自分の容姿に自信がない。
どうしたらいいのかわからない。
おしゃれを学ぼうとしても、流行を取り入れようとしても、それを自分に当てはめた途端にひどく滑稽に見えてしまう。
母親は化粧っ気のない人だった。
母親が化粧をしているところを見たのは、親戚の結婚式と葬式くらいだ。
高校生の時に化粧を学びたいと言ったら、とりあえずといった感じでファッション誌を一冊だけ買い与えられ、
ニキビや肌荒れが気になると言ったら、病院行ってもいいけど１人で行ってねと投げ出され、
腕や足に生えてくる毛が嫌だと言ったら、私は毛が薄い方だからわからないと言われてしまい、
髪の毛をおしゃれな美容室で切ってもらいたいと言っても「(値段が)高い」と却下され、父親が行っている男性客ばかりの床屋しか許されなかった。
両親との仲は悪いわけではないが、女として生きるために必要なことを母親から教われたことは無かった。(そのくせ、恋愛だの結婚だのは定期的に探るように話題にしてくる。)
小学生・中学生の頃は、冴えない容姿のせいで陰湿な対応をされることが多々あった。(ひどすぎず軽すぎずの中間くらいにある、非常に困る部類のものだったと今は思う。)(それでも、人一人の性格形成に影響を及ぼすには充分だったとも思う。)
可愛くなりたい、でも方法がわからない。あの服かわいい、でも私には似合わない。真似してみた、やっぱり私には似合わない。
少し頑張ってみても、周りにはもっと素敵な人がたくさん居て。私なんががって、比べて落ち込んで。
好きな色はあるけれど、似合う色はわからない。人の服を見るのは楽しいけれど、自分で着たいとは思わない。
服をマネキン買いして、ヘアアレンジも動画を見ながら色々試してみて、万人受けしそうなフレグランスをつけて、それでもまだ一般的なスタートラインに立ててすらいないと実感する。
教えてもらえなかったと人のせいにする自分が嫌だ。学ぶ努力をしなかったくせに、今更学んでもうまく活かせないくせに。
頑張ったのに、世間との差を実感させられる瞬間がどうしようもなく惨めだ。出来る範囲で頑張ったところで、不恰好だって突きつけられるのがとてもつらい。
頑張りたくない。でも、それが許されるほど世間は甘くない。
頑張りたい。でも、うまく出来ない。
出来ない。