122章のタイトルはTurning the World Upside Down, Battling the Fiery Demonic Fortress in the Sky。
Upside Downと聞いたらThe Stranger Thingsを思い出さずにはいられないな…。なんの関係もないけど。
でもタイトルからわくわくしますよね!空の中で魔の要塞と戦う!しかもでっかい神像がいる!
この、神さまがいて霊的な力を使うんだけど、最後は物理!ていうところが、天官賜福の好きなところですね。拳が全て解決するんや。
さて、神像はぐんぐん上がってくるので、大通りにいた神官たちはみんな呆然として見上げることに。
謝憐が見たところ、神像は完全に修復されていました。
「三郎、君が直したの?」「哥哥を攫いに天界に来るのに手ぶらで来れないよ。さあ、行こう!」
このやりとりだけで胸がいっぱいになる。私がちっちゃい花城に狂っているのはこれまでのメモからもおわかりかと思いますが、姿かたちだけでなく、八百年経とうが、謝憐も花城もその精神性がみずみずしいというか…ピュアで素直なところが好きなんですよね。もちろん、それぞれ、その役目を果たすときは変わるんでしょうけど、二人でいるときって全てのしがらみから離れて、お互いがお互いでいられるじゃないですか。
脱線しますが、謝憐が風信と慕情にしか見せない態度ってあると思う。意識してのことではなく、人間だった頃の関係性とかあるし、謝憐の中で二人は友人だから、彼らとの間で培ったものがそうさせる。で、それって、花城はぜったいに得られないものなんだけど、そういうのがあって、でも謝憐は花城の前が一番快適だし安心してるし子どものようにも年長者のようにも振る舞える…万華鏡みたいにくるくる、彼の情動を見せることができるんだよなって考えると、うまく言葉にできないんだけど、めちゃくちゃたまらんものがある…。
ただ、弱音を吐けるとかじゃなくてね…。まだ終わってないけど、これから時間を共有できる相手なんだよってのがね…。とてつもなく愛しいことだなあと思うわけです。
英語だからなのかもしれないけど、花城の言葉遣いって謝憐の前ではラフで気取ってなくて、七歳下の男の子って感じで、それもすっごく好きです。かわいい男には攻めをさせよというのは万国共通だな。(そんな年下彼氏のイメソンはPerfumeのPuppy LoveとBaby Faceです…)
謝憐はみんなを神像に乗せようとします。しかし神官たちはそばに花城がいるのを見て崩れ落ちそうになる。
「殿下、隣にいるのは…!?」と風信の眉間のしわが深くなる。そして「剣蘭!」と彼女の名を呼ぶ。
郎千秋は戚容がこそこそと隅に隠れているのを見つけ、刺そうとしたときに泰華殿が爆発する。繭から出てきた君吾が破壊したらしい。戚容は出てきた君吾の後ろに隠れて神官たちを罵倒する。
君吾は黒い気と白い光をまとっていて、神官たちはこれこそが「君吾」なのだと、まったく見知らぬ武神なのだとわかる。君吾は神官たちを集める謝憐を見据え、一歩進むごとに足から炎がほとばしり、生きているような小さな炎があらゆる方向へ向かって広がっていく。
「まるで橋の上の鬼のようだった」というのは、一念橋の鬼のことなのでしょう。
炎は戚容を捉えました。吼えながら谷子を抱えて逃げ出す戚容。
顔は煤にまみれ、背中には引玉の亡骸を背負って、権一真は大通りの真ん中に立っていました。そして君吾を見た瞬間、目には怒りの炎が灯り、引玉の体を置く暇もなく突撃しようとします。謝憐はそれを止めました。今の君吾に近づくのは、それだけで死を意味する。
銀蝶が再び君吾に襲いかかります。神官たちをとにかく神像に乗せようとする。神官たちは最初はためらっていましたが、一人、また一人と動き出す。最後にはアリの大群のようになって神像の肩や胸に乗ります。立つ場所がない物は神像の服をつかんでぶら下がる。
ランタンと銀蝶だけでは動かせないし、人がたくさんいて花城のそばにいけない。しかし、逆境は創意工夫を生むもので、謝憐は適当な神官を掴んで壁を作ると、花城の顔を手で包んで深い口づけをします。ここ!挿絵があるので!キスしてます!!
