このでっかサイズのあら汁がついたランチセットが千円。ランチの場所を考えると破格の値段すぎる。このセット以外のやつらも、千五百円以下でこんくらいのサイズ感のメニューばかりだった。あと、左上の茶わん蒸しが美味しかった。お出汁がきいてる。茶碗蒸し、永遠に啜りたい。
この手の店は夜がお高いんだろな。でもランチでこれだけの美味さを体感すると、夜にも来たいなあと思っちゃうね。
さて、あら汁を食べると猛々しい気持ちになれる。だから好き。荒波の音が聞こえてくるからですかね。ざざんざざんと、波間を泳いでいた魚たちと、そんな彼らをたくさん獲りたい漁師さんとの戦いの音が荒波でしょう。なるほどわからん。わけがわからない妄想をするのが好きです。
少なくとも、あら汁の中にいる魚の骨たちは気骨があるものばかりだ。あやつら、人の喉にその身を刺すことに全力すぎるでしょ。ぐずぐずに煮込まれたから最期にやれることをやろうと骨を刺そうしてるに違いない。そこに寸分も迷いがないように感じられるからそんなことを思うのだろう。そもそも食べる時にがっつかなければいいだけの話なんですけどもね。仕方ないじゃん、美味しいんだもん。
美味しいけれど、魚からの攻撃をかわす必要があるあら汁。味噌汁のようにずずずとすすって中身をばくばく食べたいのになあ。煮込まれたお魚の柔らかさとしみしみ具合。あら汁独特なんだよね。煮魚とはまた違う。そんでもって、一緒に煮込まれた野菜の美味しいこと美味しいこと。こちらはばくばくいっても骨がないので助かります。
無性に海が恋しくなるね。あの潮臭さを感じながらぼんやりしたい。ちまちまと骨を除きながらあら汁を食べ、そんなことを考えるのであった。