剣蘭の問いかけにショックで答えられない風信。それも予想していたようで、「忘れて。何も言わなくていい。あなたは誰かさんの虜だし、あなたが息子を認知しても空約束にしかならない。私はあなたの言う言葉を信じない。だから何か言って邪魔しないで。まあ、あなたがこの子を息子として扱っても、私はあなたを父親とは認めないけど」と告げて、錯錯を連れて南陽殿から出て行きます。
800年の積もりに積もったものはそう簡単には精算できないですよね。
風信は広間で力なく横たわる。
「哥哥、与君山での夜を覚えている?胎児の霊が現れた」「ああ。婚礼用の輿に乗っているとき、子守歌が聞こえて、鬼花嫁の宣姫を見つける手がかりになった。あれは私にだけ聞こえていた」「君吾の指示で動いていたんだろうね」「だから、詩には君吾の目的がつづられていたのか」
ずーっとこれまで私が「なんも問題片付いてねえ〜」て思っていたことはぜーんぶ君吾のせいだったので、そりゃ、黒幕がこいつやってわからん限り問題も片付かないはずだよ。こっちはこれまで気が狂いそうだったんだぞ!?
何故、あの凶暴な霊を君吾が従えているのか…そんな謎も国師に聞けばわかるだろうと捜索を再開します。国師は霊文殿にとらわれていることがわかります。
さて、霊文は錦衣仙を着ることで今や文神と武神を兼任しているかたちです。彼女があれを着ているときに見つかれば通霊を使ってすぐに君吾に報告されてしまう。着ていないときであれば霊文を対処することはたやすく、また、錦衣仙も単独では君吾に報告などできないので、まずは脱がすことが必要。
どうしたものかと思案する謝憐に花城はあっさり「すぐに脱ぐよ」と言う。というのも、錦衣仙は陰の気を放っているので、霊文は長く羽織ってはいられない。ずっと霊力を吸い取られ続けて体を壊してしまうため、定期的に脱ぐはずなのです。
そっと見守っていると、巻物の山の間で仕事をしていた霊文は隣の小部屋に行って錦衣仙を脱ぎます。「哥哥は運がいい」と喜ぶ花城に「君の幸運のおかげだ」と返す謝憐。
霊文は休むためにどこか別の部屋に入り、二人は小部屋に侵入して錦衣仙を奪おうとしますが…タンスの中はどれも似たような黒い外衣ばかりで、どれが錦衣仙かわからない!しかし、タンスの中から確かに鬼の気がするので、絶対そこにある。
この中から探すには、一枚一枚着て、着させた人間からの命令を受け取ってその通りに動いてしまうか確認しないといけない。そんなことやってる時間があるのだろうかと君吾の動向を気にすると、銀蝶の監視から、今は慕情を尋問しているらしいことがわかる。引玉のこともあったので、慕情も無事でいるとは思えず、とにかく試すことにする。
「俺に着せて」と花城は言いますが、以前彼が着たときには作用しなかったので、謝憐は自分が試すと譲らない。一枚羽織って「さあ、命令して」と花城に言う。
…これって、何かのプレイ始まりますか!?あの、サイコロの振り方教えるときと同じ雰囲気がするんだが!?
花城は腕を組んで、左手を顎に添えている。攻仕草(?)なのか?
真剣に謝憐を見つめて、「じゃあ、哥哥、俺の命令はね…」と幸せそうに笑って言う。「俺から霊力を借りて」
プレイじゃん!!!!!!!!(嬉しい)
そう!ここ2章ばかり、このイチャイチャが足りなかった!花城、君ってサイコーだね…。いつもなら「そんなことやってる場合か」とキレる私ですが、全て許す。なんなら、ここで濡れ場が始まっても気にしない。
「これじゃない!」霊力を借りるというオーダーが何を意味するかわかって、頭から煙を出す殿下。かわいい…。
「ああ、残念だ」「三郎、よくないよ。もっとまじめに。そんな命令しないで」「十分まじめだよ?そんな命令ってどういう意味?」
このやりとり、ほんっとにかわいい。年下がへりくつこねんの健康によすぎる。
「たとえを教えて?」と言われて、二回咳払いした謝憐は「私に霊力を借りさせようとするのはできないよ。そのほかならいい。くるっと回ってとか、二回飛び跳ねてとか。そういうことなら、なんでも」「なんでもいいって?いいね、わかった」
次の外衣を羽織った謝憐に花城はにっこり笑う。「俺から霊力を借りないで」
謝憐は自分の不注意に気づき、慌てて脱ごうとしますがそれを止める花城。「待って、誰がそれは違うって言ったの?まだ証明してないよ」
つまり、花城から霊力を借りる=オーダーの反対のことが起こるかどうか試さないと、錦衣仙でないとは言えないと。ここ、謝憐が「できないよ。だからこれが錦衣仙」って言っちゃえば回避できると思うんだけど、あまりに誠実で正直だからそういうことはできないんだよね…。性格がもっと悪かったら、花城をやり込められるのに。
年下のやることなので許します!年上がやってたらボコボコにしてた。あー、これが三郎のガワ…小花の…ショタ花の姿だったらなあ…あー…。
「それはずるすぎる。そんなことできない」「どうして?自分で言ったよ。なんでもいい、霊力を借りる以外のことならって。あなたがその命令が好きじゃないから反対のことを言ったんだ。どうしてずるいって言うのかな。あなたの言ったことに対して、忠実だったでしょ?」
何も言えず、論破することもできず、指を突きつける謝憐。
「君は…君は…ああ、君には勝てないな。遊ぶのは終わり!」
そして花城にキスをします。誰もいないことはわかっているけど、のぞかれているのではと心配になりながら…。こんなん、後日、外でも隣に人がいるところでもやるやつの伏線では…?(嬉しい)
「うん、とてもいいね」花城は落ち着いて言う。「これじゃないってはっきりわかった。十分証明したね」「もう一度その命令をしないで。いいね?」「わかったわかった、哥哥の望むとおりに」これ、ずーっとこのやりとりをこの先もするやつだ!!!(嬉しい)
羽織りながら、三郎と付き合うのがどんどん難しくなっていく気がすると思うのであった。甘えられている証拠では?
この後は花城は真面目にオーダーをして二人はひたすら試し続けますが、見つからない。花城は自分にも作用しないが、謝憐にも作用しないのだろうと言う。
117章に続く!