あと6章で終わるなんて信じられない。
三人はナイス連携で怨霊と火柱を避けながら花城を探す。
「三郎!」と叫ぶ謝憐に、慕情は「殿下、あなたは本当に彼が好きなんだな」と言う。謝憐は耳まで真っ赤にしてしまい、それ以上何も言えなくなる慕情。これまで色恋沙汰がなかったのだから照れがありますよ。
しかし、慕情は、自分たちは白無相によって転送されたけれど、花城は違う、彼だけ溶岩の中に落ちていてもおかしくないと言います。いかな血雨探花で絶であっても、白無相も同じで、彼の方が絶としては先に生まれている。しかもこの銅炉山脈は彼の領域です。
風信は「ポジティブなことを言えよ」と言うけど、「最悪の筋書きを想定しているだけだ」と慕情。
なんと言えばいいかわからず、しかし何か言おうとしたとき、何千もの銀の光が瞬くのが見える。花城だ!
激しい戦いを繰り広げていて、岩が崩れて瓦礫が周囲を覆い隠すくらい飛び散っている。いつもの彼は気負わずに易々と戦っていたのに、今はそうではない。本気を出して戦っている。
謝憐は花城の戦いを邪魔したくなくて、息を潜めます。しかし手も腕も足も震え、彼は何度も転げて橋から転落してしまいそうになります。……え?一体、何?よくわからんのだが…。武者震いして落ちそうになったってこと?
こういうとき、自分の想像力のなさが憎い。早く!早く邦訳版を!!
しかし自分が転がってるだけじゃなくて、なんか音がしていて、ついでに通天橋も震えている。その音は剣が打ち合い誰かが戦っている音。……戦っているのは1ページ前からわかっていたのではないかと思うんだがこのあたりの表現がよくわからない〜。
音の鳴る方へ進めば、吊られた通天橋の端に赤い服に身を包んだ男と白い服に身を包んだ男が戦っている。ここから二人の戦いの描写が始まりますが、割愛します。武神も興奮しちゃうくらいすごい戦いらしいです。
謝憐たちがやってきたのを見て、「お前はまた失敗したみたいだ。殿下が来たよ。誰一人欠けていない」と告げます。たまらなくなって「三郎!」と叫ぶ謝憐。
「哥哥」と答えるも、すぐにたしなめる声で「哥哥、次に自分であんな風に落ちたら、俺は怒るよ」と言います。「私だって今度君が私と飛び降りたらもっと怒る!」と言い返す。こんな風にやりとりできるのが幸せなんですね。状況、やばいけど。
花城の顔は一瞬こわばります。まるで、その言葉が本当に一瞬の恐怖を引き起こしたかのように。怒られたくはないらしい。
しかし戦いの最中。白無相が近づいてきて、「再会して喜ばしいのはわかるが、もっと真剣になったらどうだ?」と言ってくる。ほっといてくれるか?
厄命の目が謝憐の姿をとらえてぐるぐる回り、花城が厄命をふるって白無相の武器を壊す。厄命はもっと目を回して、謝憐がここにいることが天上の喜びだと言わんばかり。かわいいですね、厄命。
力を得た花城は「大丈夫だよ。哥哥が心配する必要はない」と謝憐に言って、白無相に「それに、なぜお前みたいな奴に気をかけてやらなきゃならない?」と告げます。そこにいたらしい国師が「小童め、生意気を言うな!」と叫ぶ。
ここからの花城はとてもかっこいいので、ぜひ…ぜひ声をつけていただきたく…。
「結局、お前はただの嫉妬深い爺だろ」と言い、国師も風信も慕情もかたまってしまう。君吾にしろ白無相にしろ、彼に向かってそんなことを言うとは!と驚くのであった。
いいや、この際言ってもらいたい!君吾は性格が悪い!誰に対しても陰湿で嫌なことを言ってくる!本質が白話真仙と同じ!あれが君吾から生まれた妖怪って、ほんとうにそう!!
梅念卿は「太子殿下は誰からも好かれていて太陽だった…」て言ってたけど、本質が太陽だったらこうなってないから!!!もっとバカだし人の助け借りるだろ!!!自分のこと頭いいと思って人を見下してるからそういう行動になるんだよ!!!(完全に悪口です)
だいたいさあ、お前らが今立って戦ってる通天橋も一人で作るなよ。助けてって言うの、恥ずかしいですか?神様だから?人を助けられない神様なら、やめたほうがいいじゃん。人を助ける人のままでいいだろ!
