僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?-というのは絶えずまわっている半透明の歯車だった。(中略)歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまう、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代りに今度は頭痛を感じはじめる
これは芥川龍之介の短編小説『歯車』の一節だ。私は正にこの経験を2年前にして、会社を休んでしまった。この症状が起きると酷い頭痛に襲われ、薬もたいして効かずにずっと休むしかない。初めてこれに襲われ何日か休んだ時は、私はもう仕事ができないのかとショックで泣きながら横たわっていた。結婚しているので仕事ができないからといって生活に困ることはないのだが、自分で稼ぐことができなくなると思うと不安でしょうがなかったのだ。
それが今では治まって仕事ができるようになった。ただ、半透明の歯車はあれから出なくなったが、頭痛がまったく起こらないわけではない。社会生活は送れるが、日に何度も頭痛は起こって悩まされている状態だ。
でもあれだけ嫌だった頭痛が、今では頭痛が起きたから生活が改善されたのでは?とプラスに考えられるようになった。これからその経緯を記そうと思う。
ちなみにこの一節を知ったのは『頭痛は消える。』という本を読んだから。これを読んで"芥川私やん!"と、驚きとなぜか嬉しさを感じてしまった次第である。