宿題なんて響き、いつぶり?だって学生だったのって3年前だよ?世間からしたら若者、あるいは馬鹿者なんだろうけど。社会の歯車となってからの毎日は風船みたいに中身のない大きな日々だったよ。時間ばかりが経った気がして、その実中身は同じことの繰り返しで何も成長してなかった。変わったことと言えば……見た目は変わったかもしれない。垢抜けたね、と高校の先生は言ってくれた。でも、多分それだけだ。
今の私を誇れるか?と言われたら、半分ぐらいはと答えられる。自分に莫大なお金をかけられることろは誇れるし、将来に向けて勉強だとか何だとか大層なことができてないのは誇れない。あと恋人がいないことも。まったく誇れないし、久々の友人への土産話にもできない。意外と私、誇れないな。
恋をする相手の有無で自分が誇れるかどうかなんてそんなのは恋愛至上主義が蔓延ってしまった世間一般の価値観であって本来なら他人の有無で私の価値が決まることはないのは理解しているけど世間というのはどうにも息苦しくてこうして早口で捲し立てて誤魔化すぐらいしか手段がないのだ。
恋とは、恋愛とはなんだろう。人を好きになるとはなんだろう。夏からずっと考えている。フレアレンズが私の瞳には映っていて、あのときの楽しかった幻影が、海のきらめきが、しょうもない笑い話が、いまも身体の奥でぐるぐると巡っている。それを恋と定義するなら、私はもう、掴めないのだろうな、あれは霧だから、透明の、先だったから。
だから、おとなになって、恋をしなさい恋愛をしなさいという世間からの圧力、もとい宿題が、息苦しい。3年前ならできたのかな、恋。