐は「変えない」と言う。

君吾はようやく怒りをあらわにする。

この頑固さに君吾は手を焼くわけですが、「天が間違ってる」て言う謝憐が己の信念を変えるわけがないではないか。橋で戦った鬼のために花を植えた心の持ち主が、どん底まで落ちて、それでも人のやさしさに触れたときにその心に応えたいと思った人間が、どうして自分の体の痛みと引き換えに道を変えようとする?答えはいつだってノーだよ!

この君吾に対するところ、体の痛みを思うとめちゃくちゃつらいし君吾への怒りが募る一方なんですが、私が謝憐を好きだって思う瞬間なんですよね。どうしようもなく、謝憐は人の善性を信じているひとなんだって思うんだよ。前にも書いたけど…。間違いだらけで時には残酷なこともする、それが人間なんだけど、真っ暗闇の中でかすかに光を放って瞬く星のような力を持つこともあるんだよ。その輝く星を謝憐は見つめて、その美しさに感謝するひとだと思うんだよ。

肉体の痛みを耐え、信念に殉じることができる人間がフツーの人間であるわけもないので、だからこそ三度の飛昇をしたんだと思うんですよね。天が「やれやれ、またこの子か」って思いながらも飛昇させるのは、謝憐が信じる人間を信じてるって、勝手な想像をしちゃうんだよな。

君吾、あなたはもう誰も信じてないのでダメです。信じてないから、うわべだけの代替可能な何かでしか交渉できない。

さて、私の勝手な言い分はどうでもいいことで(人それぞれに好きなところがあると思っていて、それひとつひとつが正しいし尊いと思うので)、物語に戻りますと、あんまり役に立たない国師が「殿下!あなたはその子を殺したいと思ったことはないでしょう!あなたは彼が好きだと、自分自身で言っていたではないですか!忘れてしまったのですか!?」と叫ぶ。ここへ来てその情に訴えかけるのって有効なんですか?

「もし私が彼を好きでなかったら、過去800年間、彼一人のために私の忍耐と寛容のすべてを使い果たすことはなかっただろう。彼はとっくに仙京の基礎の一部になって毎日何千人もの人々に踏みつけられただろう」と君吾。

なんかとにかく陰湿なんだよ、考え方が…。

「しかし、彼は自分にとって何が良いのかわかっていない。頑固で傲慢で、私の言葉に耳を貸さない!ただ私に逆らうだけだ!変わらない、そうか。いいだろう、壁に頭をぶつけて割ったら、この壁が倒れるかどうか見てみようではないか!」

ほっといたらいいんとちゃうの?なぜ800年固執するの?その固執する理由を考えたら、自分が彼のために何かをしようとしてるのではなく、自分のために人を思い通りにしようとする、お前こそが頑固で傲慢だってわからんか??

しかし、こういう説教を……残念ながら、誰も君吾には言わないので、本の外で私がわーわーぎゃーぎゃー言うだけで……しかも声が届いたとしても鼻で笑われるだけだと思うし……悔しい!

また謝憐を持ち上げるのを見て、「殿下、殿下、殿下!小太子はまだおろかなのです!今回はどうか、見逃してください!いつの日か理解しますから……」と命乞いをする。

この国師もよくないよ!結局、君吾の考えが間違ってる、自分は従わないって言わないじゃん。自分は君吾の気持ちがわかるって態度なんかもしれんけど、あなたが見逃してきたことが二千年、見知らぬ名もなきひとびとを苦しめてるんですよ。私には裁く権利も縁もゆかりもないけど、壁画作ったくらいで罪滅ぼしになると思ったら大間違いやからな。

「本当に私が狂ったと思っているのか?嘘をつくな。お前が考えている愚か者は彼ではない。私のことだ。そうではないか?」

見透かしている君吾は告げて、国師は驚きます。

「お前は彼を育て、教え、導くことにその身の多くを費やした。純粋に、彼が私に勝つことを望んでいたからだ。私が間違っていて、お前が正しかったと、自分たちが正しかったと証明するためだ。すべては、完璧な烏庸国太子という幻想にしがみつくため、今目の前に立っているこの君吾を放逐するためだ。それがお前の目指す先だろう?お前が何を考えているかわからないとでも思っているのか!」

君吾は国師に対して厳しい言葉を吐きますが、まあそれは当然ですね。もう一回言うけど、二千年前の確執は二千年前に精算しといてくれよ。

国師は正しい悪いの話でも勝ち負けの話でもない、そんな風に考えたことはないと訴えます。しかしもう君吾の耳には誰の声も入らない。もうおしまいなんですよね。今いる神官たちを全員殺して新しい仙京を作ればいいだけって思ってるから。

