差分でしか測れない

chezou
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カナダに移住してから初めてヨーロッパに友人と旅行した。出張以外で子供なしで旅行するのも久しぶりだった。クックパッドを辞めた時に一人でアイルランドに行った時以来だ。

巡ったのは、ドイツはフランクフルト、エストニアのタリン、フィンランドのヘルシンキと大きめの都市ばかりである。旅の目的はコーヒーとビールを堪能しようということで各都市2、3日ずつの短期滞在をした。写真はInstagramにあげたのでよければ見てほしい。

バンクーバーエリアに住んでから、ヨーロッパに行くと昔行った時に比べて色々見えてくるものが違うのはとても面白かった。例えば、街中の看板一つとっても英語の割合は減ってくるし、フランクフルトは特に英語が通じにくいな、と感じた。金融都市だけあって、英語のメニューはもちろんあるのだが、"Hello"の後の"how are you?"の返答が返ってこないのによく遭遇した。これは、多分ドイツ語のHalloと曖昧な発音をした後の分岐予測にミスったのかな、など思う。これはこれで良いことで、アジア人だからと言って決めつけて英語を使われないのだ。しかし、たまに全部ドイツ語で話された時は困った。やはりドイツではドイツ語が求められるのは昔来た時と変わらない。

その一方で、タリンやヘルシンキは首都なのもあるが英語でのやりとりには困ることはなかった。でも、街中の看板に英語が混ざる率はグッと減る。他言語の店名は、La boulangerie みたいな異様にシンプルな名前の、でも良い店が増えてくる。

旅行にうっかりiPad mini 5を忘れて、現地調達しようかなと思いApple Storeや電化製品を各国で探し回ったが、行った3カ国の中でドイツ以外はそもそもApple Storeもなかった。また、1EURは約1.5CAD弱と為替差が大きいにも関わらず(VATの内税外税はあれど)CADとほぼ同じ数字でEURに置き換わって製品が売られており、厳しさを知った。当然ドイツ以外はAmazonもない。カナダに来て、日本と比較してガジェットはアメリカから輸入しなければ全然ないなと思ったが、ヨーロッパもなかなか厳しいことを思い知らされたのであった。そりゃ、スイスからAliExpressで買い物するわけだ。

ドイツに降り立った時から気づいていたが、フランクフルト、タリンと街中に東アジア人がほぼいなかったのも少しカルチャーショックを受けた。普段地元では中国系とインド系の人々に囲まれており、文化差に戸惑いながらもありがたみを感じながら生活しているので、ギャップに少し戸惑った。あと、ドイツの人と話をした時にカタコトのドイツ語で返して少し盛り上がったら、"Where are you originally from?"と聞かれて、ああそういうの気にしないんだな、とも感じた。

と思っていたら、ヘルシンキではアジア料理店が15年(!)前に比べてめちゃくちゃ増えていたのが衝撃だった。Sushi buffet の店はそこら辺にあるし、人気のKorean BBQのお店もある。Dumplingのお店や、フォーのお店もある。旅行で胃が疲れた時にフォーを食べれば良いと思っても、フランクフルトやタリンでは見つからず、ああベトナム系移民がいなければ店もないわな、と北米思考に染まっていたのに気付かされた瞬間だった。

旅をしていて気づいたのが、昔日本からドイツやフィンランドに旅行に来た時よりも漠然としたヨーロッパへの強烈な憧れが薄れていたことだった。スーパーで売っている商品を見て、あんまりバンクーバーと変わらないな、と気づいたとき、ああそうか、人間は相対的な差で判断してるのだなと改めて体感したのだ。そして、ヨーロッパに別に住まなくてもいいなというのもふと湧いてきた感情だった。思った以上に移民だらけで懐の深いバンクーバーが気に入っていたのだ。

バンクーバーから直行便でドイツまで9時間なので、ふらっと1週間旅行に行くのにはヨーロッパはちょうど良いのかもしれない。

@chezou
落ち着いて、箸にも棒にもかからないことを書けるのっていいですね