83章を読んで勢いのまま84章も読んで、今、脳内が「おもしれえ〜!!!!」で大変なことになっています。お話が本当に面白い。
■83章
洞窟の中で、後ろを歩いていた裴茗たちが消えてしまい、警戒する謝憐と花城。花城は「手を貸して」と謝憐の手を取り、赤い糸を彼の指に結びつけます。これではぐれてしまっても絶対にお互いを探せるとのこと。どちらかが死ぬまで。
このときの謝憐はもう花城にどきどきしていて、私も「殿下の情緒が育っている…」とむず痒い気分です。
謝憐にとっては花城の好意は、単なる「彼がいい人(鬼)」で、それは自分だけに向けられているのではないというように受け取っていると思っていて、鬼花嫁のときも半月関のときも、まだ「いい子だなあ」って感覚だったと思うんですよ。
しかし、湖でのノーカンキスを経てどんどん意識していくのが、これでもかと丁寧に描かれていて、謝憐が恥じらったり動揺する度に、私も「よかったねえ」と涙ぐんでしまいます。もう3回くらい口づけしてるけど、早く明確にお互い「これが接吻である」というキスにたどり着いてほしいものです。この調子ならきっと遠くないはずだたぶんそうであってくれ。
早くくっついてくれー!と思う一方、私は「くっつかない萌え」という厄介な性癖も持っているので、このままの状態でも美味しくいただけます!
二人は洞窟の中を戻っていくのですが裴茗たちとは会えず、最初に出てきたところにたどり着いたら、そこには大きな壁が現れていました。これは幻で作られたものではないらしく、Devil's Roundaboutっていうやつらしい。ラウンダバウトって、環状交差点のことやと思うんやけど、いまいち想像つかんな。(環状交差点は日本ではあんま見ないけどヨーロッパとかだと一方通行の道が多いからよく使われてるやつという認識)
ともかく、壁を作って人を一方通行に歩かせて最初のところに戻らせるというやつみたいです。
で、ここでお互いを赤い紐で結びつけるんですが、同時に地面を叩きつけるような音がして「武神だよね」と音のする方へ進む。洞窟の中を照らしてくれるのは花城の銀蝶で、ここも絵で見たいな〜と思うところです。
裴茗かな〜て進んでいったら、半分しか体のない蠍尾蛇がのたうち回っていて、もう少し進むと人の息遣いが聞こえてくる。銀蝶が照らすところには、人の腕が浮かび上がってきて、上半身だけがそこにあった…。どういう状況!?
鹿の首飾ってある感じに石の壁に埋まっちゃってるらしい。この人物はどうやらまだ生きているが反応がない。と、気がつけば花城の姿が消えていて、謝憐はこの人のことは放っておいて赤い糸を手繰りながら花城を探します。糸は壁の中を通っており、芳心を使って掘ろうとすると、今度は壁の中に取り込まれそうになってしまいます。しかし、もがいているうちに手首をつかまれ、「誰!?」と叫べばそれは花城だった。よかった〜。赤い糸すごいな。
この洞窟は山の精霊のお腹の中で、「どうやって出よう?」という謝憐に花城は「山の精霊は俺たちを消化しようとしてる。ちょっとイライラするけど、安心して。すぐに出られるよ」と言い、「『同じ墓場で死ぬ』って、こんな感覚なのかな」と冗談を言います。ここ、注釈がついてて、「生同衾,死同穴」から取られてるらしいんですが、「同じ毛布の下で暮らし、同じ墓場で死ぬ。夫婦間の深い愛情が描かれている。」っていう意味だそうな。花城、もう早く、好きだって言えば?
