
抜歯をしてから、なんやかんやであっという間の一週間であった。訳もわからず駆け抜けたと言う方が正しいか。
かなり気を配っての生活をしていた、というよりは糸や傷口が気になりすぎて気にしまくっていた日々がやっと終わる。終わると言ってもまだ始まりでしかないが、とにかく抜糸の日がやってきた。
そうだ、抜糸をしたとて、歯茎が完璧に元に戻っているわけではない。ただ、先生の様子から順調そうだなってことは分かったし、しょんぼりするようなことは言われなかったので、まあきっと平気なんだろう。とはいえ、気にはなるからさっさと埋まって欲しいね、歯茎くん。
ということで抜糸だ。あまりにもあっさりと糸をとってもらったので拍子抜けすらした。にしても、口の中の狭い空間でちゃんと作業できるのってすごいよなほんと、と毎度思うのだ。やっぱりお医者さんって裁縫が得意なのかな、とかどうしようもないことを考えてしまう。
さて、お医者さんから「いつも通りのご飯でOK」とのお墨付きを貰ったので、さっそく揚げた芋とノンアルのマスカットサワーを飲んだ。多分、血が止まってちょっと経った段階で流動食じゃなくてもよかったんだろうけど、やっぱり糸があって邪魔だったんだ。そう、明らかに抜糸後の方が物を咀嚼しやすい。これに関しては、腫れが引いたってのもありそうだけども、気分ってのがある。
たかが一週間、されど一週間。久々の固形物に深く深い息を吐く。親知らずはまだ残っているからこれが始まりでしかない。でもとりあえず、今だけはほっと一息ついてもいいだろう。お疲れ様の意味を込めた揚げた芋は、誇張なしに今まで食べた中で一番美味しかったのだった。