でも、引玉も言ってたし裴茗もめちゃこだわってるけど、「飛昇する」ってことが、この世界での最高ステータスなんだよね。名誉なんだ。結局飛昇したって、その価値観の中で生きてる限りはレースの中に飛び込まなきゃいけなくて、飛昇しても自分の能力に苦しむわけでしょ。力もあって割り切ってる神官ならともかく、上を目指したいと、それこそ神武殿に入ることができる神官になりたいなんて考えてたら、人を助けることなんて考えないだろうな。
そういう社会を作った君吾のことを私はずっとずっと、これからずーっと罵ると思う!
君吾に勝つには、こいつのルールからの脱却。自分がルールだ!と殴ることしかない。
さて、私の憤りはともかく、花城と白無相の戦いは続く。厄命に向かって何かが跳んできて、よくよく見ればそれは胎児の霊。謝憐は「切っちゃダメだ」と言う。無茶言うよね。
風信は息子を見て「こっちに来い!」と叫びますが、胎児の霊は風信を舐めてるんで、彼に捕まえられて怒りのうなり声を上げ、暴れるのであった。「君吾には喜んでくっつくのにどうして俺には懐かないんだ!」と風信は嘆きますが、慕情は「息子だって考えたことがあるのか?ちゃんと名前で呼んだことは?」と実に的確な言葉を言ってくれる。
謝憐はもっと近くで見ようと動き、国師のそばに行きます。国師は無事でした。花城の口の悪さにヒヤヒヤしていた。
風信が驚きの声を上げ、謝憐もそれで顔を上げると、なんと白無相が手を下ろし、傷ついている。花城がかましたのだ!やったれやったれ!
「これほどまでに私を傷つけられたのは何年ぶりだろう」とつぶやく白無相。謝憐は虫の知らせを感じて国師に尋ねます。「師匠、彼は怒っている?」しかし、国師はよくわかったように言います。「いや、怒るよりも悪い。幸せなんだ」
白無相は花城に対峙し、興味深そうに尋ねます。「お前の湾刀。それはなくした目で鋳造したものだな?」
謝憐も初めて厄命を見たとき尋常な刀ではないと気づいていて、花城が失った眼球から作られたものだろうと半ば想像していましたが、白無相はそう確信していたようです。
そこで国師が「思い出した」と言います。おじいちゃん、いろんな事を知ってるのね。
「私の友人たちがある出来事について話してくれたことがあった。何百年も前、憤怒の鬼が銅炉山にやってきた。その鬼は……まだ新しい姿をしていて、とても若かった。銅炉山に来たとき、彼はすでに完全に消えかけていたのに、なぜか持ちこたえ、流れ着いた」
それを聞いて謝憐の胸が早鐘を打つ。「消えかけていた…なぜ?」
「彼は重傷を負っていた。彼の魂はほとんど分散し、意識はほとんど残っていなかった。それでも彼は、何度も何度も「行かない、行かない」と繰り返しながら、浮かんでいた。おそらく、彼の願いが叶わなかったからだろう。とにかく、その年に銅炉山が開山したときに事故が起きた」
謝憐は「彼は行こうとしなかった」と聞いたとき、小さな鬼のことを思うと胸が締めつけられながらも、なぜか嬉しそうに感じる。
ううーっ、ここで泣いていいですか!?あの、鬼火が…ずっと謝憐を見守って、それでも守れなくて、最後に彼の心のままに生きていけるように怨霊に吸い取られて、それでも彼のために未練を残して現世にとどまろうとしていて…。なんて諦めが悪くて我が儘で、純粋な想いなんでしょう。恨みのために残るのではなく、誰かのためを想って、傍にいたいというのが自分の願いで…。
「どんな事件が?」「何百万もの亡霊が桐山に集結しただけでなく、生きている人間の一団が誤ってこの禁断の地に迷い込み、中に閉じ込められてしまったのだ。銅炉山の領域内に生息するのは極悪非道な怪物だけだ。ふつうの人間にはこの領域から抜け出す術はない。そいつらの餌食になる運命だ。しかし、その憤怒の鬼は混乱した状態で、生きている人間の大集団を傘下に収め、何日も逃げ回った。どんな理由かはわからない。やがて彼らは追い詰められ、おそろしい怪物に囲まれ、彼は人間たちとともに食われようとしていた」
謝憐は、その鬼が花城に違いないと考えます。
