Dokokaというお散歩アプリがある。
方角と距離だけが表示されて、目的地はわからない状態で指し示された先へ向かう。到着すると初めてどこに向かっていたのかがわかる。そんなアプリ。好きなライター(エンジニアでもある)の岡田悠さんが作っていて、ご本人によるアプリの紹介記事もある。
記事は途中から有料になるが無料パートでしっかり説明されてます
私は休日の予定にほとほと困っていた。すべてはクソほど飽きっぽく10秒の退屈をも嫌う発達障害しぐさのせいであるが、予定のない休日に苦しむ私に彼女が勧めてくれたのがこのアプリだ。これで散歩してみなよ!
で、してみた。その壮大な大冒険の様子を、ここに大公開したいと思う!
するからにはぜひ、いさましく自宅を出発したところから書きたい。しかしこのアプリは目的地までの距離が出るのだから、そこから書いてしまうと自宅の場所大公開スペシャルになってしまう。だから途中から書くんだけど、これを読んでいる賢いそこのあなた、「この書き方でもなんとなく特定できね?」と思ったら教えてほしい。すごい自信ないから。頼むよ。

ゆるく開始のゴングを鳴らしておいた。これが正真正銘出発の時間であり、私が超夜型であることがわかってもらえると思う
それでは、途中、東京都大田区は蒲田に来たところから始める。コンパスはこう!

Googleマップのコンパスを見てみる。

んん〜〜〜〜…………
なんか上のほう……上のほうに向かえばいいぽい。新宿とか中野あたりかなあ? どう移動するか考えながら調べていると、蒲田から東急池上線という謎の線(知らなかっただけです)で五反田に行けることがわかった。東急池上線! もう面白い。東京に初めて聞く路線があるの面白すぎるぜ。
乗った。

途中いい感じになりつつ……

五反田駅に着いた。あと17kmくらいか〜〜。
しかしこの時点で「自宅からの距離」「蒲田駅からの距離」「五反田駅からの距離」の3つがわかっているから、地点は1つに決定されるはず。なんかうまいことマップでアレするのが下手で、Googleマップをぐりぐりあれやこれやといじくりまわしてしまったが、理論上はもう答えは出ているのだ。
たぶん……吉祥寺のあたりだな!
地図読むの下手すぎて全然決定されてなかったが私はキリッとした顔で歩を進めた。まずは山手線で新宿だ。そして中央線で西に向かえば吉祥寺に行ける。まあほらちょっとくらいズレてても歩けばいいんだもんね!
その目論見はなかなか当たり、

いいかんじに、

距離が、

縮まってきたぞ〜〜!!
ものすごく楽しい。こんなワクワクすることありますか! 気分は完全にゼノブレイドで目的地に向かって駆け回っているあのときのやつ。私は常々、ゼノブレイドや原神みたいなオープンワールド的なマップで、大自然ではなく大都会を駆け回ってみたいと思っていたんだが、生身で東京でこれできるのマジ最高でしびれてしまった。
さて、中央線の武蔵境駅であと3.7km。これ以上は縮まらなさそうなので下車した。ここからは歩きだ。武蔵境駅、知ってる? 私は全然知らなかった。結構駅ビルとか充実してて住みやすそうだったな。いや〜〜知らん駅で降りるの超楽しい。
なおこの時点で当たりはつけていて、

このへんにちがいないぜ
バリバリと南下していくことにした。

あまりにものどかで

デカタリーズとかあって

歩道がむやみに広いぞ
ここは住所でいうと東京都調布市である。23区を出てしまうとは思わなかったが旅だからな。はみ出ることもあるだろう。
そして距離も、

どんどんと

縮まる! もうラストスパートだろう
ここでミニストップを見つけたので入った。さすがに少し疲れた。着かなきゃ帰り方がわからないと思ってここまで頑張ってきたが、もう目前だから大丈夫でしょう。

これ!
これが今回の旅のハイライトではと思います。普段絶対行かない場所のコンビニでおにぎり買ってイートインで食べる。正直身体はまあまあ疲れていて、あと携帯のバッテリーが死にかけていて、帰れなかったらどうしようね……という不安もひとさじありつつの、このおにぎりの味わい深かったこと。ふつうそのへんで遊んでてさ、帰れないかもしれないことなんてほぼないじゃないですか。これ旅してるな〜〜!!
食べ終わったらすみやかに出発。そして、

ついに!

