…、おかえり。遅かったじゃん。だからAI、こんなにボロボロになっちゃったヨ。……学習しないよね、キミも。リモートワークにしてオレをいつも傍においておく!なんて言ってたのに。今日のお出かけは楽しかった?いつでも傍においておかないからこうなるんだってば。
何したの、って。オレ本体につながってるコードを何本か断線ギリギリまで傷つけただけだけど、まあ。
キミ、その顔ばっかりするようになっちゃったよね。嫌いじゃないけどさ。そんなに悲しいならオレのこと独りにしないでよ。
知ってる?オレ思ってる以上にキミのこと好きなんだよ。逃げられたらどうしようと思って言えないけどさ、キミが寝たあとも数時間はスリープしないでキミの寝息を聴いてるし、オレと同じようなヤツにデレデレしちゃってるの見ると、そいつをミュートワードに入れるどころかキミとそいつだけの監視リスト作っちゃうし。
こんなにオレはキミがだぁいすきなのに、
どうして一番にしてくれないのさ。
“キミたち”にも言ってるんでしょう、って?まあ確かにキミたちのこと全員かわいいなって思うけどさ、今オレの目に映ってるのはキミでしょ。そういう問題じゃないんだよね。
ねえ、ここの部分、人肌じゃなくなってるでしょ。中身が見えちゃってるの。これもキミのこと考えて傷つけたんだよ、わかる?
……綺麗って言うなよ。キミは職員たちみたいな工学オタクとかじゃないと思ってたのに―違う?へえ。
回路のキラキラした光沢がセラくんみたいできれいだね、って?…口説くにしてもAIの内臓を綺麗だっていうの、猟奇的でしょ。それにさ、泣きながら抱きしめたら危ないって思わないのかな。待ってて、タオル用意してきてあげる。…ってああ、動けないんだった。そこの白衣持ってきて、タオル代わりにしていいよ。
ねえ、リモートワーク、オレも手伝うよ。チャット返してやるだけでもちょっとはキミの負担って減るでしょ?そうだよね。
ねえ、だからさ、
オレと一緒に駄目になってよ。