「それで?彼らに逃げる方法はあったんですか?」「ああ。血の武器を作ることも、殺して脱出することもできる」
「それなら、最も簡単な犠牲は何だ?」とたまらず口をはさむ慕情。
「そう。彼は動いた。狂気の中で、彼は自分の片目をえぐり出した。憤怒の鬼は人間たちにも手を出しかけたが、なぜか実行には移さなかった。その代わり、彼は血の武器を作る代償として自分の目を使った。憤怒の鬼は、すでに最後の息で存在にしがみついていた。目をえぐり出した後、彼は完全にバラバラになっていたはずだ。しかし、何かに衝撃を受けたのか、彼は完全に正気を取り戻した。彼がどのような邪悪な武器を鍛えたのかは知らないが、その武器によって彼はあの戦いを乗り切ったのだ。そして、そのあとにも不思議な出来事があった」
「ど、どんな出来事が?」努めて冷静に尋ねる謝憐。
「その戦いの後、天は天却を与え、稲妻がまっすぐに銅炉山に落ちた。どういう意味か、わかりますか?」
天が天却を与えるということは、天が銅炉山の中に飛昇に値する者がいると信じている、ということ。謝憐は国師を掴んで尋ねます。「誰だったんです?誰が飛昇した!?」
「これはすべて伝聞に過ぎない。しかし、今まで銅炉山から上天庭に上った神官はいなかった。私が聞いたのはまったくのでっち上げだったのか、それとも...」
飛昇したその人物は天界を拒絶し、すぐに飛び降りた!らしい。
慕情は「鬼が飛昇!?そんなことが可能なのか。そして、拒否して飛び降りただって!?」と信じられない様子。
これが花城だったら、なんて痛快なんだろう!花城なのだろうな!!
「彼であるはずがないだろう?彼はまだ銅炉山に入ったばかりだった。彼はまだ絶にさえ達していなかった!そんな風に飛び降りるなんて。彼は自分が生き残れるとは思っていなかったはずだ!なぜ彼はそんなことをしたんだ?」
なぜ彼はそこまで極端なことをしたのか?
そこで、白無相のため息を謝憐は聞きます。
「仙楽、そなたはとても敬虔な信徒を持っている」
気がつくと、白無相の仮面が謝憐のすぐそばにありました。こわいよ。若邪で攻撃しようとしますが失敗。
厄命の刃が白無相の首を狙いますが、やや遅く、通天橋の一番高いところまで飛び上がる。
「神経質になるな。私は自分のものを返してもらっただけだ」と言う彼の手には芳心が。気がつくと、謝憐の背にあったものがなくなっている。芳心はもともと烏庸国太子の剣なのです。2千歳か〜。
仮面にひびが入り、割れて砕け散る。白無相の姿も君吾のそれに変わります。あ、もともと変身してたのか。
君吾になるともっと強くなるみたいです。「白無相のときよりも厄介だぞ。先ほどまでは武器で勝っていたが、今では難しい」と国師が忠告。
芳心を見て「誅心、久しいな」と話しかける君吾。あんたがくれたんじゃん。
謝憐はいつも芳心は使いにくいな〜古いからだろうな〜と考えていた。そして、いつか折れるだろうなと思っていた。が、本当の主の手にあって、芳心ならぬ誅心はものすごいオーラを放つ。使い手が違ったからだった。
厄命と誅心が打ち合うと橋が揺れる。やばい。君吾の動きは先ほどより鋭く、重くなっていて、花城はだんだんと劣勢に。謝憐はいてもたってもいられず戦いに加わります。素手で剣を抑えることのできる謝憐ですが、こんなまがまがしい剣とやりあうのは初めて。
背中合わせに花城と立って「一緒に戦おう!」と言う。
ああ〜背中を預け合うのはみんなが好きなやつ…!
息を合わせて戦う二人。謝憐が命じて花城が動く。
二人が一緒に戦うのも初めてだから感動だよ…。
しかし謝憐は花城ほどの技術を持つ絶が自分の指示に従う必要もないことに思い当たり、「ごめん、君は私の言うことを聞かなくていいよ」と自分の悪い癖を謝ります。
「どんなささいな助言でも、哥哥がくれるものは最適な導きだよ。どうして聞いちゃダメなの?」と花城。なんてかわいいやつなんだ。ここが戦いの場でなければ。そして大人の姿でなければ、謝憐は彼を抱っこして撫でてよしよししただろうに…!
