生きててくれ、ラミンタッチオーネの男

chinu
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公開:2025/11/17

モーニング娘。'25の新曲MVが出たんです!

変……いや……ユニークなタイトルですが、ラミンタッチオーネは「哀歌」みたいな意味らしい。簡単に言っちゃうと失恋ソング。いい曲です、ぜひ聴いてほしい。

私はハマり倒して延々リピートで聴いてるんですが、聴けば聴くほど気になることがある。それを話す前に、ちょっと一旦ね、歌詞を読んでほしい。この記事を上げたタイミングでは曲の発売自体はまだなので、ちゃんとした歌詞サイトでなくて申し訳ない。あとで覚えてたら差し替えます。

読んでくれた? この先はこれを元に話を進めます。

気になること、それは「主人公はなぜ相手に振られたのか」。これに尽きる。振られることくらいあるだろと思われるかもしれないが、それにしても情報が少なすぎてマジでなんで振られたのかわからないのだ。気になる〜! 理由くらい言って去れよ!

ハロプロ曲は失恋ソングが多いんだが、わりとパターンが決まっている。相手の男は女慣れしている。出会った当初は優しくてマメで、主人公は惚れ込む。付き合い出してしばらく経つと、だんだんそっけなくなる。他に女がいるんでしょ。私たちもう終わりね……というパターン。男は遊んでてずるくて不誠実。女は依存しがちですべて相手に捧げてしまうタイプ。

でもこの曲は逆である。この男は「意味ないこと べちゃくちゃ言う」し、「サプライズ下手くそ」で、女慣れしているようには見えない。主人公は相手にすこし依存していた感じはありつつも失恋してからは自立しようと前向きで、失恋ソングなんだけど悲壮感よりは強さ・明るさに寄っている感じ。いい女じゃん! なんで振ったんだよ〜!!

あまりにもわからないので、ちょっと歌詞を追いながら考えてみようじゃないか。

1.ふたりの関係について

ここはシンプルに恋人同士でいいのかなと思う。失恋を悟った主人公は「むしろ友達と旅行に行けそうだし」と強がる。ということは今回別れた相手は客観的に見ても友達ではないんだろうし、遊びでもご飯でもなく「旅行」の単語が選ばれているところから相手のために数日空けていることがわかる。曲の雰囲気的にはクリスマスか年末年始をふたりで過ごそうとしていたのかな。このあたりからも、変に捻ってセフレとかでもなく恋人同士だろうなと推測する。

「主人公は恋人だと思っていたけど、実は何人かのうちの一人だった/愛人だった」説も考えたけど、この方向性ならもう少し相手をずる賢く描きそうかなと思う。サプライズの件すら演技でやってるならだいぶ悪い男だが、そんなに深読みするほどの材料もないし。

冒頭で言い忘れましたがこの記事はすべて私の勝手な解釈なので、読んでる方はあなたなりのラミンタッチオーネを見つけてほしい。個人的には愛人説もおもしろいなと思うが、いったんここは、互いに互いを唯一の恋人として付き合っているふたりとして話を進める。

2.なにが起きているのか

ここがよくわからない。主人公はこの恋が終わったことを確信しているが、なぜその確信に至ったのかもわからない。材料になりそうな情報は以下だろうか。

・好きな子ができたとは言われていない

・嫌いになったとも言われていない

・ずっと本当に優しかった

・なぜ、いつから、「こうなった」のかわからない

この「こうなった」がわからないんだが、失恋を確信しているということはまあ、たぶん、連絡が取れないのかな……と思う。ハロプロの失恋ソングはよく、相手が冷たくなった、そっけなくなったことから恋の終わりを感じているが、「ずっと本当に優しかった」という歌詞でこの線は消える。連絡は徐々に減っていったのか、突然取れなくなったのかはわからないが、現時点でしばらく連絡が取れてないと仮定する。

失恋を確信するほど連絡が取れない期間は、元々の連絡スタイルにもよるが1〜3ヶ月くらいかなぁ。夏くらいまでは普通に仲良くしてて、海とかも行ってて、秋口くらいからなんか連絡が取れない。そのまま季節は過ぎて冬になりそうだけど、やっぱり連絡は取れない。もう終わりなんだろうなあ、という流れだろうか。

3.相手に何があったのか

本題である。主人公に一生懸命いらんことを喋り、下手なサプライズをして、「タイプではない」と言い切られながらも付き合うまでこぎつけた純朴そうな男に何があったのだろうか?

