家にも人にも居場所はなくて、ついでにいうならこの車内もコーヒーの香りが充満して居場所がない。結構この苦い香り、苦手なんだ。そう言ったわたしの顔は何事もなかったかのように平然としていてあなたはきっと困惑していた。あたたかい冬の晴れ、落ちかけたマスクが顔に貼り付き、睡眠不足による頭痛がナイフを持って人々を刺していく。いつも誕生日前はこうだと溜息をつく。眠れなかった。そんなものはないと豪語するけれど、確かにそこに境界線はあって、わたしはその内側に入れないことが、どうしようもなく、嫌で。逆三角のピラミッドでわたしのこころはできている。根底を崩されてしまえば、もう起き上がることもなく、ただ悪夢だけが時計と共に音を鳴らす。
それから幾許かの時が過ぎ、わたしは24になった。「もう5年も会ってなかったの?うそ!」とはしゃいだのもつい1週間ほど前だ。168時間も過ぎてしまえば、どんな熱だって冷めていく。わたしは、あなたに冷めている。嫉妬と独占欲がいっとう嫌いだった。持ち合わせたくない感情だった。だから、それを表に出して許されるひとが許せなかった。これからどうやって生きていこう。ふらふらり。ちょっと飛んでみようかななんて思って、貧弱な身体では死んでしまうからやめておいた。生きていたくないとはちょっと違っていて、でも死にたいというより、すべてから縁を切りたいが正しかった、わたしの所在地。はやくこころまでも独りぼっちになれたら気が楽だろうと思うのでした。
【今年の目標!一人暮らしをする!】
打ち立てました、今年のすべきこと。おみくじは今年1年転居はするなと言っていたけど知りません。神様の言う事よりもわたしのこころの平穏が大事です。あたたかいはずの自宅は今や冷めきって、アレがいないほうがまともに会話ができるだとか、ソレを批判するためにしか口を開かないとか、何かそういうのばかりでした。言葉から関係は汚染されていく。亀裂が走る。思い出が横たわる。怠惰のクジラが口を開ける。飲み込まれる。息苦しくなる。生き苦しくて、閉じこもっていく。だから、来年になるまでに変わりたい。わたしは独りで生きていけるようになりたいし、一人で生きていかないようにしたい。嫌悪する人種がはっきり見えた今だからこそ動かなくてはいけないと奮い立たせる。立ち上がれ。立ち上がれ。わたしの応援歌はここでひっそりと響いている。