天官賜福 英語版140章(EXTRA5) メモ

A4(えーよん)
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公開:2024/6/2

原題は「鬼王的生辰」、英語タイトルは'The Ghost King's Birthday'。花城の誕生日をめぐる話です!

鬼市の鬼たちからもうすぐ城主の誕生日イベントがあるという話を聞く謝憐。彼は一日を幸せなものにしたいと願い、まずは贈り物だろ!と奔走することになります。

鬼たちは花城が鬼市を統べてから、毎年勝手に祝っていたらしい。そして、城主はなんの関心も向けなかったらしい。

その鬼たちに「何をあげたら喜ぶかな?」と相談したら、みんな「大伯公からもらえるんなら紙くずでも喜びますぜ」と言う。どうかな…。それはさすがにないんじゃないかな…。現代AUだったら噛んだあとのガムのゴミでも喜びそうな感じではあるが…(私の想像力よ…)

謝憐の頼みとあらばということで、鬼たちはみんな「自分の考えた最強の、謝憐から城主への贈り物」を持ってきます。中には媚薬などがあり、「どうして媚薬なんか使うんだ!愛情は心の底から生まれるもの。薬でどうにかしてはいけません」と説教する。いや、これだろ。喜ぶと思うよ。しかし却下される。

そこで、謝憐は花城に内緒で贈り物探しをすることに。花城は謝憐がこそこそしているのを当然見逃さず、書の練習中にどうしたの?と尋ねる。謝憐はいろいろ探りを入れてくる彼の口をキスで封じるのだった!そんな技を使うようになるとは…。

まず、かつての二人の部下を呼び出し相談します。風信は「俺があげたことがあるのは金腰帯だけです」と言う。そうだよね…つらい時代だったよね…。ほんとならたくさんあげたかっただろうな。でも、剣蘭は大事にしていたんですよ、それを。慕情は「どうして私たちが呼ばれるんです?もうベルトでいいでしょ」と投げやり。そこで、慕情に教えてもらいながら帯を仕立てることにしたんですが、謝憐のほどこした刺繍はめっちゃ下手くそで、「誰がこれをつけて外に出るんだ!?」と二人から非難囂々…。殿下は裁縫なんかしたことないんですよ!これも嬉しいと思うけど…。

それから、師青玄のところに行って相談します。「私のところに来るとはいい判断だね!宝物はどうだろう。三界でも手に入れるのが難しいものになるけれど」それは謝憐にとっても願ったり叶ったり。入手困難なものであればあるほど、特別になると考える。

「じゃあ、満天の星空の杯はどうだろう?夜空の下でよい酒を注ぐと、天地と日月、星の霊力があふれるんだーー」「それって、これくらいの大きさの、翡翠でできたものかな」「どうしてそれを知ってるんだい?」

そりゃあ、知っている。なぜなら、ついこの間、謝憐はそれを割ったばかりなのです。割れた破片で怪我をし、花城は謝憐の手当をしながら部下に命じて破片を片付けさせたのだった。美しいその杯を謝憐は気に入っていましたが、花城は「たいしたことないものだよ、気にしないで」と言っていた。

「それじゃないものがいいかも……」「それなら、八角筆はどう?これは筆の穂が古代の霊獣の尻尾、軸は翡翠の竹の精で作られているんだ。使っていないときはね……」「翡翠の葉が芽吹くんだろう?」「どうしてそれを?」

そりゃあ、知っている。その筆はいつも花城が書の練習で使っているものだから。「それも適してないかな……」

と、このようにありとあらゆる宝物を教えてくれるのだったが、花城のところにあるものばかりなのだった!この世に花城が手にしたことのない希少な宝物などあるのだろうか…と悩みながら、謝憐は他の人を訪ねる。

しかし、権一真は金の延べ棒しか知らんし、裴茗は男への贈り物は知らんし、霊文は巻物の海の中で事務作業という刑罰を受けているし、誰もよい案は持っていなかった。誕生日まであと二日しかない!