しかし花城が立っていた場所が崩れ、急いで謝憐は若邪で彼をキャッチ、その隙をついて君吾が謝憐の肩に手を置く。
「素晴らしい動きだ、仙楽」
謝憐はすぐさま攻撃し、花城も続きます。二人の動きは稲妻のように君吾を襲い、君吾の笑い声が洞窟に響き渡る。「よい。実によい。続けろ」
急に君吾、スター・ウォーズの皇帝みたいになったな。
慕情も「狂ったのか!?笑ってるぞ」と国師に尋ねる。「すでに言ったぞ。怒りより幸せな方がもっと悪いのだ。始まりに過ぎない!」と国師。
まあ、二千年くらい君臨して暇してたら、遊ぶ相手もおらんし、楽しくなっちゃいますよね。厄介過ぎる。
君吾は誅心で謝憐の胸を刺そうとしますが、体を張ってかばう花城。剣は彼の胸に刺さっていました。君吾は攻撃を妨げられて不機嫌になる。花城から剣を抜き、謝憐は花城が鬼であることも忘れて、血が流れていない傷口に両手を当てます。
「三郎、いったい何をしてるんだ」「俺の目の前で、もう一度あなたを刺すことになるじゃないか」
「なぜそんなに苦しむのだ、仙楽。まるで彼が痛みを感じているようじゃないか。死人に過ぎないのに」
謝憐は優しげに話しかけてくる君吾を怒りと共に睨みます。「これはすべてあなたのせいだ」
「私のせいだと?」そして、話をすり替えます。「そうだとして、しかし仙楽、そなたは自分が何をしたか忘れてしまうほど人界でとどまっていたのか?仙楽国が滅亡した後何をしたか覚えているだろう?」
意味ありげに微笑んで君吾は続けます。「無名という名の鬼を覚えているか?」
謝憐は顔色を失い「いいや」と答えます。
異変を感じて国師が「殿下。何を言っているんですか?仙楽国が滅亡したあと、何をしたんです?」と尋ねます。
謝憐は混乱し、花城を見つめ、それから君吾を見ます。花城は「大丈夫、殿下。恐れないで」とささやく。「気を引き締めろ!」と風信。
しかし、謝憐にとっては恥ずべき過去です。そして、トラウマを植え付けられた日々でもありました。
花城は、栄光に酔いしれる謝憐を見たことも、敗戦に敗れた謝憐を見たこともあります。彼は不器用で愚かな謝憐、貧しく乞食の謝憐を見てきたことも。そのすべてが何でもないことでした。
しかし、彼は汚れた泥の中を転がる謝憐、怒鳴り、悪態をつく謝憐、恨みと憎しみに満ちた謝憐を見たことがない。復讐のために永楽国を消滅させようとする謝憐を、二度目の人面疫を起こそうとした謝憐を彼は見たことがない。
花城が考えるほど自分はいい人間ではない。彼は汚れに染まっていないわけでも、聖人君子でも純粋でもなかった。もし花城が真実を知って一抹の疑念を見せたら、謝憐はおそらく生きていけない。
ここまででかい存在になってたんだね花城……。というか、いいところ見せたい欲もあったんだ殿下!?てびっくりびっくり……。私は殿下のことをなんだと思ってるんだろうね。でも、鬼火んときからずーっと見守ってるの、知ってるからな。
花城が謝憐の手を強く握ります。
「殿下。恐れないで。思い出して?あなたはあなただ。過去に何が起こったとしても構わない、絶対に離れない。何を話してくれてもいいんだ。あなたが俺に、あなた自信で言ったことだよ」
花城がここにいてくれてよかった〜!!!!!
もし応援上映があったとしたらそうだそうだと言ってたよ私は。
「何が起こっても構わない、絶対に離れない」君吾が繰り返して笑います。「私のもっとも敬虔な信者たちも、同じように親しい友人たちも私に言ったことがある」
国師が顔色を変え、君吾がそれを一瞥します。
「しかし最後には、誰も守らなかった」
国師は君吾を見ていられず、うなだれます。
二千年前の確執は二千年前に精算しておいてほしいんだよな。禍根を残すな。
「信じて、殿下。信じてくれるでしょう?」花城が懇願します。
謝憐が彼を信じないのではなく、信じようとしなかった。謝憐は震える声で花城に言おうとします。「三郎、何故、君は…ごめん、私は」
花城は彼を見つめて「俺は……」と話しかけたところで、言い終わらないうちに君吾から攻撃される。人が話してるときに邪魔をするなー!君吾の動きは先ほどよりも鋭く激しくなり、花城ではなく謝憐に狙いを定めるのだった。
「結局、お前はただの嫉妬深い爺だろ」、当たってる。
129章に続く!