謝憐の体には霊力が満ち満ちて、壁にされた神官は「二人とも私の背中の後ろで何をしてるんだ!?」と叫びます。そこで謝憐は適当に掴んだ神官が郎千秋だったと知る。子どもに見せるなんて…と落ち込む謝憐。「何もしてない!何も見るものはないよ!」それはけっこう苦しいのではないかな…。
謝憐が「飛んで」と言うと、彼の命令を受けて神像が動き始めます。目が開き、笑みが深くなる。謝憐と花城は頭の上の宝冠に乗る。「みんな、安静に。しっかりつかまって!」と呼びかけ、神像は天界から離れていきます。
状況が少し落ち着いたので裴茗たちと国師を探す。国師は少し離れたところから「ここにいる!」と返し、ほっと一安心。
しかし、神官たちは「近づいてきている!近づいてきている!」と叫び始め、何かと確かめてみれば、天界…仙京そのものがうごいているのだった。もともとは雲の上に鎮座していた仙京でしたが、今は炎に巻かれて動く要塞になったのだった。
そうでなくちゃな!!!と喜ぶ私とは裏腹に神官たちは絶望して「天帝だ…天帝が私たちを皆殺しにするんだ…」と口々に言う。
「そんなに早くないぞ!」と謝憐は言って、手の印を変えてもっと早く神像を飛ばす。しかし、要塞も簡単には諦めてくれない。どんどん近づいてくる。
人界でもこの異変は見えていて、白い光がほとばしり赤い光がそれを追いかけるのを、遊んでいた子どもたちは口をあんぐりあけて見て、それから手を叩いて喜ぶ。もうすぐ人界に落ちそうな気もするので、この子どもたちが無事であってほしい…。
謝憐はだるくなってきて、神像を操縦するのも難しくなってくる。花城が助けようとしますが、そのとき、国師が「何を突っ立ってるんだ!?逃避行に鬼王の霊力だけに頼っていて恥ずかしくないのか?」と叱咤する。
「誰だ?なんの権利があって私たちに説教するんだ?」といぶかしむ神官たち。国師は言います。「私が誰かはどうでもよろしい。君たちが砂場で遊んでいたころ、上天庭にいたのだ。さあ、早く神像に君たちの大切で小さな手をあてて、自分の持っている霊力を全て注ぐんだ。それだけが早く飛ぶ方法なんだ!彼に捕まえられるまで待っているつもりか?傍観することに慣れきって、自分の命がかかっていることを忘れていないか?思い出させてやろうか?」
この言葉は神官たちの目を覚まし、七百人から八百人が霊力を神像に注ぎます。「殿下、手を貸そう!」「私も」「そんなにないけれど、できることをやるよ」と霊力が集まり、再び元気になった謝憐は神像を動かして赤い光を引き離します。
この中には謝憐をバカにしたやつらもたくさんいただろうに、でも、今、協力するのが単純にありがたいですよね。いつか落とし前はつけときたいけど…。あっ、でも、謝憐が貶謫してたときにバカにしたやつは、花城が勝負をしかけて完膚なきまでにたたきのめしたのかな。たぶんそうだな。センキュー花城。
「哥哥、下に降りて」と花城が言って、何故かは問わずに言うとおりにする謝憐。漆黒の雲の中に降りてゆき、神官たちはぎゃあぎゃあ騒ぎます。「ここにいて。動いてはならない。待つんだ」と花城。
彼が言うと、赤い光が黒い雲を割って現れ、燃える仙京が降りてきます。神官たちは怯えて「殿下、なぜ逃げないんだ?」「戦うつもりか?勝てない!」と喚きます。「またバカになった!知ってたぞ、バカでいるのが好きなんだ!何百年もまえからずっとそうだった!痛い!誰が私を蹴ったんだ?」と言う神官に国師は「私だ。一言でもさらに言ってみろ、すぐに落としてやる」と脅します。国師も血の気が多いね。
神像はめちゃでかいけど、仙京はもっとでかい。真正面からの対決では勝てそうもありません。が、謝憐は花城を信じている。私も花城を信じている。なので、謝憐は静かに待つ。赤い光があと200メートルというところで、謝憐は何かが下でうごめいているのに気づきます。
下を見ると、足下の暗闇が動いている。それは波。そこで、どこにいるのか気づく謝憐。神官たちの中には同じように気づいたひともいて、「なんてこった、ここは黒水鬼蜮じゃないか!」と叫ぶ。
暗闇の中から白いなにかが飛び出して、四組の目が要塞を見据える。それは四匹の骨龍で、彼らは自分の頭をもたげると口を開き、水を要塞に向かって吐き出す。この水鉄砲は鉄壁を通すほどの威力があるらしい。
「前に見たときはもっと小さかった。あんなにおそろしいとは思ってなかったな」と謝憐。
骨龍〜!!!かわいいよ〜!!!
