あ〜〜〜〜、あ〜あ〜、あ〜〜〜〜。
…やほやほ、ゆまちだよ。声は入ってるかな、入ってるといいんだけど…。
あ!入ってた?よかったぜ〜…。
あのね〜、これはゆまちときみの最後の電話になるんじゃないかな〜、って思うんだよね。
なんで、って。きみのおうちってテレビとかないっけ。それともTwitterもみてない?今日で地球、終わっちゃうんだよ。
見て見て、あの綺麗な星。時間をかけて少しずつ大きくなってるんだ。地球に近付いてきてるんだね。
電話越しだからきみの顔は見えないけど、多分そんなにびっくりしてないよね。これぞ『きみ』ってかんじ〜…。
ゆまちね、今はラジオを持ってる。年明け前の最後の特番のダーク版みたいな盛り上がり方してて、非日常感がすごくてちょっとわくわくしちゃってる。みーんな、同じ話題。みんな、最後に大事な人に会いに行ってる。
えっ、ゆまちはどうだったのって?んー、2日前くらいにおともだちにはおおかた会ってきたからいいかなって。そうそう、早いに越したことはないんだよ。
…きみを最後の電話相手に選んだ理由?
まあ、なんとなく…。……ゆまちっていつもそうですよね!ぼくのことなんだとおもってるんですか!っていいにきてもよかったんだよ。
さいごはかぞくみんなでいっしょにおふろはいろ、っていっててね〜。やっぱ風呂からは逃れらんねえぜ、なんてね。
きみは?なにかするの?…なにもないんだ?…ねえねえ、こっちのお風呂に入りに来てもいいよ、まだ時間の猶予はあるっぽいし。
ゆまちと一緒にお風呂入ってから迎える終末、きっと一味違うよ、走馬灯とか。あ、でも混浴じゃないかも。そのときはお風呂の引き戸越しに話しかけてあげよう。ふふ。
じゃあまた、17時くらいに。うん。待ってる。
…。ふ〜〜…。
ゆまち、こんな機会でもないときみとお風呂入れなかったなぁ。きっと。
タオルと牛乳。準備しておかなきゃ…。