君吾は再び謝憐の頭を掴んで岩に打ちつけ「変わるか!?」と言う。謝憐も君吾の腕を掴んで「変わらない!」と叫び続ける。もうなんなのこの地獄。

どんなにひどく痛めつけられても謝憐は君吾の望む言葉は言わない。絶対に変わらない。そんな中で、謝憐は嬉しさを感じていたのです。彼はあまりにも長い間、我慢していて、まるでこんな機会がくるのををずっと待っていたかのように、謝憐は叫びながら涙を流します。「変わらない、それがとても苦しくても、たとえ私が死んでも、私は変わらない。絶対に変わらない!」

もう、涙なしに読めない……何度も言うように体の痛みは嫌だけどまだ耐えられる。心からの言葉を謝憐が口にするとき、私は泣く。

君吾が激昂し、局面が変わります。我を忘れた君吾の首に剣が押し当てられ、八本の弓が背に突き刺さる。どちらも彼の白い鎧を突き通すことはできませんでしたが、謝憐を掴んでいた右手が手首から切り落とされます。彼の右手はどこかへ消え失せ、謝憐もいなくなる。

通天橋の向こうで、謝憐を抱える花城。片手で厄命を持ちつつ謝憐の肩を支え、もう片方の手で謝憐の頭の傷をおさえます。

花城、よく耐えた……。

慕情と風信が攻撃を仕掛けますが、君吾に斬りかかった慕情は目が合い落ち着こうとするも「予想していたことだが、仙楽と比べると足りぬな」と言われて剣を落としてしまう。そして呪枷が彼を締め付けます。風信は「突っ立ってないで走れ!」と叫びますが、「傷ついた足でどうやって逃げるんだ」と国師に言われて、慕情の傷を思い出す。

風信は慕情のもとにいこうとして、自分の胸が冷たくなるのを感じます。なんと、彼が放った八本の矢が全て突き刺さっている。返されたのです。

君吾はゆっくりと花城と謝憐のもとへ歩み寄ります。しかし花城は一瞥すらせず「哥哥、哥哥」と謝憐を呼ぶ。「三郎、大丈夫?」しばらく謝憐を見つめた後、ぎゅっと抱きしめる花城。「俺は無事だよ。自分を見て?」

彼の傷にあたらないように花城は抱擁していて、謝憐は腕の中からひどい有様を見ることになります。慕情はかたまっていて呪枷にあらがっている。風信は八本の矢に射抜かれてはいないものの重傷。

そして、通天橋が陥没し始める。崩壊寸前。

状況を見て謝憐は混乱しながら立とうとします。花城が支えて二人で立つ。君吾が向かってくる。だんだんとその姿が大きくなるのを見据えながら、謝憐は顔についた血を強く拭います。(かっこいい)

誅心の刃には君吾の霊力がみなぎり、再び落ち着いている様子の君吾。

「仙楽、そなたの負けは確実だ」

銅炉山という自分の領域の中で力はさらに増し、以前戦ったときよりも強くなっていることは謝憐にもわかっている。だから、勝てないこともわかる。しかし、たとえできなくても、彼は戦わねばならないのです。

「違うよ。殿下、あなたは勝てる」

花城が言い、謝憐は固まって彼を見つめます。

「あなたは勝てる。彼よりも強い。信じて。彼は間違っている。あなたは正しい。あなたは彼より強いんだ。ずっとずっと、強い!」

君吾は静かに笑います。花城の素直さを面白がっていたのか、あるいは、おそらく、指の間で難なく捻じ曲げられるすべての力に満足していての笑いなのか。何万人もの信者がいるんだから余裕かましてて当然なんですよね。

花城は謝憐の肩を掴み、「だからなんだ?何万人の愚者たちだろ。役に立たないゴミだよ。でもあなたには、一人で十分だ」

一人で十分? 謝憐は花城に頭を引き寄せられ、考える間もなく、ものすごい霊力が自分を満たすのを感じる。今まで経験したことのない霊力の受け渡しで、回りにいた銀蝶や怨霊が恐れおののいて引いていくほどの力。謝憐の指は震え、足も膝から崩れ落ちそうなくらい揺れて、頭の中で「止めて!もういい!」と何度も叫ぶ。しかし、花城の手は謝憐の頭をしっかり支えて離さず、謝憐が拒もうとするのを許さない。

長い時間が過ぎて、花城はようやく謝憐を解放。立っていられず地面に倒れ込む。両手を広げて体を支え、何とか完全に倒れないようにする。

君吾は歩みを止めて二人を睨み、表情を険しくさせます。

そして、風信も遠く倒れた場所から、信じられない様子で言う。「で、殿下、殿下…?」

震える手で首をおさえる謝憐。そこには何もない。

花城はめいっぱいの霊力を彼に注いで、それは呪枷が外れてしまうくらいの量だった。二つの呪枷から謝憐は解放され、封じられていた800年分の霊力が放たれたのだった!

130章に続く。

@checaldooggi
書くことを続けられたらいいな。読んでくださってありがとうございます。 天官賜福とさはんにハマっているのでその話が多めになるかも。 匿名の質問箱はこちら mond.how/ja/checaldooggi