八秒に一個売れている

そのユッケ、バイバインで増やしてるのでは、と考えながら歩く。ドラえもんの道具だよ、ちなみに。あの回の栗まんじゅうが美味しそうだってずっと思ってる。ただ、あの量はいらない。宇宙で増え続ける栗まんじゅうが怖い。フリでも何でもないです。

通院のためにてくてく歩く。一日七千歩以上歩きたいので、通院の日は歩数のボーナスステージです。そうだ、私は基本ポジティブなのだ。道中には無人の自販機スペースがあって、その横に個人経営のご飯屋さんがある。入ったことのない中華料理店で、今後入店するかは未定。心がぴょんぴょんしないんだよな、なぜか。このお店の大分手前にあるとんかつ屋さんには入ったことがあるんですけどね。あそこは美味かった。ヒレカツ美味しいね。心の跳ね具合で入るお店を決めるのだ、傲慢にも。

そのお店を通り過ぎる時、店主さんらしき人がオープン準備のためにシャッターを開けていた。半分だけ空いたシャッターの奥は暗い。その仄暗さは懐かしい。身が引き締まるような薄暗さを紐解けば、飲食時代に行き着くんだな。昔むかしというほどの昔ではないけれど、私はこの薄暗さによく身を投じていた。

早起きは嫌いです。眠いもん。時期によってはクソ寒いから本当に嫌だ。だから飲食時代は結構つらかった。早番は明るいうちに帰ることができるのが良かったけれど、あの早起きだけはきつかった。それなのに、誰もいない道を進み、建物にいる顔見知りの数人に軽い挨拶をして、誰もいない店内に入り込むあの瞬間はとんでもなく好きだった。普段騒がしい店内が、カウンター内が、しんと静けさに包まれていて、私という存在の境界線がなくなっていく感じ。あの感覚が好きだった。

なんて、ちょっぴり懐かしいことを思い出しながら道を行く。今日は七千歩以上歩けるといいな。

@chihane19
つらつらと。