3-1.死んでいる

正直真っ先にこれが浮かんだ。相手の男はヤクザの下っ端で、なんかしくじって消されたのだ。ヤクザであることは彼女には隠していた。いつかデカい男になれたら自信を持って打ち明けるつもりだった。でも夢は途中で潰えてしまった。死体は東京湾に沈んでいる(この流れで書くのは本当にどうかと思うが、舞台が東京であることは「東京木枯らし容赦なし」という歌詞で描写されている)。

……まあヤクザじゃなくてもいいが、そんな突然連絡が途絶えるのおかしいよやっぱり。不慮の事故かもしれないし、事件に巻き込まれたのかもしれないし、とにかく生きてない可能性がある。この説を推す根拠としては、相手の人間関係がいっさいわからないところ。主人公は友達に「彼氏できた!」とか報告してそうなんだが、向こうはちょっとなんか家族とか友達とかに話しているイメージが描けない。もはや印象論だが。隠していたか、何か訳ありだったのかなと邪推してしまう。

でね、事故とかで人が死んだとき、恋人に連絡が行くのっていつになるんだろうね。私は初めて恋人ができたときから折に触れてこのことについて考えていて、夫婦でもない、きょうだいでもない、相手の家族と面識もないってなると、けっこう連絡が遅れるんじゃないか。LINEとか誰かが見てわざわざ連絡くれるかなあ。ましてや意図的に交際を隠していたとなると……。訳ありでスマホ複数台持ちとかだったりすると……。恋人が死んだことがないのでわからないけど。相手が死んだことを知らないまま前を向こうとしていると考えるとわりとグロテスクな歌だ。

3-2.監禁されている

生きてるけど通信手段を断たれているパターン。やっぱり何かしくじったか、巻き込まれたか。しかし監禁って長引けば長引くほどやる側は金も手間もかかるだろうし、成人男性ならそれなりに力もあるだろうし、殺さずにわざわざ監禁する理由があるかは微妙。

3-3.地元に連れ戻されている

恋の舞台は東京だが、相手の地元が東京とは限らない。閉鎖的な田舎の家に生まれた少年。嫌気がさした彼はなけなしの金で夜行バスに飛び乗り、ひとり夜を駆けて東京を目指す。職を転々とする日々。あの地元に戻るよりはと耐えること数年、人生もそれなりに安定した。恋など考える暇もなかったが、初めて好きな女性もできた。慣れないアプローチは奇跡的に功を奏した。幸せの絶頂にいる彼を路地で待ち伏せる男たち。音もなく車に引き摺り込まれる、その瞬間を見たものはいなかった。男たちは地元の有力者の刺客だった──

ここまでして連れ戻そうということは相手の男は相当重要な血筋の一人息子とかだろう。ムラの儀式に必要なポジションだ。この線だと当然スマホはどこかに捨てられている。東京で築いた人間関係などムラの人々からすれば危険でしかないからだ。相手の男は主人公を思いながら表向きは人々に祀り上げられつつ、脱走の機会を伺っているかもしれない。最終的に儀式に隠されたムラの因習に迫り、打破し、目が覚めた人々により清々しく東京に送り出されるのがハッピーエンド。選択肢をミスると儀式の生贄にされ、男は主人公の名前を叫びながら死んでいく。

なんかそういうノベルゲームみたいになってしまったが、これも生きてるけど通信手段を断たれてるパターン。ラストで結ばれたら熱いけど主人公もう完全に諦めちゃってるからな。友達と旅行行っちゃうからな……。なんとか脱出してきても、そのころには次の男作ってそうまである。

4.まとめ

相手の男、生きててくれ。めちゃくちゃ心配。

最後になってしまい恐縮なんですが、つんくさんのライナーノーツがあります。私の疑問を解消するものではないが(そもそもここまで深読みする歌詞ではない)、これもとてもおもしろい。読んでみてね。

@chinu
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