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南の風はいずこ

たけのこみそしる
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公開:2026/7/30

何歳になってもカタカナがそんなに得意でない。なのでグァバという文字を目にした時、咄嗟に音にすることができない。文字と音が繋がらないからだろうか。ちなみにこれはグァバに限らない。カタカナかつ、文字と文字の間に母音の小さい文字が入ると音にするのが難しいのだ。

特に「う」から「あ」に遷移する音を出すのが難しい。すぼめた口を開いて音を出すのに舌がついていかない。まったく、世の中には発音しづらい音があまりにも多いし、そういうのは舌を噛んで痛い。さて、そんなグァバだが味を好んでいる。グァバに限らないのだが、南国フルーツは華やかさと爽やかな香りと酸味のバランスがとても好みである。

味と記憶が結びつくのか、グァバ味のものを口に含むと、脳内で青い海と穏やかな波の音、広い空、ヤシの木、なんて光景や音が広がる。そんな場所でグァバを食べたことも飲んだこともないのに。完全にパッケージと味が連動して頭にこびりついたってやつだ。それが妙に楽しい。

そして久しぶりに頭の中に南国が広がった。そう、コンビニにグァバ味の炭酸が売っていたので買って飲んだのである。その日は夕方も蒸し暑く、さっぱり爽やかなものが飲みたくてコンビニに寄ったら見つけ、気づいたら手に取っていたし、コンビニを出てすぐに蓋を開けて飲んだ。すると途端に、普段通い慣れた道は南国に変化した。

ほどよい甘酸っぱさで、味も癖がなくて良い。若干のまろやかさを感じるのはグァバならではなのだろうか。蒸し暑いがグァバのお陰でなんとか歩ける。相変わらず発音は難しいけれど、美味いからいいのだ。そうやって、見慣れた光景を見やりつつのんびり歩いてグァバの炭酸を楽しむのであった。

@chihane19
つらつらと、日常や食べ物、猫のエッセイをば。肩の力を抜いて気楽に読めるものばかり。まったりいこうぜ。