さて、壁の上のほうで飲み込まれている人物は誰かと言えば、それは奇英に違いないらしいです。そう言えば髪の毛が巻毛だった!という謝憐。
花城は「彼は眠ってるだけ」と教えてくれて、なぜそれがわかるのか尋ねたところ、花城は自分の右目は銀蝶を通して見ることができるのだと教えてくれます。
そして、花城は少し頭を下げて、謝憐の顎を優しくあげて、額を合わせます。すると、謝憐にも右目が見ているものが見えるように。
……これって、花城は常に眼帯をしている右目で、銀蝶が収録しているものをモニターしてるってこと?めちゃくちゃ大変じゃない?マルチタスクと並列思考してんの?花城が仕事ができるはずだよ…。
銀蝶は権一真の頭の中に潜り込んでいるのでそこから様子をうかがっていると、誰かがやってきます。それは、青ざめた顔の引玉だった…。
■84章
この章は引玉と権一真の過去の話となります。花城は人の過去も見せることができるらしい…。すごいなあ、鬼って。
権一真に近づいていった引玉は仮面をつけて、月牙鏟を振り翳します。謝憐はびっくりして、二人の間にどんな遺恨があったのかと戸惑いますが、それで花城が過去を見せてくれるんですね。個人情報もへったくれもないね。
過去は、引玉がまだ若く人間だったころ、彼が道士として修行していたころから始まります。同門の師弟たちが子どもをいじめているのを見て助ける引玉。それは権一真で、彼は引玉にも石や泥を投げつけて戦いを挑みます。その動きを見て「君は私たちの流派の技を見て覚えたの?」と驚くのだった。
そして時は流れて、同じ門派に入った権一真は誰からも嫌われていて引玉に訴えます。引玉は「彼はただやるべきことをやっているだけ。君たちも同様に精進しなさい」と諭します。彼の師兄の鑑玉は権一真を嫌っており入門させたことも口うるさく咎めますが「そのままでいいんだ」と言われて歯痒く思っている。自分のことで文句を言われている引玉に権一真は「私は間違っているのかな?」と尋ねますが、引玉は「そのままでいんだよ」と言葉を返すのだった。
権一真は子どもの頃から戦い好きで、人の言うことなど聞きもしないので、集団生活になじめなかったことがわかる…。
さらに場面は映り、今度は天界へ。引玉が飛昇し、鑑玉と権一真を点将して二人も神官に。引玉殿が建って神官たちがお祝いに現れます。ここにはすでに、擬態して入り込んでいる黒水の姿も。めっちゃ笑顔な神官なので謝憐はびっくりします。50体くらい擬態を潜り込ませてたらしいよ。すごいな。元気な師青玄も登場。せっかくのお披露目の日なのに、外から苦情が寄せられます。それは権一真に殴られた神官によるもの。自分より地位の低い神官に殴られて御立腹。こんなときにいつも率先して口をはさんでくれる師青玄は「今日は引玉殿のお披露目の日なんだよ。後にしてくれないかな」と言うと、「なんでこっちが時を選ばなあかんねん」と喧嘩が始まってしまいます。引玉は「今は難しいので、後で話そう」と申し出るも「隠蔽しないことを祈るね」と返し、権一真が殴りにかかります。霊文は「衛兵、彼を止めて、死人が出ます」と告げ、引玉も唖然とした後に慌てて外へ飛び出し、苦情を言いにきた神官は「ここの師兄と師弟はぐるになって人をいじめている!」と罵るのだった…。
その夜、鑑玉はめちゃくちゃ怒って引玉をなじりますが、「そのままでいいんだ」と返す引玉。権一真は目立つので人は彼を怒らせるが、彼から手を出したことはないのだと諭します。
しかし、「いつも目立たず行儀良くしていればこのような騒動は起こさなかった。私たちの面目は丸潰れです。多くの神官たちが今日の出来事を目にした。引玉殿は理不尽で人々を痛めつけると言われるだけですよ。権一真が考えがあって行動していると思いますか?絶対にない!」と鑑玉は憤慨。
鑑玉が去った後、やれやれと引玉が座っていたところから離れます。懸念で重苦しくなっていたところへ、窓辺に腰掛ける影を見つけてギョッと飛び上がります。果たしてそれは権一真で、彼は「あいつらが先に罵ったんだよ」と言います。
「鑑玉の言ったことは気にするな」と引玉。権一真はなおも続けます。「あいつらが最初に罵ったんだ。あいつらが誰なんか知らなかった。私が定休の新刊だと言って、理由もなく怒鳴られて、笑われて、道を塞ぐなって言ってきた。私はあいつらに謝れって言ったけどそうしなかったから、叩きのめしたんだ。私が殴ったから黙っただけで、そうでなければ殴らなかった」
