これに気付くたびに驚いてしまうのですが、世界って意外とこじんまりとしてて、それでいてとても広くて、まばたきをするたびにその大きさが変わるんです!それが世界を美しいと感じる正体なんだと理解したなら、あたたかい春と冷たい寒風を浴びる。世界は今日もちぐはぐだ。それでいい。正しいものなんてここにはない。みんな心がぶれている。あっはっは。
わたしの喉に水が詰まることも、だれかの瞳がピンク色に変わることも、切り取った写真の一部でしかないと思っていたのに。そんな事実を突き付けられたら、わたしは脚をどう進めたらいいのだろう。閉じ込めていた悪いものが出てきたとき、退治するための剣をちゃんと持てるのだろうか。不安になってるわたしを支えるのは電車のアナウンスだ。私があなたの脚の代わりになるから、あなたは腕を剣にするのよ。無機質に囁く女性の声。わかった。わたし、戦うよ。表れ出たのは勇者の真似事。今からわたしが主人公。これからだってずっと主人公。お前なんか知らない、敵じゃない。いつの間にか主人公は快楽主義者になって無意味な殺戮を繰り返している。
甘いものを交換することをひとは好むと言います。わたしはその傍ら、コンビニのホットスナックを買っている。チキンのやさしい醤油味が染みて、それだけで満足だ。こうして、小さなズレで満足する自分でありたい。誘われた食事を楽しみにするような、ささやかな平坦をこころから愛したい。そう思う気持ちを忘れないようにしたい。様々なしたいが積み重なって、グロテスクな願いの山に目を向けない。でも、ささやかな幸せを感じたいのは本当だった。それを失ってしまえば、もうわたしは人間に戻れなくなると思ったから。あ、値引きシールのスイーツも買っちゃおう。