巨大な骸骨のような怪物が漆黒の海面を突き破って、魚たちは、まるで要塞に向かって岩を投石機で投げるかのように、ヒューヒューと音を立てて宙を舞った。
神官たちは君吾に追いかけられ、花城と黒水に助けられるという奇妙な体験をするのだった。
四匹の骨龍は要塞を取り囲み、水の弾幕をたたき込みますが、あんまり効果がない。魚の攻撃にも炎はどんどん燃え上がり、炎に包まれたそれは海に落ちていく。黒水鬼蜮の表面は地獄みたいになる。
汗が額を流れ落ち、謝憐は「黒水の領域でこんなことをして大丈夫なの?」と尋ねます。花城は「心配しないで。金で雇われてる。好きなように戦って」と返す。物理でものを言う謝憐!金で解決する花城!
そうこうするうちに要塞は変形します。
要塞が変形します。
私は中国の古代風ファンタジーを読んでいたと思っていたんだけど、どうも特撮の戦隊ものだったっぽい。巨大ロボには巨大ロボで戦うしかない…ということなのか、要塞が変形して、ロボ?になります。
要塞が変形したこの巨人はですね、神官たちの黄金の宮殿で表面を覆われて鎧のようにしていて、なんとも豪華。対する謝憐の神像は、巨人に比べるとやはり小さく、大人と子どもの差くらいある。ゴリアテとダビデって言った方がいいか?
変形を完了した巨人は骨龍たちに炎を浴びせる。しかも巨人は海面の上を、地面であるかのように歩く。神武殿は冠のように巨人の頭の上にあり、そこには君吾がいる。君吾もロボット動かすんだ…。もう彼のそばには誰もいないので、動かすのは彼だけですよね。それに気づいて自分がどんなにバカなことをしているか、知ってほしいものだが。
神官たちは口々に逃げようと言いますが、「ずっと逃げてはいられない。勝てなくても、逃げ回ることは長くは続かない」と謝憐は諭します。黒水鬼蜮には人間はいないので、戦うならここしかない。
「みんな、しっかりつかまって。落ちないように。黒水鬼蜮では何もかもが沈んでしまう」
で、始まるロボ対ロボの戦い。
権一真は「武器がない!武器が必要だ!」と叫び、他の神官も「殿下、武器なしに勝つのは難しい!」と言う。
「何が使えるか考える!」と返す謝憐。そこへ、若邪が興奮してくるくる回って謝憐の頬をつつきますが、それを押し返す。「ありがとう、でも君にはできないよ。小さすぎるもの」
「武器が必要なら、選択肢はあるよ。今使おう」と花城。
そこで、骨龍が神像を取り囲みます。が、それは攻撃するためではなく、連結して一つの長い骨龍になるため。神像の手はそれを掴みます。骨龍は鞭になったのだった!若邪のように使えるので戦える!とさっそく使う謝憐。一撃を巨人の頭にたたき込み、巨人は骨龍を掴む。しかし、骨龍は二つに分かれて、短い鞭になる。この武器は自在にその姿を変えて、それを使いこなす謝憐。
神官たちは「こんなに戦えるとは知らなかった」「がらくたを集めてるだけだと思っていた。こんな、武神としての力を持っていたなんて!」と驚嘆します。
骨龍の鞭は巨人に巻き付き、黒水鬼蜮の海の中に落とそうとします。引きずり込んでしまえばこっちのもの!沈むから!でもどうなんだろう!君吾が動かしてるもんがそんな簡単に沈むか…?