早朝に起きた謝憐は花城の寝顔を眺めた後、抜け出そうとします。まだ半分寝ている花城にいろいろ引き留められますが「信徒からの祈りが届いた。君は絶対に来ないで!書の練習をしているように。戻ったら見るからね」と怪しすぎる言い訳をして出かけるのであった。それを見送る花城は、どうもわかっているようなのだが…。

謝憐は銅炉山に行き、国師に会います。国師も生きてたんだ〜!相変わらず、小屋に傀儡を三人置いてカードゲームに興じている。謝憐は正直に悩みを相談します。仙楽の長命鎖片(古代中国の南京錠の形をしたお守り)をあげたいと思っていて、それの作り方を教えてほしいと頼みます。すでに国師は「何も用意する必要なんかない。贈り物は君でいいじゃん」と言う。軽い。

「あなたは三度も飛昇した花冠武神ですよ。どうして自分を低く見積もるかな」「低く見積もってるわけじゃないんですよ」

愛する人に何か、心を尽くして贈り物をあげたいというのは自然な気持ちなのだと謝憐は思う。「長命鎖か。どうやって作るか細かい工程をもう覚えてないなあ」という国師に「大丈夫。私も自分の記憶だけで試してみます」「彼に尋ねようか?」国師は地下で閉じ込められている君吾の名を出さず、謝憐は首を横に振ります。

銅炉山で過ごしたあと、鬼市に戻ってきた謝憐。もうあと数時間しかない。大丈夫か。

鬼たちに花城の様子を聞くと、ずっと千灯観にこもっているらしい。しかし、上機嫌とのこと。「プレゼントは用意できた?」と尋ねられ、にっこり笑って、一生懸命鍛造した長命鎖片に触れます。

千灯観に戻ると、花城は上機嫌で書の練習をしていました。類い希なる宝物の八角筆でめちゃくちゃな文字を書いているのを見て頭を振る謝憐。

「おかえり、哥哥。ちょうどいいときに。俺の成果を見て」

近づこうとして、謝憐は倒れそうになります。花城はすぐに彼の手首をつかんで心配そうに「どこか怪我をした?」と尋ねる。この数日間、謝憐は危険な目には遭っていないし、当然怪我もしていません。ただ、奔走したので疲れていたのだろうと、「大丈夫。ちょっとひねっちゃっただけ」と言って、彼の書を見ます。

しかし、彼の胸を刺すような痛みはどんどんひどくなるばかり。それを我慢しながら、謝憐は花城に「目をつむって、ついてきて」と彼の手を取り千灯観の部屋につれていきます。そこでは鬼たちと一緒に準備したお祝いの飾り付けが。長命鎖もあげます。ところが、鋭い痛みが謝憐を襲い、彼は昏倒してしまう。

気がついたとき、慕情と風信がそばにいる。謝憐は花城の姿を探しますが、彼の姿は近くにはありません。痛みは花城のそばにいると強くなるため、彼はなるべく離れていようとします。

「いったい、昨日はどこに行っていたんです?」と二人に尋ねられて、銅炉山と国師の墓に行ったと告げる謝憐。国師の墓とは、永楽国師、すなわち芳心国師…鎏金宴大殺戮のあと郎千秋に刺されて封印された墓に行っていたのです。彼は、芳心国師が使っていた銀の仮面を使って長命鎖を作ったのだった。

殿下…!なんでまたそんなものを贈り物の材料に使おうと思うんですか…!

花城は出て行ってしまい、謝憐は花城のせいではないのだと、彼に会うために風信と慕情の制止を振り切って、賽子を振ります。そして、現れた扉を開いて飛び込む。彼の体は花城の胸の中へ。

「殿下!」「一人で行かないで。どんなに痛くたって君のもとにいる」

謝憐は花城を抱きしめますが、花城はそれを返せない。痛みが強くなるたびに、謝憐はより強く抱きしめます。

額に汗を浮かべながら「ちょっと待ってて。ちょっとの間だ。すぐによくなるから。私は痛みには強いんだ。君が傍にいるなら耐えられる。君がいなかったら、耐えられない……」「ああ、殿下……」

かたまったままの二人に、後ろから「あなたの仮面を溶解して作ったんですか」と声がする。そこには郎千秋が。次いで、謝憐を追いかけてきた慕情と風信もやってきます。

「俺は、一昨日国師の墓で墓泥棒らしい出来事があったことを聞いてやってきたのです。長命鎖を作るためにあなたの銀の仮面を使ったんですね。一昨日、それをとりにやってきたんだ」と郎千秋。ためらいながらも頷く謝憐。

芳心国師が身につけていた仮面は銀でできており、これはつけているものの体と命を守り、術を跳ね返すものでした。国師の死後、一緒に埋葬されていたのです。何をあげようか考えあぐねていたとき、この仮面のことを思い出して、自分の墓を掘り返して仮面を手に入れ、銅炉山に行ったのだ。

芳心国師の墓は誰にも顧みられず、草ボーボーで、まさか郎千秋が今もここに注意を払っているとは思っていなかった。

「この長命鎖に問題でも?殿下、何かわかりますか」と花城。郎千秋がその問いに答えます。「長命鎖じゃない。彼に問題がある」

つまり、芳心国師は胸に桃の木の杭を打たれて埋葬された。それはずっと彼に痛みを与え、血を流させたもの。その血は銀の仮面を染め、それを使ったがために、どうも呪いがかかってしまったらしい。花城に関係しているのではなく、自分自身の血に反応して痛みを与えていたのです。

「何か助けられることは?」と郎千秋が言いますが「大丈夫。君のせいではない。私が不注意だっただけだ。もう行っていいよ」と謝憐。本当にね!殿下、髑髏とか不用意に触らないでって言われてましたよね!?自分の墓も掘り起こさないで!?

