渋谷に行った！
渋谷に行ったときは「！」をつけたくなってしまう。行くとやっぱりすごい街だよなと思う。
我々はまず表参道に降り立った。表参道はブランド・スイーツ・ブランド・スイーツ・たまにパーソナルジムみたいな街で、気がつくと青山になっていて不思議な街であった。私の土地勘がないだけかもしれないが、表参道を歩いていると気がつくと違う街になっている。狭いのか私の興味を惹くスポットがあまりない(知らない)のかのどちらかだろう。
青山もまあ概ねブランドとスイーツだ。細長いビルが通りの両側にびっしりと立ち並んでいて、おおこれはペンシルビルというやつだ！ ペンシルビルという呼び方がなぜだかわからないが好きだ。いまもさかんに使われている呼び方かどうか調べてもわからなかったが、私の中ではやや昭和的なイメージがつきまとう言葉だ。風情と少しのかわいらしさを感じる。
アイムドーナツというドーナツ屋さんがやたらとある。なんならグルテンフリー版アイムドーナツもあった。エロシーンをカットしたエロゲみたいだなと思ったがさすがに例えが最悪すぎたので言わないでおいた。なにしろデートなのだ。
少し大きめの、ペンシルではないビルの2階にまたしてもアイムドーナツ(オリジナル版)を見つけ、人が並んでいますなぁと通り過ぎた瞬間、空気が一変した。治安が悪い。ゴミが多い。人間がやかましい。これは……！
渋谷だ！！
これすごくおもしろかった。青山と渋谷の間に明らかな境があるのだ。土地勘のある人なら宮益坂の上といえば伝わるだろうか。この坂を下りると渋谷駅に着く。ここの、宮益坂上のアイムドーナツを境に、雰囲気が変わります。ほんと。行ってみて！！
渋谷をフワフワ散策してラーメンを食べた。「ちゃん系」というのが最近流行りらしい。「ちゃん」はおそらく店名から取られていて、我々が行った店は「かっちゃん」であったがいろんな「ちゃん」がいるのだと思う。「ちゃん系」は昔ながらの醤油ラーメンを現代風にアップデートした感じだそうで、確かに。胡椒がよく合いおいしかった。
一番スタンダードなやつでこのボリューム！ チャーシューが惜しみない
映画を観た。渋谷にはヒューマントラストシネマ渋谷という最高すぎる映画館がある。もう本当に、これが家の隣にあってほしい。とにかく全部の映画がおもしろい。渋谷にあることだけが、というか私が渋谷に住んでいないことだけが欠点である。遠い。行ったことがない方はぜひ！ ぜひ！ 行ってみてほしい。いつ行ってもおもしろいのやってます。どっちかというと洋画好き向けかな。
「WEAPONS」という映画を観た。清々しく変な映画で大変に満足。
すっかり夜だ。彼女が「青の洞窟」に行こうという。パスタ？
とんでもなくうまいぞ
違うらしい。イルミネーションがあるのだという。素直についていく。
そこには確かに青一色のイルミネーションがあった。代々木第一体育館のあたり。多くの人で賑わっていた、が、人がみんな若い。具体的に言うと女子高生ばっかりだ。みんなTikTokを撮っている。
おばさんがいて大丈夫なのかと不安になった。どっかの高校のイベントに紛れ込んじゃったのかなというくらい圧倒的に女子高生の群れ。誰かのTikTokにおばさんが映り込んじゃうよ！
心配しながら通過。イルミネーションにはそれほど興味がなく写真がないが、彼女が楽しそうにいろいろ撮っていたから私は満足した。すみませんが見たい人は検索していただくか現地を歩いてみてください。そして誰かのTikTokに映り込む。
ついに原宿だなあと思って帰路に着いた。冒頭から出てきた表参道、青山、渋谷、代々木、原宿が全部徒歩圏内であることにあらためて東京のすごさを思う。渋谷からは代官山や恵比寿にも行ける。私のことを古くから知る人はよくご存知だと思うが、私は東京の地名がとても好きなのでよくこうして文章に書く。なんで好きなのか？ かっこいいからさ。
恵比寿に住んでいたことがある。恵比寿はハチャメチャ20代後半期を過ごした土地で、人生的にはかなり薄暗かったけれども街がキラキラしていたから、今でもキラキラした思い出として残る。歩ける範囲に輝くすべてがあり、あとウーバーイーツが豪華だった。タイ料理が好きでよく頼んだ。大方の予想通り家賃は気が狂うほど高かったが、さすがにいい街だった。映画館や、映画館や、植物園や、映画館に行っていた。渋谷にも歩いてよく行ったのにいまだに渋谷に土地勘がないんだから、私の方向音痴っぷりも窺い知れるというものだ。
恵比寿も渋谷もずいぶん遠くなった。今住んでるところもすごく気に入ってはいますが、でもさ……
こういうのを見ると渋谷が羨ましくなる。
思想が強い奴の過激なビラ、街に貼ってあってほしすぎる。私が貼るわけにいかないしな。私は観察者でありたいのだ。
いいなあ、渋谷。よかったなあ、渋谷。