社内講座でウクライナ語を習っている。ウクライナ人の講師と生徒10人程度の和気あいあいとしたクラスで、最初の3ヶ月はウクライナ語のアルファベットを読み方を覚えて、今は挨拶と文法を学んでいるところだ。特段業務に使うわけでも資格を取るわけでもなく、のんびりマイペースな雰囲気で進んでいくところが気に入っている。
ウクライナ語講座の中にはゆるいルールがあって、それは「社内でクラスの仲間と遭遇したらウクライナ語で挨拶する」というものだ。
朝はドーフロホ・ラーノコ(おはよう)、昼はドーブリ・デーニ(こんにちは)、夕方から夜はドーブルィイ・ヴェーチル(こんばんは)という具合。最初に挨拶できた方がなんとなく勝ちである。私はこれを「ウクライナ語辻斬り」とこっそり呼んでいる。
英語のハローと同じで、こんにちはに当たるドーブリ・デーニは簡単なので全員が覚えている。ただし他の挨拶はいまだに記憶に定着せず、朝や夕方にウクライナ語クラスの仲間と会っても「…なんだっけ?」とお互いに首を傾げてしまう。なんなら朝夕は顔合わせたくないよね!とまで言い合っている。
今日の帰りも職場を出たところで講師の先生にばったり遭遇し、こ、こんばんはって何だっけ…!?と考えている一瞬のうちに「ドーブルィイ・ヴェーチル!」と爽やかな笑顔でばっさり斬られてしまった。悔しい、次は絶対にわたしから挨拶してやる。
おしまい。