「釣りは沼」「釣り具屋は魔界」「釣りは一度道具を揃えればお金はかからない。が、一度も揃うことはない」と言われる。まぁ、どんな趣味だって魔界の要素はある。カメラにしてもレンズ沼はあるし、車だってパーツ自体はそこそこ費用がかかる。仕事で使うパソコンだってそうだ。何をやってものめり込んだら湯水のようにお金が出ていくのに変わりはない。
最初からいくか、様子をみるか
若い頃はゆとりもなくて趣味にお金もかけられず、それで長いこと生きてきたので趣味らしきものはなかった。たまに昔を思い出してギターを買ってみたりはしたけれど。趣味的に何か始めようと思った時、「とりあえず安いので始めて、面白くなったら高いのを」と考える人と「すぐ飽きてやめないように高いのを買ってしまう」と考える人に分けられる気がする。
私はといえば前者の方に近かったのだが、「安かろう悪かろう」的な部分も見てきたし、安いものは性能は問題なくてもいざ処分しようとしても売値が雀の涙にしかならないのも知っている。カメラのレンズはちゃんとしたものは資産になるので(買取額も高い)、結果差額の数万円払って何年かレンタルしてたのと変わらないことがある。新製品も買って合わなかったら即売ってしまえば懐はさほど痛まないことだって多そうである。
当然、趣味などにかけられる費用も熱量も人によって違うので一概には言えないが、安いのから始めて追加であれもこれもと数年かけて買い足すぐらいなら、最初からそこそこのものを手に入れて限度を設定した方がトータルは減ると気付いたこともあって、最近は何か始める時はまあまあレベルから入ることにしている。そこから高いものを買い始めないような自制はいるが(笑)。
塵も積もれば竹となる
私のやっている釣りはトラウトだから、他の釣りと比べれば必要な道具の金額は少し安い部類に入る。ルアーひとつひとつはさほど高くないとはいえ買いすぎたらお金は減るが、それを無くさなければ特に問題はない(消耗品の針とかはあるけれど)。餌釣りの場合は対象によっては毎回餌を買うだろうし、鮎の友釣りなんかは元気なおとり鮎を都度調達しなければならないだろう。
1年目は始めたばかりというのもあって、「あれもいるかな?これもあった方が良いかな?」といろいろ買ってみたものの、結局あちこちの釣り場に行くわけでもないから使うルアーも決まってくる。渓流用のものにいたっては、「別に何でも釣れるじゃん」みたいな境地にたどり着いた感がある。ここまでの1年間は行く場所や釣り方にあったものに気付くまでの旅だったわけだ。
竿やリールに関しては1年間頑張れたしそこそこの釣果も出てるから、自分へのご褒美代わりに少し良いのを買ったりしたけれど、これ以上高いものが欲しくなることはないだろう。松竹梅でいえばまだ「竹」のレベルで満足である。だいたい、仕事で使うパソコンも処理速度が速いハイエンドは買わない。仮に壊れたとしてすぐ買い直せるレベルのものが自分に取っては都合が良い。
高いものが処理が早いとか扱いやすいというのはわかるが、それで作れば良いものができるとか良く釣れるとは限らない。結局は、使う人の脳みそや腕になるわけだから、いろいろ試してみて自分に合うものを見つけたらもうそこで終わりにしても何も困りはしない。最初に塵を積もらせて竹に行き着くパターンで、これから何か始めるとしてもいろいろな魔界から少し距離を置きながら歩んでいきたいと思う。