前倒しの雅

たけのこみそしる
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公開:2026/2/2

卵の優しい風味の最後に桜がほんのり香る。そんな美味しいお饅頭を職場近くのコンビニで買って食べた。優雅なおやつタイムである。

皮はしっとり、たっぷり詰まったあんこは滑らか。こういう和菓子もとい、お饅頭を食べると、体の中から徐々に雅になっていく気がする。ちなみに和三盆でできた干菓子を食べても同じである。人は食べたもので体ができるのだから、上品なお菓子を食べたら雅になるのは当然だ。

とはいえ、雅な気持ちになろうと思って和菓子を選んでいるわけではない。あんこだったり和三盆の気分だからそれらを食べた結果、雅になるだけだ。それゆえ、おやつを買う時の私は捕食者の目で棚に並んだお菓子を吟味してる。こんな目のどこに雅要素があるだろうか。少なくとも、この時点では野生味あふれる人類である。

今回は東海地方で有名なカステラ生地に黄身あんをつめたお饅頭を買った。しかも期間限定のさくら味。まだまだ梅が咲き始めたばかりなのにさくら味のお菓子が出るのか、とびっくりしつつ手に取る。やはり始まりは雅ではない。だがこういうところが自分らしい。

冒頭で書いた通り、滑らかな卵の風味で幸せになる黄味あんが舌の上をさらさらと流れていく。その時、桜の香りが鼻を掠めるのだ。そのさりげない香りが春を思い出させる。冬の先には春がある。なんだか遠くに桜の木が見えるような気がしてきた。そして、その木の柔らかな桃色に気づけば心が緩むのだ。

なんて妄想をしてしまった。なんとも雅である。やはり上品で美味しい和菓子は人を雅にさせる。食べた瞬間だけでもいい。どこかにあるだろう桜を思い、その美しさに心を震わせつつ、美味しさを反芻するのであった。

@chihane19
つらつらと、日常や食べ物、猫のエッセイ。肩の力を抜いて気楽に読めるものばかり。まったりいこうぜ。