英語のタイトルがPanic Left and Right, East or West Road Undecidedで、私も今そんな気持ちだよ!
原題はどんなんやろ〜て天官賜福用語集Wikiで見てみたら、「左右慌不擇東西路」でした。慌ててるんや…。右に左に大慌て、東西への道も定まらず、て感じだろうか。
須黎国のクーデターは鎮圧されましたが、裴茗は負傷してほとんど動けない中、王の軍に取り囲まれ、謀反の罪を問われてしまいます。裴茗は政争にはまったくうとかったため、死ななければならなかった…。そして飛昇したというわけです。
一行はとりあえず、雨師篁と合流を目指すことに。雨師は五師のひとりではありますが武神ではありません。謝憐は花城を抱っこして、半月は鬼入り壺を抱えて、銅炉山脈の奥へと入ってゆきます。
進んでいくと荒廃した家屋が現れましたがここがいったいどんなところかもわからず、花城に確認するしかないため、ここで休んで花城が起きるのを待とうと提案する裴茗。
東と西に分かれた道のあたりで野営をすることに。半月は「裴宿にいさんも休まなくちゃ」と言い、裴宿は人間になっていたことを思い出すのであった。
半月は裴宿が狩ってきた鶏を見せて「料理のしかたを教えて」と謝憐に頼みます。正気か???
そこで裴茗がまたいらんこと言うてですね、「君は女の子だろう、料理ができないのか」とか口を出してくる。お前が作れ。
一応鶏を捌くのは手伝ってくれた裴茗ですが、なぜか素手で締めており、さらに鶏肉にフルーツなどを投入して煮たりなどして、料理の雲行きは怪しくなっていきます。裴茗は台所に入って炊事をしたことがないそうなので、謝憐のやっていることに口をはさまないのであった。なんとおそろしいことでしょう…。
料理ができるあいだ、裴茗は謝憐に、なぜ三度目に飛昇を果たした時、君吾に神官から外してもらうように頼まなかったのかと尋ねます。それには答えず、謝憐も尋ねます。なぜ、明光を折った後、新しい霊剣を鍛えなかったのか。
裴茗は嬉しくない質問だと言い、謝憐も同じくと答えて苦笑いを交わします。
神官同士の付き合いも大変だね。
花城が目を覚まして喜ぶ謝憐。十三か十四歳くらいの大きさになっていて、声も子どもの頃から少年のものに変わる。うう…ギリギリ私の中ではまだオーケーです!
花城は「安らぎを与えてくれてありがとう」と謝憐に言い、すぐに「ここから離れた方がいい。東からなにかがやってくる」と警告します。
東からなにかがやってきて道が東西にわかれているのならば西に向かうのみ。料理の途中の壺を抱えながら半月は「裴宿にいさんが戻ってきてない」と心配しますが、ちょうど裴宿が戻ってきます。そして、そっちの道はおそろしい生き物がいるから行ってはダメだと告げます。その数、500体ほど。
しかし、謝憐は直感を信じて西を選びます。花城も西というので、西がいいに決まってる。
500体ほどの鬼はすごいスピードで進んでいるらしい。一行が進むと、死体が散乱する場所に出ます。おそらく、裴宿が見た鬼たちの成れの果てのようです。花城は「一人だけの仕業だな」と判断します。
うー、またこわくなってきた。
奪命快刀魔より強いことがうかがえて警戒する一行。半月は雨師がこの道を選んでいないことを願いますが、裴宿は守護獣?がいるから大丈夫と安心させます。
そこへ、頭蓋骨がかちゃかちゃ音を立てるのを聞く謝憐。こわい。
頭蓋骨は「帰りたい!家に帰りたい!」と悲鳴をあげて、謝憐は「大丈夫、私たちはただの通行人だよ」と言います。やさしいな〜。何があったか教えて欲しいと頼むと、「ものすごく恐ろしいことが起こったんだ。千人もすでに殺していて、それでも満足しなくて。姿はよく見えなかった。あっという間に殺していったよ。黒衣を着ていて、若くて、顔は真っ青だった…」と教えてくれました。
裴茗はそれを聞いて「西に行くべきだろうか?東はどうだろう」と言いますが、頭蓋骨は「東もダメだ!東には白い服をきた二千人鬼を殺したやつがいる、だから、西に向かったんだ…。西にいたやつよりもっと恐ろしかった」と話す。
どっちに行っても地獄か〜!
「西に行こう」と謝憐は決めますが、頭蓋骨は「どっちに行ったって間違いだよ、取る道なんかないんだ!」とかちゃかちゃ言うのであった。頭蓋骨は力を失って、謝憐はやさしくそいつを道の端に置いてあげる。
花城は、東のやつより西のやつのほうが対処しやすそうだからそっちを選ぼうと言い、一行はそれに従います。
道を進むにつれて、家が増えてゆき、小さな街の中に入ります。誰もいない街ですが、きれいな水などがあったので、そこで休憩することに。「花将軍、裴宿にいさん、二人は何か食べなくちゃ」と半月が壺を出す。果たしてその中身は…。
まあ、太子殿下が作ったやつだから、そうなるよね!
壺の中を見て「底の見えない闇」「永遠の深淵」なんて表現、出てくるか?