しかし、郎千秋はそこから去ろうとせず見守る。まあ、一応、滅んだとはいえ自分とこの領地の墓だしな…。

割れる音がして、見ると、花城の手の中で長命鎖が粉々になっている。「終わったよ、殿下。もう痛まない、そうでしょう?」彼が大切に持って、心臓のそばに置いていたものはなくなってしまった。謝憐はゆっくり息を吐き、「もう痛くないよ」と言うのだった。別の理由で、頭を痛ませながら。

風信と慕情と郎千秋は天界に戻り、花城と一緒に鬼市に戻ることにした謝憐。どうやら帰りは徒歩らしい!

長命鎖の中にあった謝憐の血は彼の元に戻ろうとしていた。もし謝憐の心臓が水のように穏やかで落ち着いていたなら、問題はなかったようなのです。しかし、この痛みが起こったということは、つまり、彼の心は花城のそばで穏やかではいなかったということで…なんて難儀!これからは自分の墓から掘り起こして自分の血を吸った銀の仮面を贈り物の材料に使わないようにしてくれーっ!

全てが終わった今も、謝憐は花城を見る勇気がありませんでした。そんな彼に、花城は問いかけます。「どれくらい棺の中にいたの?」「覚えてないな」

棺の中には長い間いた。それこそ覚えていたくないくらいの長さ、血を流し、飢えて、痛みに耐えながら、中にいた。まったくそこで動きたくなかったのですが、後悔していたにもかかわらず、棺の蓋を叩いて出た。

そこでの痛みは百回刺された時とは異なっていましたが、永遠の地獄にいるような苦しみには違いありませんでした。

謝憐のため息を聞いて「どうしたの?まだ痛む?」と心配する花城。「ごめんね、三郎」「どうして俺に謝るの?」「今日は君の誕生日だろう。私は君のためにいい日にしたかった。でも、呪いを解くために費やしてしまった…。それに、君にあげた贈り物もなくなってしまった」

今日という日は最初から最後まで散々。

花城は足を止めます。「殿下。あなたは俺にすでに贈り物をくれました」

それを聞いて「贈り物は私、とか言わないでくれよ!」と思う謝憐。

花城はやさしく、「どんなに傷ついても俺に会いたいと言ってくれた。痛みがあっても、離れないと」「……」「俺は幸せです」

抱き寄せられ、謝憐は彼の胸に顔を埋めます。「本当だよ。俺は本当に幸せだ」

私もだ。私も、本当に幸せだ。

心の中で考える。

「そうは言っても、とても幸せだけど、二度とあなたを痛みに耐えさせたくないよ」と花城は言うのだった。

千灯観に戻ると、そこには天界からも贈り物の数々が。謝憐は花城より喜びますが「全部捨てる」と言う。しかし、いろいろ見ていると、中には媚薬や子作りの薬が混じっている。それを手に取ろうとして、必死に止める謝憐であった。いつか使われるのだろうな…。

結局、長命鎖は渡せなかったけれど、手作りの帯をあげる。呼吸が必要ない鬼なのに、花城は息もできないくらい死ぬほど笑って受け取り、身につけてくれる。

なんかさあ、花城と謝憐が笑ってると、幸せになるよね。ずっと笑っててほしいよ。

謝憐は恥ずかしさのあまり死んだふりをしたくなる。なんとか頼んで、彼が刺繍したものを表にしてつけないようにしてもらう。

さて、この日は天界から地上まで響き渡るほど、彼の誕生日に謝憐が倒れたことを花城が大騒ぎした日でした。そのため、この顛末は天界から地上まで知れ渡ることになり、謝憐が頭のてっぺんからつま先まで、血雨探花と恋に落ちていることを皆が知ることになったのだった……。

終わり

@checaldooggi
書くことを続けられたらいいな。読んでくださってありがとうございます。 天官賜福とさはんにハマっているのでその話が多めになるかも。 匿名の質問箱はこちら mond.how/ja/checaldooggi