謝憐は歯を食いしばって落とそうとする。神官たちも霊力を神像に注いで「沈め!沈め!」と声を合わせる。しかし、君吾に向かって「沈め!」という言葉が放たれて、謝憐は寒気がする。君吾の表情は見えなかったけれど、何かを感じる。
巨人は深淵に引きずり込まれますが、炎はまだ消えない。水の中にあっても赤い光は放たれて、骨龍が深く深く引いて薄れてゆく。
神官たちはほっと一息つきます。しかし、謝憐はまだ気が抜けない。静かになって、裴茗が返事をしていないことに気づき、半月の声もなかったため、一緒に沈んだのではないかと恐れます。
そこへ海が沸騰し始める。そして今度は神像の足が掴まれる。巨人、全然無力化できてない〜!
海から君吾の笑い声も聞こえてくる。こわすぎ。神像は沸騰する海水の中に入ってしまって、神官たちはどんどん上に逃げる。てっぺんにいても、蒸気と熱を感じ、このままでは全身ゆでられてしまう。
やっぱり剣が必要だ!となる謝憐。
そこで国師の声がします。「巻き毛の子どもよ、何をしているんだ?私に亡骸を渡すんじゃない、待ちなさい。どこへ行くんだ!?」
見ると、権一真が神像の足を降りて巨人の腕から頭に登ろうとしている。「奇英!戻って!」しかし権一真には届かない。彼は巨人の腕に乗り、もう一方の腕が蚊を叩くみたいに動く。みんな、彼がぺちゃんこになったと思ったけど、権一真はまだ走っていた。二度目に叩かれるけれど、指の間をすり抜ける。しかし、一撃ごとに狙いが正確になっていく。三度目の攻撃の前に、権一真は彼が目指していたところにたどり着きます。それは骨龍の目の中で、その中に入ると光が放たれる。骨龍はさらに巨人を締め上げ、巨人は神像をつかんでいた手を放します。
しかし、巨人がまとっている炎はどんどん強くなり骨龍も覆ってしまう。謝憐は身を乗り出して炎の巨人に突撃し、連動する骨竜の鞭を打ち砕いた!そして、海に落ちる前に骨龍の頭蓋骨を掴もうとしますが、巨人が頭蓋骨をはたいてそれは数キロメートル先に飛んでいってしまう。神像にはそれを掴む力はなく、中にいた権一真もろとも海に落ちて、灼熱の海に料理されてしまう…。
が、ところがどっこい、巨大な白い骨の魚が骨龍の頭をキャッチします。権一真は骨龍の顎の中にいて、真っ黒に焼け焦げていた。骨が守ってくれたおかげで、巻き毛がさらにくるくるになっていたけれど、そこまでひどい火傷ではなかった様子。
四匹の骨龍の状態はよくない。えーん!こんなに頑張ってくれたのに。おのれ、君吾。ゆるせない。かわいいクリーチャーをこんな目に遭わせて。ばらばらになって海面を浮いてるなんて!
「あー。黒水の住処の守衛を破壊したんだけど。本当に大丈夫…?」「心配しないで。大丈夫だよ」「いったいいくら払うの?」
権一真のひどい有様を見て、神官たちは「奇英殿下が信じられない。危険に立ち向かって私たちを守り、とても勇敢だった…」と言い合う。遅いよ!仕事してないんじゃない!?お前ら、床に落ちたクリップ拾わないしコピー機もトナーも変えないだろ!!
それを聞いて、謝憐は上天庭で受けた権一真の仕打ちを思い出します。そして、首を振る。彼は別に、神官たちを助けるために出て行ったのではないのです。
そんな中、慣れ親しんだ音がして、全員顔を上げます。巨人は炎に包まれていました。彼らを攻撃しようとしていませんでしたが、突然消えます。神官たちは「諦めたのかな」と喜びますが、んなわけない。
「三郎、どうやって消えたんだろう」「縮地千里を使った」「どこに言ったんだ?」「王都」
もちろん、そこは師青玄がいる、結界のある場所!
123章に続く!