天官賜福 英語版134章(EXTRA1) メモ

本編終わりましたがまだ番外編があるのでね!

番外編と言えば私は魔道祖師の香炉があまりにえろくてびっくりしたんですが…。あと、人渣反派自救系统もクソ笑ったし、天官賜福もそうなのか!?と戦々恐々としておりましたが、天官賜福は描かないところが逆にエロいという作品となっています。よけい気になる。ざーっと全部読んで、本当に、あの賽子指南は暗喩だったんだ…て思うね。

EXTRA1の原題は「花燈謎,元宵夜」。

とある元宵節の夜、謝憐は背中にいっぱいのガラクタを背負って街を歩いていました。そして彼はとある屋台に目を留めます。そこにはオヤジさんと女将さんとちっちゃな女の子と若い女性がいる。とても質素な店構えですが、この四人は家族らしく、どことなく温かな雰囲気。

お客さんは入っているものの、お目当ては若い女性らしく、しかし皆、彼女と二言三言、会話した後、帰っていく。なぜなら、この日は元宵節だから。

そうか、元宵だ、と謝憐は思い至る。

元宵は餅米もしくは白玉粉の中に甘い餡あるいは肉を入れたお団子でスープに入れて食べるもの。元宵節に家族と一緒に食べるもの。

謝憐もかつて、仙楽国で両親とともに毎年食べていましたが、彼は小さい頃は偏食で元宵が嫌いだったらしい。意外!好き嫌いあるの、かわいいな。餡が甘くて歯にくっつくのが嫌だったらしい。わかる〜、そういう好き嫌い。(私にわかられてもだが…)

それで、宮廷調理人が腕を振るって作った元宵も気に入らず、修行に打ち込んで食べることから逃げていたそうな。わりと嫌なことからは逃げますよね、殿下は。

思い出そうとしてみるものの、そういや元宵ってどんな味だったっけ、と思い出せない。それでガラクタを置いて、屋台に入る。女将さんはニコニコして用意してくれる。オヤジはなんだかおかしな様子で謝憐に話しかける。「あまりに自分が汚れてるのかな」と確かめてみるけれど、そこまで汚くはない。

それより、お金がないことを思い出す。元宵が運ばれてくる前に断ろうとするが、オヤジは元宵を持ってきて「五銭だよ」と手を差し出す。謝憐が何も言えないでいると、「ああ、金がないんだな。そりゃ、こんな日に独りで屋台に来るんだ。お代はいいよ。持って帰って食べな。今日は大切な元宵節だ!」と何かを察して恵んでくれる。

そう、元宵節に独りでいることはとても不幸なことなのです!

屋台では小さな女の子がガラクタにちょっかいをかけようとしていて、それを他の人に見られないように阻止する謝憐。往来をいく人々はみな足早に家に帰る。「ねえ、お兄ちゃんはいつ帰ってくるのかな?」「すぐ来るわよ」と姉妹が会話する。四人は誰かを待っているのです。

謝憐は四人を見守りながら元宵を口に運ぶ。やっぱり、味がわからないのだった——


「哥哥、哥哥?」

花城に呼ばれて我に返る謝憐。灯りに照らされる花城の顔は生気がなく恐ろしいほどに美しい。

「え、何?」「哥哥、疲れてる?歩くのをやめて休憩しようか」

謝憐は心ここにあらずといった風に頷きます。

「ごめん。昨晩はやりすぎた」

花城が謝り、謝憐が何を意味するかに気づくのに少し時間を要する。「な、何を言ってるんだ?大丈夫だよ……全然、大丈夫!」花城は眉を上げる。「そう?大丈夫ってことは、昨夜はやり過ぎなかったってこと?それって、もうちょっと……」「……」

謝憐はここが鬼市の大通りで人混みの中であることを思い出します。

「三郎!」「わかった、わかった。俺が悪かったよ。止めよう」

謝憐の視線は道の脇に並ぶ妖怪の屋台に移ります。そこには数え切れないくらい真っ赤な灯明が大通りの両脇に飾られており、なぞなぞが解かれるのを待っている。灯明になぞなぞが貼られてるらしい。

「さあ、謎解きだ、謎解きだ!」と鬼たちに誘われて、謝憐は試してみることに。鬼たちは興奮してはやし立てる。「さあ、大伯公が謎を解くぞ!」

みんなが謝憐のことを好きなのが嬉しいよ〜。

謝憐は適当に一つ選びます。

ここ、本当にかわいくてですね…お話の流れが、というか、鬼たちの行動とかが…。

なぞなぞは、漢字の部首をひもといて言葉を並べる遊びのようです。

三つ目まで来たところで謝憐は「最後のなぞなぞは見なくても解けるよ」と答えを出す。

それでできた言葉が「我夫花城」。我が夫、花城。

鬼たちはそれぞれ視線をあらぬ方向へやり、はやし立てるのも止めます。咳払いなんかもし始める。花城は彼らをゆっくりと見ます。

「怒らないでください!俺が考えたんじゃねえ!」と口々に言って、花城は「ぶちのめす」と一言。それで、みんなちりぢりになってあっという間に人がいなくなってしまいます。

「戻ろう」と謝憐。

千灯観に戻る道すがら、花城は死んだような口調で弁明。「そんな風に俺を見ないで。本当に、あいつらにやれって言ってないよ」謝憐は微笑んで返します。「知ってるよ。君ならあんな風になぞなぞを作らないしね」「ん?どうして俺があれを作らないって思ったの?」「そうなら、我が夫、三郎になるんじゃない、もちろん…」

謝憐は返して、そして「口は災いの元」という言葉を思い出す。時すでに遅し、花城は笑い出す。

「本当だ!その通り!」「ずるいよ…」

千灯観に着いて、大広間に入ると、謝憐は元宵の椀が二つ、用意されているのを見つけます。

「通りで見ていたでしょう?」花城が言って、頷く謝憐。

「座って、哥哥。一緒に食べよう」「……」

座る代わりに、謝憐は花城に抱きつきます。そして彼の胸に顔を埋める。どこにも行かせないようにきつく抱きしめて、花城も抱き返してくれます。

こうして、謝憐は元宵の味を思い出したのでした。


この短編、よすぎて息が止まるかと思った。謝憐の自覚しない孤独、それに寄り添う花城、それから夜の営みの示唆…。

謝憐と彼の両親の食べ物の話になると、私はもうダメなんですよ。涙が勝手に出てくる。でも、花城がいつも謝憐の隙間を埋めてくれる。ありがとう花城…。

屋台で家族が話しているのを見守りながら、謝憐は「どうして、一緒に食べられるときに食べなかったのだろう」って思ったんじゃないかな。仙楽国が栄華を極めている間、自分が何一つ不自由なく暮らしている間、それから没落してお母さんが料理を作ってくれているとき、どうして一緒に食べなかったんだろう…。そのときはそのときで、その先に何があるかわからなかった。だから、しかたのないことなんです。彼にとっての後悔ですよね。一生癒えない傷です。花城でさえ、それを消すことはできない。

でも、花城はいつだって謝憐のメシマズを美味しいといって感想を述べて料理の名前を聞いてくれる。こうして、彼が無意識のうちにこれまで取りこぼしてきたものをすくい上げて、どう?って渡してくれる。

短いやりとりの中に深い愛情が感じられて、本当に好きな話です。

あと、夜の営みの話もありがとう!!!!!

@checaldooggi
書くことを続けられたらいいな。読んでくださってありがとうございます。 天官賜福とさはんにハマっているのでその話が多めになるかも。 匿名の質問箱はこちら mond.how/ja/checaldooggi