スキになってはいけない

僕は25歳のゲイ。男性に恋愛感情を抱く男性いわゆる同性愛者――なんか医学っぽく言ってみたが要は、男を好きになってしまう男。

ゲイであることは、あまり多くの人にはカミングアウトしていないし、両親にもしていない。孫の顔を見せてあげられないのは申し訳ないと思っている。

僕は、男性的な人に惹かれる傾向にある。逆に、俗に言うホゲてる人やゲイっぽい人にはあまり惹かれない。

我ながら、損な性分だなと思っている。

自分のゲイポリシーとして、身近な人を好きにならないというのを決めている。好きになってもいいことがない。百害あって一利なし。決してスキになってはいけないのだ。

そんなことをして万が一、理性が飛んで友人関係にヒビが入ったりでもしたら後悔してもしきれない。そんなことは絶対回避したい。

自分の気持ちだけに正直に生きるのは難しい。自分の気持ちから目を背けて生きるのもまた難しい。頭では駄目なことだと分かっていても心は正直だ。

好きな友人に近々彼女ができそうで、ずっともやもやしている。彼にその子との予定がある日は気分が落ち込む。その子が羨ましいとまで思っている。こんなに素晴らしい男をよく見つけたな、見る目があるな。どうかその席を僕に譲ってくれやしないか、と。上手くいかなければいいのにとも思う。自分は嫌なやつだ。そんな自分が心底嫌になる。

いっそその彼女を紹介してもらって、一緒に君を愛でさせて貰えば解決するんじゃないか。そんなこと叶わないが。どうか、遠くにはいかないでくれ。

おそらくこれは愛とか恋とかではなく、依存であり独占欲だ。自分のほうが先に知り合って親しくしてきて仲だ。あとから知り合った彼女と友達よりも親しい関係になるのが羨ましいだけだ。この醜い感情で心が一杯になって、どう表現したらいいかわからなくなる。間違えて自分や友人を傷付けてしまわないか、我を見失わないようにするので精一杯だ。

今、僕がするべきことは彼の新しい門出を祝うこと。そして僕も新しい彼氏を作ろう。気持ちを切り替えて前を向けるように頑張っていきたい。

@closet
25歳のゲイ。友達には恋をしないというポリシーで生きてきたが、なんだかんだしている。僕には愛がよくわからない。