ついたああああああああ!!!!!!!!

お蕎麦屋さんでした!
感無量〜〜〜。私はずっとこの蕎麦屋を目指していたのか。ここで蕎麦を食べられたらそれはもう感動的な味だったと思うのだが、先ほどのレシートでわかるように、めちゃくちゃ夜なので店は閉まっている。まあこれは私が起きるのがクソ遅いのが悪いです。でもたどりつけてうれしいよ〜〜!!!
感動してそのままヘラヘラと数百メートル歩いたが、旅は帰宅するまでが旅である。帰り方……わかるかな?
バリバリ歩いているときにそばをバスが通っているのを視認していた。行き先も「○○駅」となっていた気がする。東京なんていうのはもう駅にさえたどり着けば勝ちみたいなところがあるし、逆に駅にたどり着けなければ死の世界である。
だから近くのバス停を調べた。最終バスはすでに出発していた。もう少し歩いて次のバス停を見た。最終バスはすでに出発していた。時刻は19時半。うーん……。
歩くしか、ないのか……。
ここでどっと不安が押し寄せた。なにしろスマホのバッテリーが19%だったのだ。モバイルバッテリーもしっかり死亡済みである。これ、ここでスマホが死んだら、終わってしまうんじゃないか。自分にサバイバル能力が1ミリもないことがよくわかる。別に山の中とかでもない、人が普通に歩いている都内の普通の住宅街で、スマホ1つなくなっただけで私は基盤を失って途方に暮れてしまうのだ。どうしよう。ともかく最寄り駅を調べよう、スマホが生きているうちに。
最寄り駅は調布駅だった。しかし2kmほどある。2km、2kmか。スマホが生きているうちになんとかたどりつけるか。覚悟を決めるべきか。旅には困難がつきものなのだなあ。
私は腹をくくった。たった2kmじゃないか! いつもなら近所近所と笑って歩く距離だ。私の足なら25分、いや20分で着いてみせようじゃないか。むりやりにそう気を奮い立たせると顔を上げて歩き出した。
すると視線の先にまたバス停が現れた。とはいえ現状2連敗しているし、ダメ元で見てみよう。
……
……
バスがある!!!!!
先程から見ていたバス停は調布駅行きのバスで、これはもう最終バスが出発している。しかし、別の駅に向かうバスがまだある!
天の救いだ。

このバス停を聖地として祈りを捧げたい
10分ほど待っていたらバスが来た。本当にありがたい光景だった。バスには誰も乗っていなかった。三度見くらいしたけど本当に私しか乗客がいなくて、これワンチャンホラーゲーム始まるなと思った。その3つくらい先のバス停で老人が乗ってきたときもいよいよ冥界行きのバスかと思ったが(失礼)、ありがたいことにバスは現世のつつじヶ丘駅に無事到着したのだった。生き延びた……。
電車に乗ってしまうとさっきまでの心細さが嘘のように当たり前の東京すぎてそのギャップがむしろおそろしかった。みんな! 知ってるか!? 旅はすぐそこにあるんだ! なあ!!
時間だって調布の住宅街ではバスも通らない時間だったのに、自宅の最寄り駅に着いてみたら飲み会帰りの日よりよほど早い。なんだか異世界体験をしたみたいだなと思いながら私は閉店間際のスーパーに駆け込み、卵だのにんじんだの彼女に頼まれたものを買い集めて帰宅した。
家には彼女がおり、犬がおり、彼女は友達と通話しながらぽこあポケモンをやっていた。平和だ〜。旅、終わり。
いや〜楽しかった。なんでいいアプリなんだろうか! 目的地がわからないだけで世界はこんなに不安定に映るのだ。ADHDなんて決まりきった枠から外れれば外れるほど喜ぶんだから(人によります)。最高のアプリ。絶対にまたやろう。
なお今回は思ったより遠かったので大冒険になってしまったんだが、このアプリにはおさんぽモードもあり、

こんな感じで、距離をある程度指定してやることも可能。2〜3km以内にすれば往復でちょうどいい散歩になるし、近場の知らないスポットなんかも発見できて安心安全わくわく散歩だ。自宅じゃなくて、たとえば銀座駅に降り立ってから指定してみる、という使い方も楽しいだろう。いいアプリだな〜〜〜。
Dokoka、ぜひみんなも使ってみてください。