春っぽい短歌たちです。
「自由」って、言葉に似合わず 絡まった毛糸みたいな形してるね
えも言わぬ花の匂いはエモになり 散る一片もチルとなりぬる
「風立ちぬ いざ生きめやも」が反語だと知りたくなかった十八の春
感情のNullPointerException エラーだらけの心がひとつ
きっと良いダチになれるよ どうぶつの森の特産品も違うし
思い出が悪夢になって あの時のわたし傷付いてたんだ そっか
夜行バスの窓が震えた深夜二時 おばけクジラの胃の中のよう
銀幕を見つめる横顔 三分のエンドロールを引き伸ばしたい
ひとり旅 浮き立つ心はふたり分 車窓で走る忍者も込みで
昼下がり 横断歩道の白線を木陰が染める 夏の訪れ