天界ではね…下級神官へのいじめがあるんだって!お前ら神だろ?仕事しろよ。
「下級神官って他の人より下なのかな?」と尋ねる権一真に引玉は「違うよ」と答えますが、本心ではないなと自分でも気づいている。
「ここが好きじゃない。前なら16時間も修行ができた。なのに今はその半分の時間は意味のないことを聞いてしゃべって、挨拶して人に会って…。理由もなく罵ったり笑われたりして、謝られもしない。その上殴り返すこともできないんだ。ここは天国じゃないよ。ここが好きじゃない」
権一真は引玉に訴えます。引玉も「私も好きじゃないんだ」と答える。好きじゃないんか。まあ、そうだよな。嫌な職場だよ、ここは。
「じゃあ、戻ろうよ」と権一真は提案しますが、引玉は「好きじゃなくても、ここにいたいんだ」と答えます。飛昇は高みを望むものなら誰もが目指すことで、誰でもできることではありません。この年で飛昇できるものはそうそういない。「飛昇するのはとても大変なことなんだ。易しくはないけれど、私たちはこうしてここにやってきた。ここでもっとうまくやれるよう努力したい」と説明するも、権一真は「飛昇ってそんなに大事かな? あなたが飛昇しなくても問題ないよ」と、噛み合わないのであった。
この半年後、権一真は自らの力で飛昇します。
場面は変わり、中秋節の宴。ここでも黒水がいて、彼は明儀の姿に擬態してモリモリご飯を食べている。そのそばには引玉と鑑玉がいます。権一真が飛昇したことで、西の武神は引玉と権一真の二人となり、信徒たちの信仰も二人の神に分かれていったようです。
神官の力は信仰の数(あんスタで言うところのファン数と私は理解している)ですので、信徒が経れば力も弱まります。鑑玉はそれが面白くなく、権一真が盗んでいったと憤慨。引玉は「そのままでいいんだ」とまた言います。権一真についていきたい信徒もいれば残る信徒もいる。それでいいんだと…。
そこへ、神官がやってきて権一真と引玉を間違えて挨拶し、彼を褒めちぎります。彼は馴れ馴れしく権一真を「兄弟」と呼び、同じく西に領域があるから仲良くしようではないかと言い、そこへ権一真がやってきたのを聞いて間違えたことを知ります。
彼がやってきたことで神官は集まっていき、そこには引玉と鑑玉と明儀ならぬ黒水沈舟だけが残ります。「明兄!」と駆け寄ってくる師青玄がまぶしい。うっうっ。
引玉殿に戻ってきてからも、鑑玉は西の領地をめぐって権一真と戦うことになると言い、引玉は「権力のために飛昇したのではない」と諭します。権一真が別の場所に移ってそこを守護する武神になるなどあり得ない話で、神はやはり、自分が認められて飛昇した場所で力を得るものなのです。
二人の言い争いが平行線になったところで、権一真がやってきます。鑑玉はめくじらを立てますが、引玉はもてなします。が、やってきた理由を聞いて慌てます。中秋節は権一真の誕生日で、毎年引玉は彼に贈り物をあげていたので、それをもらいにやってきたというのです。
これは…百歩譲ってかわいい…この状況じゃなければ、ねだってくるのはかわいいが、最悪のタイミングじゃない!?
権一真にとっては最悪のタイミングとかどうでもいいんですよね。彼にとっては天界や社会や人間関係は何もかもがどうでもいいことなんだ。だから、仕方ないんだ…。
引玉は「待ってて」と戸棚をひっくり返しますが、当然準備してないから何もない。鑑玉に「金の腕輪あったよね、あれを包んで」と頼みます。鑑玉は足拭きマットで十分だと文句を言いますが、引玉の言う通りに金の腕輪を探しに行く。
鑑玉が準備するのを待っている間二人は少し話をします。「あなたの姿を中秋節の宴で見たよ。あなたに話しかけたかったのに、すぐにいなくなってしまった」「うん、ちょっとしたことがあって、すぐに戻ったんだ」「誰かが言っていたよ、彼らがあなたに間違えて挨拶したって」
この言葉を聞いて引玉は表情を曇らせます。しかし、権一真は気づかず「すごくおかしい……本当にバカだな」と言います。
ここで謝憐は花城の腕に捕まって、「こんなのって、こんなのって、あまりに残酷だ」と呟いてしまいます。権一真にとっては本当におかしくて馬鹿げたことでも、引玉にとってはそうではない。それが権一真にはわからないのです。