謝憐は半月の肩に手を置いて「最初の料理にしちゃあ、悪くない出来だ」と親指を立ててやります。アンタが教えたんだって!
裴茗は「そりゃ、彼女は初めてだっただろうが、太子殿下も初めてだったのか?どの手順でもあなたが手助けしていたし、彼女よりあなたの方が動いていたが…」とつぶやく。
それを聞いた花城は「哥哥がこれを作ったのなら僕が食べてみよう」と言います。裴茗と裴宿はその花城の姿を畏敬の念、畏怖の念、尊敬の念、そのような感情を込めて見つめるのだった……。
花城はいつも料理の名前を聞いてくれるんですが(聞くな)、この底の見えない闇の料理は「顛鸞倒鳳(てんらんほうとう)」っていうらしい。死ぬほど笑ってしまう。
花城は「いい名前だね」と言って、無限の闇の壺に手を伸ばします。そして「名前の通りの味」って言います。
甘やかすの、よくないと思うな!!!!!!!!!
半月から「あなたのために作ったの。召し上がれ」と言われて裴宿も(たぶん覚悟を決めて)口にします。そして、膝をついたまま気絶していまい、裴茗に「男はそんなに簡単に膝をついてはいけない」と言われるのだった。
その間に謝憐と花城はこの街について話します。銅炉山とそれを取り囲む山脈にはかつての古代王国の廃墟があり、烏庸国というその王国は7つの都市から成り、ここはその一つなのだそうです。
傍では裴茗が騒ぎ半月が平伏して「ごめんなさいごめんなさい」と謝り、太子殿下の料理によってまた新たな犠牲者が生まれてしまった…。
太子殿下はまったくそちらには興味を示さず「そんな王国があるなんて知らなかった〜」と呑気に構えています。
烏庸国は二千年前に栄えた王国で、多くの人が知らないのも無理はありません。多くのことがわかっていない。二千年前の建物にしては古びて見えないので不思議に思っていると、それは銅炉山がふだんは閉じていて、どこからも隔絶された空間だからだそうなのです。
裴茗はそんな国は聞いたことがないと言い、知ったこっちゃないと花城が一蹴し、謝憐は唐突に烏庸国の名前を聞いたことを思い出します。それは彼がかつて仙楽国太子であったころ、彼の師から聞いたのでした。
彼の師はお話として烏庸国の太子のことを伝えました。その太子は文武両道に優れ、才能に富み、賢く、民を愛し、民もまた彼を愛した。彼が死んだ後も民は彼を忘れなかった。「このような人になってほしい」と言われた太子殿下は「私は彼みたいな人にはなりたくないな。神さまになりたいんだ」と答えたそうです。「その太子があなたがいうように素晴らしい人物なのであれば、なぜ神にならなかったんだろう?」「本当に彼のことを民が忘れていなければ、どうしてこの太子のことを聞いたことがなかったんだろう?」とさまざまな質問を師に投げかけ、困らせたそうな。
このお話は道徳教ほど響かず、読んだ書物にも出てこなかったことから、忘れてしまったらしい。
話し込んでいると、這いつくばった裴宿が裴茗と謝憐の足首を掴んで息も絶え絶えになっていました。半月が「何か重要なことを見つけたみたい」と教えてくれます。裴宿、君ってやつは…。骨は拾ってやるからな。
彼の指差す先を見ると、牛の蹄のあとが。裴宿はなんとか話そうとしますがうまくいかず(料理のせい)、花城が代わりに伝えてくれます。雨師がすでに黒衣の男と西で戦い、雨師の守護獣である牛は敵を大地に沈めたらしい。しかし、引き分けに終わったっぽい。
東の敵はいく先を変えたらしく、一行はそのまま西に進むことにします。
道の脇には巨大な建物があり、それは烏庸国の聖廟でした。そこには「偉大な太子が烏庸国を守る」というようなことが古代の文字で書かれており、花城は十年銅炉山にいたから読めるらしい。
烏庸国の太子は神になったのかならなかったのか、君吾は知らなかったのか…と意見を交わすメンバー。烏庸国は二千年前の国だし、君吾が神になったのは千五百年前で、今の天界の治世は君吾からのものなので、それ以前はどうなってるかわからないみたいです。
ここで、神とは…てことが語られるんですが、結局、神が存在し続けられるのは人々からの信仰あってのもので、人々の文化が変われば信仰の対象も変わり、神々も入れ替わるというような説明があります。
聖廟の中は窓も閉じられていて光が入らず、それ以上に暗く感じられるのは一度焼かれて煤にまみれているため。それが謝憐にわかったのは、焼けた廟がどうなるか、彼が知っているから。彼に捧げられた太子廟がこのように燃やされたからでした。
しばし沈黙に包まれていると、裴茗が蠍尾蛇にかまれます。半月に腕を伸ばしたから…。「なぜそんなことを?」と聞かれて「女性がこのような暗闇の中にいたら、安心させるためにそばにいるものじゃないか?」と答えるのですが、半月の返事は「私はこわくありません」で…裴茗、おもしろすぎるよ…。いつだって和ませてくれる。
壁に絵が残っていることを見つけて、次章に続く!