鑑玉が戻ってきて贈り物を渡します。権一真は飛び上がるほど喜びますが引玉は疲れた笑顔で「自分の宮殿で開けたらどうかな」と言います。「そうするよ。そうだ、次の月には巡回に行くんだ。もし師兄があいていたら、一緒にどうかな」と権一真は誘い、引玉はほとんどそれを聞いていない状態で生返事をする。これが地獄の始まりです。いや、もうすでに最初から、地獄は始まってたのかもだけど。
さて、その後どうなったかというと、引玉は着替えをしているときに、権一真に渡したはずの金の腕輪があることに気づき、鑑玉に問いただして、彼が実際用意したものが、引玉が討伐したthe Brocade Immortalだったことを知ります。この衣は着た者を操り殺戮するので、引玉は急いで権一真を探します。彼は神武殿にいて、高位の武神たちの会合に出ていました。
ここで視点は神武殿の中に変わり(便利すぎる機能)、錦衣仙を着ている権一真に霊文は驚くも一応平静を保ちます。錦衣仙は着ている人間によって姿を変えるので、めちゃくちゃいい鎧になってる。
そこでは何事もなかったけれど、神武殿から出てきた引玉と権一真が話すことで事態は一気に悪化します。権一真が誘った巡回というのは武神の巡回のことで、どうも誰でも参加できるものではない。それを、君吾に頼んで引玉も一緒に行けるようにしたと聞いて、引玉は錦衣仙のことを忘れて激昂します。おそらく、これが初めての彼が感情をあらわにした最初のことだったのでしょう。「私は間違えた?」という言葉を聞いて、誰もそんなことは頼んでいない、早く行って、取り消してくれと叫ぶと、権一真はその通りにする。引玉が錦衣仙を討伐したので、彼の言うことに反応して着ているものを操るのです。
それからはもう地獄。権一真は武神たちを殺しまくって引玉殿は破壊されるし、権一真は止められない。裴茗、慕情、風信、郎千秋が戦っても、錦衣仙の力でより強くなっていて、これだけでも権一真が力ある武神であることがわかります。
引玉の言葉に従う権一真を見て、引玉は慕情に捕まり、腕を折られます。この時背後から現れるのでこわかった。
霊文が医神を招集し、権一真が意識を取り戻しますが、何が起こったかわからず、彼の師兄に何が起こったかを尋ね、そこで引玉は正気を失ってしまい、笑いながら彼に告げます。「どうして死なないんだ?死んでしまえ!」
錦衣仙の力によって彼は自分の剣で喉をつこうとし、間一髪、郎千秋がそれを止めます。
やっと君吾もやってきて、引玉を尋問し事態の収拾にかかりますが…遅くない!?
鑑玉がやってきて引玉は何も悪くないこと、自分が錦衣仙を渡したこと、全て咎は自分にあると訴えますが、その場にいた神官は誰もが「死んでしまえ」と言ったことを聞いています。これを聞いて鑑玉は「一度だってそんなことを言ったことがない、どんなに私が権一真を嫌って悪く言ってもいつもかばってきた」と驚きますが、真実ですからしかたありません。
引玉は何も申し開きをするつもりがないらしく「そのままでいいんだ」と言います。鑑玉は「そうしてきた結果がこれなのか」と嘆きます。私も泣きたいよ。
それで、二人は追放されることに。これが、権一真と引玉の間に起こったことなのです。
しんど!!!!!!!!!!
謝憐も「もうたくさんだ」と言って花城とくっつけていた額を話します。自分から聞いておいて…と思わなくもないが。で、ここでもときめきを感じていて、早くそれが「好き」って感情だとわかるといいねと思いました。
まあ、こんなことがあったら引玉が月牙鏟で権一真を殺そうとしてもおかしくないな…てな感じなんですが、ここで権一真を殺したら、その力は山の精霊に取り込まれてめっちゃ強くなってしまうのでよくない。
どないすんねん!と見守っていたら、引玉は月牙鏟で頭を殴っただけで、気絶させてから掘り出し始めます。
それにホッとして「三郎、ここからどうやって出るか考えた方がいいんじゃないかな」と言うと、花城は楽しそうに「もう?」と返す。「ここに住みたいの?」と尋ねたら「哥哥と一緒なら」。そしてすぐに「冗談だよ」と言う。
早く好きって言ったら???
ともあれ、花城は「歩くのはもう疲れたから吹き飛ばそうかな」と言ったところ、また声がする。月牙鏟の掘る音に加えて、誰かが話している声が聞こえてきます。それは「食べよう」「上天庭」「武神」と言っていて、謝憐にはどうも聞いたことがあるような気がしてならない。
「ここには太子殿下も来ている」「彼は救いようがない」なんて言われて、「私!?」となる謝憐でしたが、「ここで彼を終わらせよう」という声を聞いてそれが彼の師…仙楽国の国師の声であることを思い出すのだった!
次章に続く